頭ポンポンは反則ですよ
「おい!何者だ?」
「……。」
「おい、止まれ。怪しい者を通すことはできない」
「……。」
「止まれ!ひっ捕らえろ!」
「血の気が盛んなこった!いくぞミリア!」
「はい!」
衛兵の数は今は入り口の門にいた2人、そして玄関口にいた2人の計4人。持ってる武器は剣。ジンさんと背中を合わせる。
「ミリア、魔法使える奴がいるかもしれねえから油断するなよ」
「わかりました」
「余所見してんなよ!」
1人の衛兵が剣を振りかざしてきた。でもね、私、あなたが剣を振りかざすの、視えてたよ?
「如意棒!」
伸びる前の短い如意棒で受け止める。ビイィィンと振動するソレは相手の力の強さを示す。
「そんな武器でなにができるんだ、よっ!」
すかさず横に切りかかってきた剣を如意棒で受け流し、氣を込める。
「伸びろ!」
相手に向かって勢いよく伸びていった如意棒はうまく鳩尾にクリーンヒット!やった!作戦通り!
「ぐふぅっ」
1人の衛兵は血を吐いて倒れてしまった。え?死んでないよね?殺してませんよね?私。
「チビがなめるなよ?!」
別の衛兵が剣を持って向かってくる。この人、隙がありすぎ!ルイさんに怒られるよそんな剣の使い方。真っ直ぐ向かってくる剣をしゃがんで避け、相手の懐に入る。もらった!
「氣功拳!」
氣を手に集中させ、相手の腹目掛けて1発!そいつは家の壁に向かって飛んでいき、壁に激突した。あれ?壁が…ヒビ入ってる…え、え、死んでない…よね?大丈夫だよね?!
「…ミリア、俺出番ねえなここ」
「え?!なんでですか!戦ってくださいよ!」
「ちょっとルイの方見てくるわ!危なくなったら大声で呼んでくれ。こっから叫べば聞こえるだろ」
「こんなか弱い子を一人にするんですか?!」
「うるせえな、大丈夫だ。頭を獲っちまえば戦いは終わる。ルイがちゃんと生け捕りにできるかも気になるし、少しの間ここを頼む」
「ちょ、ちょっとジンさん?!」
…行っちゃった。
でもこんなか弱い女の子なんだよ?一人にするのおかしくない?み、見逃してくれないかな…。
「あ、あのぅ…」
「中に行ったぞ!追うか?!」
「いや、中の警備は中の奴らがしてくれてるだろう。コイツまで中に入れちまったらやべえだろ」
「そーだな、倒さねえと」
あれー?!全然無理そう!全然殺気立ってる!
「オラァアア!」
「ぎゃぁぁあ氣功拳!」
「ぐぁあっ」
「テメェふざけんなよォオオ!」
「来ないで下さいぃぃい!如意棒!」
「ぐおっ」
そして冒頭に戻る。
ジンさんてば本当にあり得ないんだけど!だって今日が初だよ?!初めてまともに戦うのに!一人にする?!イライラしてきた…。
ってあれ?こいつら、魔法使えるな?視えたよ。魔法の種類はーー
「土魔法!」
「うきゃっ!痛っ!」
予知くるの遅い!バランスを崩して転んでしまった。こいつの魔法は土魔法。と言っても土をデコボコにしたりすることくらいしかしなさそう。もう一人は…浮遊魔法!…どっちも微妙だな!
と、転んだ隙にいろいろ視てると襲ってきた。
「おら早く立たねえと死ぬぞ?!」
お前が殺しにきてんだろ!
「如意棒!」
丁度いい長さまでにした如意棒で受け止める。くっそ、力強い。うわ、浮遊魔法のヤツが後ろから来る!
「如意棒に装着!」
如意棒に氣を纏わせ、跳ね返す。それと同時に長さを一気に伸ばし振り返る反動で…
「ぐぅあっっ!」
ふふ、私の如意棒は伸びるんだぞ!まずは浮遊魔法のヤツ一丁上がり!
「…く、くそッ。なんなんだお前のその魔法は…その全部見透かしたような攻撃パターンは…!」
「説明する気はないね。一発で仕留めちゃうよ」
両足を揃え、静かにお辞儀をする。顔を上げると相手はハァ?とした顔を浮かべていたが関係なし。スッと調節した如意棒を構える。道着じゃないのがどこか不思議な感覚。でも、身体は動きを覚えてる。剣道において大事なのは、声。
「めぇぇぇぇぇええええええぇええん!」
氣を込めた如意棒は相手の首元に落ちていき、そのまま相手は倒れていった。静かに立ったままお辞儀をし、一息つく。剣道は挨拶に始まり挨拶に終わるもの。礼儀が大切なのだ。
そしてなにより…その場にノびる四人の男。これ、全部私がやった?!死んでないよね?!
と、ジンさんが急いで戻ってきた。
「今なにか変な奇声が聞こえたんだが大丈夫か?!魔物か?!」
…失敬な!
「まあ、こっちは大丈夫でした。それより当主は捕まえられたんですか?」
「結構衛兵たちが手強くてな。それに肝心の守られてる当主がルイを挑発するもんだから俺が行ったとき今にも殺そうとしてたんだ。止めるのに必死だったよ。でも一応当主は捕らえて縛ってある。あとは脱税についての隠蔽と違法薬物売買のリストを吐いてくれればいいんだが…」
「なるほど」
「それよりやっぱりお前一人で倒せたな」
「ああ!そうですよ!女の子一人で置いていくなんてあり得ません!」
「悪ぃな。でも俺は、お前が一人で倒せると思ったから行ったんだぜ?勝算の無い戦いはしねえよ」
「…ならいいんですけど!」
「まあ、お疲れ」
自然な流れで頭をポンポンしてくるジンさん。あんたさては天然人誑しだな?ああ私としたことがジンさんにナチュラルに赤くされるなんて!身体が熱い!
「とりあえず当主のとこに行こう。ルイがどんなことしてるかわかんねえからな」
「………はいはい!行きますよ!」
「あ?なんか顔赤いか?」
「気のせいです!行きますよ!」
くっそー!もっと怒るつもりだったのに怒れなくなっちゃったじゃんか!!
頭ポンポンは、とてもいいですよね。




