天然露天風呂
遅くなって申し訳ありません!
かぽ〜ん。
庭にできた一人分の小さい温泉。温度も最高、なんだか肌もツルツルするし…この時間が至福だわ!
「お〜ミリア、湯加減はどうだ?」
「ゴンゾーさん、最高です。ありがとうございます!」
庭にやってきたのはゴンゾーさん。私もキッチリ身体にタオルを巻いてるので来られても問題はない。
「ミリアは湯張りが好きなのか?」
「湯張り…?ああ!この温泉のことですね!はい、私の世界では身体を洗ったあとにあったかいお湯に浸かるんです。これが普通でしたよ」
「この世界はあんまいねえからな、そういう奴は。ミリアは本当に別のところから来たのか?」
「はい。さっき言った通り私の世界は魔法もないですし、ノーブロリアとかいう階級もないですよ」
「階級がないのか?どんな世界だ」
「みんなが大体同じくらいなんですよ。それと、いろんな国に分かれてます。私のいた日本ってところ以外にもたくさん国があって…この世界のマーツォリア国みたいに大きな国はなかったんです。今でこそ戦いなんて全くないですが、何年もの歴史の中で戦争はそこら中で起きていたみたいです」
「そうか…」
庭に通じる縁側のような所に腰掛けたゴンゾーさんは星空を見上げて言った。
「カイドウモン家とマーツォリア家は、王国が出来た時から深い関わりを持っていた。初代の王と、共に戦い歩んだカイドウモン家の代表は、王国が出来たその時から手を取り合ってたんだ」
いきなりカイドウモン家とマーツォリア家の話?
「俺はアイツを救ってやらなきゃならねえ。それが俺の代表としての責務だと思ってる。例え俺の身が滅びようと」
…いきなりなんの話だ?!深刻そうに話してるけど、なんの話か全くわからない。ゴンゾーさんごめんなさい、私今真剣に聞いてるんじゃなくて考え込んでるだけです。でもなんだか…物騒な話だな。
「あの、アイツって王様のことですか?」
「……そうだ」
「やっぱり王様になにか起きてるんですか?」
「そうだな、正確に言えば起きそう、とでも言おうか」
「リリー・カインロスが関係してるんですね?」
「…確証はないが」
私はさっき思った疑問をぶつける。
「ゴンゾーさん、あなたはリリーとフードの人の会話、聞こえてたんじゃないですか?」
「…っ、」
図星か。やっぱり。ルイに集中して聞いて耳を傾けてたならあの会話が全部聴いてても不思議じゃない。まあゴンゾーさんの耳がどれだけ利くかわからなかったから一種のハッタリだったんだけど。
「あの時考え込んでましたから。でも無理に言えとは言いません、王の名誉に関わることなら。私も言えないことがあるので」
神様の話、実はだれにも言っていない。これからこの世界が崩壊するほどのことが起きること。それを止めて欲しいと頼まれたこと。
「…まだ、言うことはできない。俺もアイツが心配なんだ。昔から手を組んできたカイドウモンとマーツォリアはお互いがお互いを助けなきゃいけねえ。できるなら俺がアイツを救ってやりたい」
「なら、手伝いますよ。リリーのことは、私も前から少し引っかかってます。それに私もこう見えて少しは戦えますから!ルイやジンもいるんですから、一人で抱え込まなくていいと思います」
「…俺もまだまだだなぁ。こんな若い奴に説教されるとは」
「説教じゃありませんよ?!助けを求めたら、絶対ルイやジンは助けてくれますし…なにより、ゴンゾーさんが死ぬことがあれば二人は悲しみます」
『お主が死なば、悲しむ者が居る。故にお主は誰かに頼るべきなのだ』
「……ミリア、お前は不思議だな。王に似た親しさを感じる」
「そ、そんな大層な私じゃありませんよ!」
「がっはっはっ!そりゃそうだ!お前が王の器に値するとは思っちゃいねえよ!」
「何この人いきなり失礼!」
「ミリア、身体ふやけちまう前に上がって寝ろよ?」
「あ、寝ますか?」
「おう、おかげで寝付けそうだ。ありがとうな、ミリア」
「お安い御用です、ゴンゾーさん」
ゴンゾーさんは寝室に向かって行った。
「ふぅ〜」
やっとリラックスできる。何よりこの天然露天風呂、最高すぎる。星空の下の天然露天風呂ってお金取られても入りたい!今の都会の日本じゃ味わえないもん。
とにかく私がすべきことはリリーについて調べることと、神様が言ってたこの世界の崩壊っていうのが何かを調べなきゃね。
「よしっ!」
気合を入れてお風呂から出る。明日から、頑張るぞ!




