気分は灰かぶり
如意棒と氣の修行をして何日か経ったあとーー
「ミリア、市場に行くけど来る?」
「行きますっ!」
実は私、未だこの世界の生活に触れていない。何故かと言うとこの洋館での修行で日々が終わってしまっているから!一応ここも王都らしいけど、なにせポツンと洋館があるだけで周りは寂れてる。市場なんてものに行ったこともないし、あるのはミミリアの記憶だけ。
「あ、でも私の顔だとバレちゃいますか?ミミリアって」
「うーん、履いているのはズボンだし、髪を低いところで結って帽子を被れば完璧に男っぽくなるんじゃないかな。それに、貴族の令嬢がお忍びとは言えこんな格好をすることはないからね」
あれ?暗に貧乳って言ってません?そりゃすごい大きいってわけじゃないけどこれでも前の世界よりはおっきいんですからね?!形も綺麗だし!しっかりとサラシ巻かせて頂きますよ?隠さなきゃ男に見えませんからね!
ベレー帽を被って完璧かな?
「ジンさんは行かないんですか?」
「ジンも行くよ?何せ遠いし、荷物が多いからね。今馬車呼んできてもらってる」
「馬車に乗るんですね!初めてです!シンデレラみたい〜!」
「シンデレラ?」
「あれ?知りません?意地悪な継母にいじめられながらも、舞踏会に行き王子様と結ばれる話です!」
「ああ、灰かぶりの話?ミリアも知ってるんだ」
「灰かぶり…ま、まあそれです」
「ミリアは意外とグロテスクな話が好きなの?」
「え?!シンデレラのどこがグロテスクなんですか!夢見る少女のバイブルじゃないですか!」
「だってあれ、踵を切り落としたりするじゃん」
「…え?」
なにそれ怖い私の知ってるシンデレラじゃない!
「まあ欲しいものをそこまでして手に入れようとする姿勢は尊敬に値するよね」
「あはは、そうですね」
口先だけの同意をしておく。こういうのは深く話さない方が身のためなんだぜ。へへ。
と、ガラガラと音が近づいてきた。
「あ、来た」
「……思ってたのと違う」
「まあ、借馬車だからね。中心部に行くだけだから安いのを借りてきたんだろう」
「白馬じゃないのか〜王家のは白馬だったのに」
「まあ、お金持ちだからね〜」
「おい、早く乗れ」
「はーい!」
嬉々として乗る。初めての馬車!生まれて初めて!初めてはシンデレラみたいに白塗りの白馬が引っ張る馬車が良かったけどしょうがないよね。
と、乗ったはいいものの…
「くぅ〜!お尻痛い!」
「おい!女がお尻とか言うな!」
「他になんて言えっての!馬車って憧れてたけど思ったより快適じゃないのね…」
「まあこの辺は道も整備されてないからね」
砂利道を通ってるからなのかすごく揺れる!座るところもお世辞にもふわふわとは言えないしお尻が痛む…。これ、筋肉ついちゃうんじゃないの?ケツ筋っていうの?やだ…硬くなったらどうしよう。
でも、だんだんと進むにつれて道が整備されてるのか揺れも少なくなってきた。
「ルイさん、どうして急に連れていってくれたんですか?」
「うーん、まあ一応ミリアも強くなってきたし、連れて行っても大丈夫かなって。それに、服とかも僕のを貸すのも限界があるからね」
「え!服買ってもいいんですか?!」
「まあ、何着かは揃えておこう」
「やったー!」
「あんま買いすぎんなよ?一応国からの報酬っつっても国民の税金からもらってるんだからな」
わ、ジンさんが珍しくマトモ!
「わかってます!女の子なんだから浮かれるくらい許してください!」
「はいはい」
呆れたような顔をしながらも微笑むジンさんは中々にかっこよかった。でもその隣を見ると馬車の外を見つめるルイさんの方がイケメンだった。ごめんねジンさん。やはりどこの世界でも美男美女はカーストが最上位なのよ…。あ、自分で言ってて悲しくなってきた。同志ジンさん、強く生きようね。
進むにつれて段々と賑やかになってきた。
「ミリア、もうすぐ着くよ」
「はーい!」
ー
「ふふふ、やっぱ女の子だよね」
「かーみーさーまー!早くこの書類に判子お願いします!」
「もう!今休憩でしょー!」
「神様が溜めた書類ですよ。休憩返上してもう少し働いてください!」
「パワハラだーーー!」
久しぶりに神様出してあげました。
相変わらず働いてないみたいですね!




