表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/27

12 歓談

 ノックをし、ユスティの部屋に入った。


「こんにちは。ルナレイア。……って、人数多いね?」

「わたくしもそう思います。ですが、護衛が2人に、侍女が1人と考えれば、普通なのではないかと思えてきたところです」

「そっか、それならまあ、許容範囲内かな。まあ、座りなよ」


 ルナレイアはユスティの向かい側に座り、シドとラナリーは扉の前に待機、リサはルナレイアの後ろに立った。


「立っているのもなんだか変だね。旅の仲間になるんだろう? 場所を変えて、みんなで話し合おうか」


 そういうことで、隣の部屋に移動した。隣の部屋は、談話室となっており、大きな円卓の周りに、椅子が置かれている。

 扉から一番遠い位置にユスティ、その右側にルナレイア、その隣にシド、ユスティの左側にラナリーが座った。


「私はお茶の準備をしてきますね。あと、昼食も運ばせるように言ってきます。そろそろそんなお時間でしょう?」

「うん、お願い」


 リサは出て行った。


「じゃ、何を話す?」

「ユスティさま、そこからですか? とりあえず、改めて自己紹介でもしますか?」

「そうだね、それがいいや。僕からしよう」


 こほん、と咳払いをするユスティ。


「僕はユスティ。ユスティ・フォン・アリスロード。22歳。アリスロード公爵家当主で宮廷魔術師だよ。得意な属性は水と風。次いで光と闇。苦手な属性は火かな。長い旅になると思うけど、よろしく」


 そういうユスティの髪色は淡い緑で、瞳の色が青い。風と水の属性が得意なのは、このせいなのだろうか。身長はルナレイアの頭一つ分高いくらいだ。


「では次はわたくしが。ルナレイア・リュミエール、17歳です。ご存知だとは思いますが、聖女です。得意な魔法は光魔法。他は使えません。よろしくお願いします」


 ルナレイアはにっこりと微笑んだ。ユスティとシドは、それに見惚れた。


「じゃ、次は私ね。ラナリーよ。平民だから名字はないわ。15歳。得意な属性は火と、それから土。だけどできるのは初級魔法くらい。よろしく」


 ラナリーの身長はルナレイアよりも少し低いくらい。童顔で、13歳くらいにも見える。


「では最後は私ですね。シド・ル・レインシールです。歳は22、ユスティと同じです。子爵の位をいただいています。得意な属性は水。かろうじて使えるのは風です。よろしくお願いします」


 シドの髪色はとても濃い青だ。瞳の色も青い。彼の持つ水の力は、きっととてつもないものなのだろう。


「シドも一緒に旅をすることになったんだね」

「ああ、よろしく頼む」

「こちらこそよろしく。ラナリーさんも、ルナレイアも、改めてよろしくね」


 よろしくお願いします、と、返事を返す2人。

 唐突に、ルナレイアは手を叩いた。


「そうです、やはり敬語はやめにしませんか? 名前も呼び捨てにしてしまいましょう。仲間になるのですから。だめでしょうか?」

「それがいいね。そうしようか。シドも大丈夫でしょう」

「……努力する」


 ルナレイアは、シドに敬語をやめてもらうということを、諦めていなかったようだ。ユスティには敬語ではないのだから、話せるのだろう。


「じゃ、私も遠慮なく」


 ラナリーも頷いた。


「慣れるまでは仕方ないです……けど、そうした方が早く打ち解けられると思うので……思うの」

「ふふ、ルナレイアが一番苦労しそうだ」

「そんなことありません!」

「ほら、敬語」


 むむ、と、ルナレイアは唸った。


「……ユスティは意地悪です!」

「しかたないよ、ルナレイアは可愛いから」

「なっ」


 ぽふっ、と音がするくらい、ルナレイアの顔が赤くなった。


「も、もう。からかうのはやめてください! そんなことより、レイさんの件なのですが」

「敬語。まあそれはともかく、大神殿側には承諾を得てる。昨日の件も陛下から話をしてもらったから、大丈夫。ただ、レイがルナレイアを気に入るかはわからないな」

「そうですか、わかりました。仕方ないです……仕方ないわ」


 途中で気がついたように訂正した。


「まあ、とりあえず会いに行ったら変わるかも知れないし、行ってみる? あの子、王宮の中はよく知らないから、連れ出したらきっと喜ぶよ」

「そう、じゃあ行ってみましょうか。ラナリーも、シド……も、一緒に旅をするなら会ってみないと」

「そうだね、じゃあ、教会に行こうか。その前に、何か質問ある? レイのこととか」


 シドが思い出したように、口を開いた。


「そういえばユスティ」

「なに?」

「先ほど、刃物を持った男に、ルナレイアさ……ルナレイアが襲われた。もちろん撃退したが。その男は、衛兵にあずけている。これでよかったか?」

「うーん、あとで陛下に言っておくとして、それでいいよ」


 そんなことより、と続けた。


「ルナレイアに、怪我はない?」

「ええ、問題ないわ」

「ほんとに?」

「本当よ。というか、例えば腕を切られたとしても、自分で治せるから大丈夫よ」


 ユスティは少しだけ真剣な顔になって、言い聞かせるように言う。


「あのね、ルナレイア。僕は君が少しでも傷ついたら嫌なんだよ。たとえ治せるとしても。どうしてだかわかる?」

「……どうして?」


 ルナレイアは、考えてみたがわからなかった。


「君が傷ついたら、痛いだろう? 僕は、それが嫌なんだ」

「……よくわからないわ」

「そっか、じゃあ、ひとつだけ覚えていて欲しい。君が傷ついたら、僕は悲しい、ってことを」


 わからないわ、と、呟くルナレイア。ラナリーとシドが、口を開いた。


「ルナレイア、あたしも、ルナレイアが傷ついたら悲しいよ」

「私もだ。君が傷つくのは、嫌だ。それに、ルナレイアだって、例えばユスティが傷ついたら嫌じゃないか? たとえ、治せるとしても」

「……それもそうね。わかったわ。ありがとう、ラナリー、シド」


 会話が途切れたところで、コンコン、と、扉がノックされた。


「どうぞ」

「失礼いたします。昼食をお持ちしました」


 見慣れない料理人姿の男性が、昼食を運んだ。今日の昼食は、鳥のような肉を焼いたものや、野菜がたくさんだった。ラナリーの好きなものと、ルナレイアの好きなものを取り入れたのだろう。


「キリもいいところだし、食べようか」

「ああ、そうだな」


 ユスティはまんべんなく、ラナリーとシドは肉ばかりを、ルナレイアは野菜ばかりを食べる。


「お肉ばかりじゃ体に良くないわ。ちゃんと野菜も食べて」

「そういうルナレイアこそ、お肉も食べたほうがいいよ。そんなに細いんだから」

「そうだな、折れてしまいそうだ」


 和気あいあいと、食事を進めた。ルナレイアに肉を食べさせようとしたり、ラナリーとシドに野菜を食べさせようとしたり、それを見るユスティも参加したり。

 一緒に食事をするだけだが、かなり仲が深まったようだ。


「そろそろ食べ終わったし、教会に行こうか」

「そうね、そうしましょう」


 四人は教会へ行くために立ち上がった。


「ルナレイアの小さい版、楽しみ」

「あんまり似ているからって、笑わないでね」

「笑わないわよ」


 談話室から出て、教会へ向かう。ラナリーが楽しそうに、それでいて警戒を怠っていない様子に、ルナレイアは感心した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ