メリさん
どうしようどうしようどうしよう。これバレちゃってもいいの?どうなの?ああ、いつも助けてくれるルイさんとジンさんがいない!
「……えっと、ミミリア、っていうのは?」
なんとか誤魔化す方向で進めてみよう。他人の空似!だって髪型も格好も違うし、ミミリアが毎日ばっちしやってた化粧もしてないんだよ?!大丈夫大丈夫バレないわ、落ち着くのよミリア…!
「とぼけなくて大丈夫よ。でも、前見たときとは随分印象が違うわね。別人のようだわ。顧客の顔は一度見たら忘れないワタシがちょっと戸惑っちゃったわ!」
完 全 ば れ て る !
もうこれはしょうがないよね?私、悪くないよねルイさん!
「……な、なんでわかったんですか?ミミリア、このお店来たことあるんですか?」
「顔立ちとスタイル、あとはホクロね」
「ホクロ?」
「貴方、右目の真下にホクロあるのよ。ミミリア様もそう」
「そ、そうだったんだ…」
でも、ミミリアがこの店に来たっていう記憶は無いよ?なんでメリさんは知ってるんだろう。
「ふふ、なんで来たことないのにわかったの?って顔をしてるわね」
「えぁ?!す、すいません…」
「ミミリア様、ワタシの店よく使ってくれていたでしょう?オーダーメイドで!ミミリア様が直接お店に出向かれることはなかったけど、お写真とスリーサイズと希望のドレスの形を送ってきてくれていたじゃない!いつもピンクの可愛らしいドレスを作るのが楽しみだったわぁ!それがピタリと止んだと思ったら全く違う格好してお店に来るんだもの、本人か思わず確認しちゃったわ」
顔を覚えるのは1番得意なんだけどなぁ、と呟きながらメリさんはこちらを見てきた。
あ、あれ?じゃあミミリアとしてメリさんは接してるってことかな?
「ミリアっていうのはお忍びの為の偽名でしょ?ルイちゃんと知り合いなのは正直驚いたけど…その格好ならミミリア様って早々わからないものねぇ」
「そ…そーなんですよぉ!お忍びです!社会見学なんですぅ!」
よーし、これはいける!メリさんは私をミミリアだと思ってる!そりゃそうだ、中身は全くの別人ですわ☆なんて言ったところで信じてくれる人はいないだろう。幸いメリさんは直接あの性悪ミミリアと会ってなかったみたいだからここはもう突き通させてもらう!
「で、でも、このことはみんなには絶対秘密でお願いします!王国の人が来たりしても言わないでください!」
「そうね、ミミリア様は特にお得意様だし…貴族だって息抜きくらいするわよね。大丈夫、このお店には立派な守秘義務があるし、それは法で定められているから。誰にも言わないわ」
「ありがとうございます!あと、ミミリア様、じゃなくてミリアちゃんって呼んでほしい…です」
なにせミミリアは私の名前じゃないからね。
「まあ!でも…ノーブロリア一等級の貴族様じゃない。そんな無礼はとても…」
「いやいやいやいいんです!色々あって、ローバル階級になりましたし、メリさんとはこれからも仲良くしたいので!」
「あらそう?じゃあミリアちゃんって呼ばせてもらうわね。ところで、いつもみたいなドレスは注文しないのかしら?いつも楽しみにしてたんだけど…」
「あ、生憎なんですが、私服の趣味が一転してしまって…動きやすいズボンの魅力に気づいたんです!だから多分ドレスは頼まないと思います、すいません…」
「謝らないで頂戴!顧客のニーズに応えるのがお店の義務よ。オーダーしてくれたら世界に一つだけの、ミリアちゃんにピッタリなズボンを作ってあげるわ」
「ありがとうございます!でも急ぎで必要なので、5着くらいサロペットとシャツの準備だけお願いします」
「5着くらいね〜はい!これでどう?」
もうどこになにがあるかわかっているのか見ないで5着出してきたメリさん。プロだ…。
「大丈夫です!いくらですか?」
「5着だから結構するけど…お金はルイちゃんから頂くから大丈夫よ!」
「ええ?!」
「紳士だから、払ってくれるわ」
「あ、あと。一つドレスではないけどワタシの娘がもう着なくなった水色の普段着があるの。こっちも女の子らしくて素敵よ。新品じゃないから無料でつけておいてあげる」
「え!そんな悪いです!」
「いいのよ!ミリアちゃんの趣味じゃないかな、とも思ったんだけど趣味が一転したって言ってたしどうかなって思ったのよ」
「捨てるんですか?」
「そうね、ミリアちゃんがいらなかったら処分しちゃうわ」
「じゃあ…頂きます。ありがとうございます」
「ええ、これからもよろしくね」
洋服をたくさんもらってハッピーな私は帰りのお尻の痛くなる馬車でも笑顔が絶えなかった。特に、メリさんがくれた村娘風な水色の服はとってもかわいい。THEファンタジーの服!って感じでとてもかわいい!(大事なことなので二回言いました)
「ふふ…ふふふふふ…」
「ミリアの奴、服握りしめてなにしてんだ…?」
「…嬉しかったんだよ。そっとしてやれ」
「気持ち悪ぃな…」
「お前にだけは言われたくないと思うよ…」
私って根は女の子なんだなぁ!ズボンの方が好きだったけど、やっぱりこういうかわいい衣装を見ちゃうと嬉しくなっちゃう!まあ戦うにあたっては不向きすぎるから、おでかけの時にでも着ようかな!
「ふふふふ…ふふ…ふへ……」
「お、おい。止めた方がよくねえか?あらぬ方向を見てるぞ」
「いいんだ。ミリアは今喜びを噛み締めてるだけだから、そっといといてやれ…」
あーあ!今日はいい日だったなー!




