黒い魔法
帰ってくるや否やルイはそのまま出かけてしまった。なんだかミジュアに癒された後だし、修行する気にもなれないな〜。それにミジュアインパクトで忘れかけてたけどロンお兄様、結構すごいこと言ってたよね?リリー・カインロスが精神系の魔法を使ってるんじゃないかって。精神系の魔法もまた禁忌の魔法っていうし。っていうか、魔法っていうくらいファンタジーならなんでもアリにしなさいよね?!禁忌禁忌って禁忌ばっかじゃない!
気になるけど、私にできることあるのかな?未来予知でもしてみる?直接会ったことないリリー・カインロスについて。
「わかんないけど…やってみる価値はあるかなぁ」
ごろりとベッドに寝っ転がって考える。リリー・カインロスの今後の動きについて、予知できるかなぁ。まあやってみよう!視えろ〜視えろ〜!あれ?なんか見えてきた。これは…城内?
『黒魔ーーを偽造?』
『そうです。それをーが王にーーーーー』
『うまいくんでしょうね?』
『ええ、ーは今ーをーーせることで頭がいっぱいですから』
『わかったわ。とにかく今は様子見ね』
ほんの数秒の映像が視えただけですぐに視えなくなってしまった。それに重要そうなところにノイズがかかってうまく聞き取れなかった。なんだろう、黒魔法と偽造と王っていうのは聞き取れたけど…。ってか、一緒にいた深くフードを被った人はなんだ?かなり怪しいんだけど。っていうか会話がそもそも怪しすぎる。うーん、黒魔法、偽造、王…なにがどう関係してるんだろう。
部屋の隅の机で書物をものすごい速さで読むジンに聞く。
「ねえ、ジン。黒魔法って、どんな魔法があるの?」
「あ?なんだ急に。もしや興味持ったのか?」
「や、やだなぁ違うよ。この世界の魔法についてもっと知ろうと思って」
はい、口から出まかせ。
「そうだな、黒魔法自体に種類はない。黒魔法ってのは悪魔を呼び起こして願いを叶えてもらうって魔法だ。悪魔はな、なんでも願いを叶えてくれる。生贄を差し出せば」
「生贄?!そりゃまた物騒な…」
「そう、生贄だ。最も、初めに呼び出すときに生贄を使うんだ。詳しい方法は教えねえが、それで悪魔を呼ぶ。願いの度合いによって生贄の何かを奪って契約成立だ」
「願いの度合い?それってなに?」
「例えば願いがお金持ちのいう『今すぐケーキが食べたい』だとするだろ?全ての判断は悪魔がするらしいが、軽いとみた願いに対しては生贄の一部しか奪わない。髪の毛だとか、片目の視力だとか。だけど貧乏人がいう『大金持ちになりたい』だと、そいつがまともに働いてどれくらい稼げるかとの差を見て重い願いだとする。そしたら悪魔は生贄の心臓だったり、脳みそだったりを奪ってくんだ」
「それってほぼ死んでるじゃん…。っていうか、どんな願いでもいいの?」
「そうだな、いいんじゃないか?なにせ悪魔だからな」
「どこまでならいいのかなぁ」
「まあ、人を生き返らせる、とかならできんじゃねえの?禁忌って言われてるくらいだから」
「マ、マジか…とんでもないね、黒魔法」
「とんでもねえよ。だから禁忌として伝説にされているんだ」
「でもさ、悪魔の書みたいなのがあるんでしょ?どっかに」
「…ああ、国家の極秘管理図書館の高等資料の最重要管理書物の一つだ。ただ、これは殆どの人は読むことができない。国王直筆のサイン入りの許可証から、文部大臣による可読審査、それに加えて読むときはガラス張りの個人認証がついた個室で読むことが義務化されていて時間は五分。手に取ったやつの履歴は必ず残るし、悪用はされないように厳重に守られている」
「す、すごすぎる。そこまでして読みたい奴なんているのか…って、なんでそこまで詳しいの?」
ま、まさか
「俺はそれを読んだことがある」
やっぱりー!すごすぎる。この人の知識にかける熱が凄すぎる!
「全部クリアしたんですか?!」
「ああ、条件のクリアに三ヶ月かけてな。三ヶ月かけて時間は五分だ」
「そこまでいくと知識オタクみたい…」
「今なんつった?!」
「まあ確かに、ジン読むの早いしな」
「ああ、本気出して全部目は通してやったけど」
「どんくらいのページなの?」
「ざっと150くらいかな」
「はあ?!バケモンか!」
「ま、そういうわけで本の内容について詳しく言うことは禁止されてるから言えねえけど。黒魔法の説明はそんくらいでいいだろ?」
「あ、うん。ありがとう」
黒魔法、悪魔、王、偽造…どう関係してるんだろう。どちらにせよ、リリー・カインロスは黒魔法に関与してるって考えていいのかな?




