カイドウモン
物語の大筋を考えましたが書くのが追いつかなくてもどかしいです。いっそあっという間に最終回にしてしまおうか。嘘です。
「で、事情が変わったからもう今すぐにでもここを出る」
「え?!私なんもわかってないんだけど?!」
「今は我慢して。もう少しして王都に行って落ち着いたらまた修行しよう」
「ここじゃなんかマズイの?」
「マズイもなにも、場所バレちゃったからね」
「さっきみたいな奴らがうようよ来るぞ」
「さあ支度はできました行きましょう」
冗談じゃない。あんな血の気盛んな奴らが来るってこと?ほんとにこの人たちは何者なの?世界的犯罪者かなにかなの?
「僕らのことは移動中に話すよ。一応この布被っといて」
そういって無造作に渡されたのはフードの付いたマントのようなもの。意外に生地がしっかりしていて、内側にたくさん武器を引っ掛けるところや小物を収納するものがある。便利だなぁ。
「お前、カイドウモンとかレジスタントとかが気になってしょーがねえだろ?」
はぇ?なんて?
「さっきの奴らも、どっから情報嗅ぎつけたんだかね、吐かせたかったのに」
怖いですよルイさん血が騒ぎまくりです。
「と、とにかくここが危険なのはわかりましたからすぐに逃げましょう?」
「ミリア、薬箱持っててくれ」
「ミリア、僕の荷物持ってくれる?」
え、なんで?
「え、私女の子ですよ?」
「は?んなこと知ってる」
「だから頼んでるんです」
え、なんで?(2回目)
「か弱い乙女に持たせるんですか…?」
「か弱くねーしだれが乙女だよ。俺らでお前の両脇かためるから、敵が来てもすぐに戦えるように手ぶらにしときてえんだ」
「王都にでればまだ手は出せないから平気なんだけど、森を抜けるまでは我慢してね、ごめんね」
「あ、そういうことなら持ちますとも!」
つまり2人は私を守ってくれる騎士ってことね?!素敵!憧れてたこういうの!状況は全くよくないけど!
「じゃあとりあえずしばらく歩くし、俺らのことでも説明すっか」
やっぱり歩き?
車が恋しくなってくるなあ…。
「僕らの本名はルイ・カイドウモン、ジン・カイドウモン。カイドウモンっていうのは通称影の権力者。国家直々に命令されて動く謂わばスパイみたいな活動をしてる家なんだ。汚職が見つかればそいつを潰し、国家を狙おうと愚策していればその家を潰す。まあ大体が不正を働いたりする家を潰すことが多いから、周りからはレジスタントって呼ばれてるんだ。カイドウモンっていう国家に最も近い貴族がいることは知られてない。みんなが知ってるのはカイドウモン=レジスタントっていうことくらいかな」
「俺らがカッコつけて名乗っちまうからな。全員ぶちのめしたあとに」
だからさっきも襲われたんではありませんか?
「恨み買って住んでるとこも転々としてんだよ。ただこれは国家っていうかマーツォリアからの命令で動いてるわけだから一応衣食住の確保は簡単にできるようにはしてもらってる」
「なんでカイドウモンはそんなにマーツォリア家の言うことを聞くんですか?」
言っちゃえば影の汚れ仕事って感じだ。権力をもってるならわざわざカイドウモン家がやらずに王家であるマーツォリアがやればいいのに。
「その方が動きやすいんだ。レジスタントとして認識されてる僕らは反国家の人間だと思われてる。僕らが一番派手な反国家勢力だから、他にあまり大きい組織が生まれない。これは400年以上前、この国が生まれた時からそうだったんだ」
ヒェー!じゃあミミリアが見てきた国と反国家勢力国との長年ある対立っていうのは国家と最強の貴族とが生み出した幻想ってことですか!うわぁ騙されてたんだ、ミミリアたち。
「そのカイドウモン家なのがルイさんとジンさんなんですね」
「そうそう」
ふーん、なんとなく理解した。それにしてもカイドウモンって日本っぽい名前だなぁ、2人はメボル語?とか言ってたけど。
「居場所がなくなっちゃったけど、これからどこに住むの?」
「とりあえず王都に居場所がなくなったときにいつも借りてる借家があるんだ。そこに行こう」
「お金あるの?」
「うーーん、まあ、あるといえばあるよ」
なぜ歯切れがわるいんだ!
それにしても。私は半分ルイさんとジンさん(この人ほんと少ししか喋ってないけど)の話を聞きながら頭ではもう一つのことを考えていた。
ヒントは『視える』、か…。
なんだろう、視えるっていうのはさっきの盗賊がくる映像みたいなものが視えるってことかな?それに元来の君って、ミミリアの身体に入る前の私のことだよね?なんだろう。
う〜ん、全くわからない。だって魔法なんてない世界だったもん。なにかないかな〜。視えろ〜!視えろ〜!なにかしら視えろ〜〜!
ヒュッ
前から矢がくる映像が視えた。
バッとそっちを見てもなにもない。なんだ…?今視えろ視えろいったから視えたのかな?なんだろ、この後ほんとに矢が来たりする?
「ミリア、どうしたの?」
「いや、なんか前から矢がくるかもな〜なんて。あはは」
あははじゃないわ。自分。
ヒュッ
「矢?……っぐッ!」
「ルイさん?!」
「だ、大丈夫だ。擦っただけ」
「治癒は?」
「大丈夫だ」
前から飛んできた矢は私の右に立っていたルイさんを擦り、後ろにあった木にビイィインと突き刺さった。まだ揺れている矢を見ても威力の強さが伺える。
ちょっとぉ…!現実に起こるじゃん!
「…チッ」
あるぇ?!今舌打ちしましたよねえ?!ルイさん、舌打ちしましたよねえ?!ダメですよ、人に向かって舌打ちなんて!だって怖いから!
「僕に矢で戦いを申し込むなんてバカばっかりだな」
ルイさんは後ろに背負っていた細長い筒から弓を取り出した。
「え?!ルイさん弓もできるんですか?!」
「ルイは剣と同じぐらい弓の腕も立つぜ。ただ、弓は自分の手から離れるから、相手を倒した気がしないんだと」
理由が怖い。
「最高速でお返ししてやる。風魔法装着」
弓矢の部分に風が纏わりつき、一体化する。ルイさん、風魔法が使えたのね…!
「逃げてもムダだ」
ヒュッ
さっきの矢よりも何倍の速度で飛んでいき、一瞬で見えなくなってしまった。1秒しないうちに「ぐぁあ!」という声と共にドシン!と地上に落ちる音がしたから木から落ちたんだろう。
今日学んだことは、ルイさんを怒らせてはいけないこと。
ジンの…役割も見せ場も驚くほどない…。
全部ルイにとられてる…。




