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ビンゴ



彼女も同じ、途中から魔法が使えるようになったのか…。私みたいなのと同じ、別世界の魂が入ってきちゃったみたいなのある?でも魔法が使えるのは学園に入る前からでしょ?時期はズレてるってことか。でもリリー・カインロスって何人も男を落としてたじゃない?現代の人、そんなことやる?なんかの乙女ゲームの転生モノじゃあるまいし。


「他の彼女を愛していた男たちにも聞いてみたんだ。そしたら、僕と同じだった。彼女と会わなくなってから急速に想いが無くなってしまったと。まるで無理矢理仕向けられた恋の魔法が解けてしまったように」

「こ、恋の魔法ね、あれね。解けた感じね、うん」

意外にロマンチックな感じで物を言うのねロンお兄様。

「それってあの三人?」

「レッグス・モートン、キルア・ジャズリー、アクサス・モルガイトだ」

「あの三人も今のお兄様と同じような状態なの?」

「そのようだ。詳しくは聞けなかったが」

「に、俄かには信じがたいけど…」

「それもわかる。だけどな、あんなに頭がいいカイル王子が、婚約相手に庶民を選ぶか?普通じゃないぞ」

「たしかに!前はノーブロリア一等級の私が婚約者だったし、それは王も認めていた筈だもの」


まあミミリアとの婚約を認めてるのもどうかと思うけど。


「そう、ミミリアと婚約破棄したっていうのを聞いてから暫くは王様も反対してたんだ。相応しくないからって。でもそれがある日突然認め始めたんだ」


なんだろうこの気持ち悪い感じ。見えない巨大な力がずぶり、ずぶりと侵食していってる感じ。


「何故突然認めるようになったのかはわかってない。さすがにルーヴェルトン家の諜報力をもってしても調べられなかった」

「ね、ねえお兄様、何故私にそこまで全て教えてくれたの?」


だって私記憶喪失(っていう設定)だよ?妹とは言え以前は嫌ってたんだし、全く別人になって帰ってきたのに、いきなりこんなこと打ち明けようと思う?コソコソ調べてるその行為は下手したら反逆罪として言われてしまうかもしれないのに。私は今カイドウモン家の側で来ている。これがカイドウモン家に、そして王家マーツォリアにバレたらどうするつもりなのか?


「なんでミリアに言ったかわからないって顔だね」

「え?!あ、えっと…」

「いいんだ、僕もよくわからない」


わからないと言いつつくつくつと笑う兄はとても人間ぽかった。あ、こっちの方が好きだな。


「なんかね、今のミリアを見てたら話したくなっちゃったんだ。それと、捨てられていく君を見捨てるような真似をしてすまなかった」


そういって深く頭を下げる兄。


「な、なんで?!頭を上げてください!私、覚えてないんですよ、全然。それに以前のミミリアの行動からしたら当然の事だと思います。お兄様が気に病む必要は全くないんだよ」

「…ありがとう。生きててよかった」


ミミリアは彼の心の扉を開けることはできなかった。それは触れ合う時間が少なかったから。理解し合うには言葉が少なかったから。ミミリアがもしロンと仲が良ければきっとあそこまで寂しさを拗らせた子にはならなかっただろうし、ロンももう少し穏やかに家出過ごせたかもしれない。だってきっとロンお兄様、優しい人だと思うから。何もわからないでいなくなってしまったミミリアに少し同情してしまった。


「お兄様、たまに連絡してとろうね、遊びに来るから」


今度はちゃんと、たくさん話そう。


「ああ、待ってるよ。…と、偉く長く話し込んじゃったな。ルイさんとジンさん大丈夫かな…僕としたことが」

「あー大丈夫大丈夫!あの二人なら全然」

「ミリアはあの人たちに助けられたんだろ?」

「…まあ、その通りです」

「お礼をしなきゃな」

「いいよいいよ、あの人たち、そういうの苦手だと思う」

「そうか?なら無理強いはできないか」

「そうそう!それより早く呼んであげよう」


と、お兄様がベルを鳴らす。

突然なんだ?


「失礼します。ご用件をお聞きします」

「ルイさんとジンさんを偉く待たせてしまった。話は終わったから部屋にいれて欲しいんだが…彼らは今どこだ?」

「僭越ながら、私の息子と遊んでくれております。稽古をしてやる、と庭で…」

「え!12歳の息子さん?!会いたい!」

「じゃあ僕らも庭に出ようか。少し息抜きだ」


エルミーさん、すごく白くて儚げ美人なんだよね。茶髪で茶色の瞳。細いけど芯を持ってそうな女の人。頼むからあっちの血は全くと言っていいほど流れてくれなければ絶対美少年がいると思うんだ!


キン!カン!


剣と剣がぶつかり合う音が聞こえてくる。そこにいたのはーー





「茶髪の儚げ美少年ーっ!」



ビンゴ!




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