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会議 カイドウモン家の一人


馬車に乗って着いたのは城。ここはマーツォリア王国の中心部であり中枢である。何故僕がここに来ているのかというと、もちろん呼び出しを受けたからだ。およそ、ドバル家から徴収した違法薬物の顧客リストの真偽と潰す家をどれにするかの会議だろう。まあ本当は僕が呼ばれた訳ではないが、カイドウモン家の代表が出席できないため代理として僕が駆り出された。代理でしかない僕の意見なんて誰も聞かないだろうし本当は行きたくないんだけど…に頼まれちゃ断れないからな。大人しく参加する。


城の門前に馬車を停めてもらい降りる。いつ見ても立派な城だ。難攻不落と言われるだけはある。


王家からの招待状を門番に見せ中に入る。会議は第一会議室で行われる。部屋の前の使用人に招待状を見せ、身体チェックをされてから部屋に入った。細長い机に向かい合わせで五つ椅子が並べてある。席に座るべき所は王座から一番遠い場所。であったらおそらく王座から一番近い場所であっただろうが、僕はここだ。


急いだ割にはまだ一人しか座っていなかった。座っていたのはフードを深く被った人物。王座から一番近い所に座っているが…あのような人物、前からいただろうか?上座の一番上に座っているなら相当偉い者の筈だが…。覚えている限りこんな怪しい人物はいなかった。まあ王が来ればフードも取り、顔が伺えるだろうからそのとき確かめよう。


ぞろぞろと人が増えてきたところで驚くべきことが起きた。なんとカイル王子とその婚約者の庶民が一緒に来たのだ。フードを被った者の前にカイル王子、その隣に庶民リリー・カインロスが座った。王子がそこにいるのは全く不思議でもなんともないが、ただの婚約者であるだけの庶民を王子の次に並べるか?!


「今日は何を話すの〜?」

「リリーは何も考えないで座っていれば大丈夫だよ」

「でもあたし、ちゃんとこの国の力になりたいわ」

「その思いだけで充分だよ、愛しいリリー」


ぞわぞわぞわ。

なんだこの歯の浮くような会話は。外でやれ。王子も婚約者の前だと随分印象が変わるものだな。他の臣下達はある者は下を見て、ある者は手元の書類を見ていた。まあ何か言える勇気ある者はいないだろうな。


「…それより、そこのお前。フードをとったらどうだ?これから国王がお見えになるぞ」


お、よくツッこんだ王子。さすがに王子が言えばとるだろう。偉い人とは言え、話すときにフードではとんだ無礼だからな。


「……。」


フードの人物は微動だにせず、フードをとろうとも動かなかった。なんだこいつは。不敬罪で訴えられるぞ。


「おい!聞いているのかお前」

「カイル止めて!この人にも事情があるのよきっと。無理矢理言ったらかわいそうだわ」

「し、しかし…」

「大丈夫よ、お父様もわかってくれるわ。ね?」

「わ、わかった…」


しょ、正気かこの女。それに従うお前も馬鹿なのか?どれだけこの女に惚れているんだ。確かに紫の透き通った瞳に細い絹のような金の髪の毛には目を瞠るものがあるが、性格は脳内お花畑の庶民の女っぽいぞ。



「国王がお見えです」


使用人の声と同時に席を立つ。ドアから王が歩き王座にたどり着いた。王はちらりとフードの奴を見るだけで何も言わずに座ってしまった。あれ?何故注意しない…?


「今日の議題は先日の違法薬物売買に関するものだ…・・・」


内容はあまり入ってきていない。どうせ聞いていたところで後からカイドウモン家に倒すべき家そうでない家についてまとめて手紙で送られるだろう。それよりも何故あの怪しい者を王はスルーするのだろうか?どんな関係があるんだ?に相談すべきか…?


「これにて本日の会議を終わりとする」


その声を合図にみんな立ち上がり、上座の者から出て行く。結局、奴の正体は全くもってわからなかった。



最後に部屋を出たのは僕。みんなが帰る方向とは逆に、図書館の方に進んだ。少し歩き階段を上る。と、なにやら会話が聞こえてきた。なんだ…?




『黒魔ーーを偽造?』

『そうです。それを私が王に言いーーー』

『うまいーーーーーーーね?』

『ええ、王は今ーを蘇らせることでーーーーーーーーから』

『わかったわ。とにかく今は様子見ね』



あれは…リリー・カインロスとフードの人物?ぼそぼそと話していて全ては聞き取れないがここにいるのがバレたらまずそうだ。静かに階段を降り、図書館は諦め家路についた。






誰が話し手か、わかりましたかね?

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