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組織

どこかの建物内、鉄筋コンクリート造のビルの中は照明がない限り何も見えない。建物内には月明かりさえも差し込まないため、人口照明が覇権を握っている。管理者亡き後、まともに管理もされなかったのだろう。電気系統が完全に故障しており、更に水道も通っていなかった。


電気も通らない、照明は設置されておらず、そんな真っ暗なビルの中、1つの部屋の中に男達は居た。


「ふん、計画が順調すぎるぞ」


屈強な体、白髪混じりの黒髪男が、部屋の中心の椅子に座っており、一人の男に語りかける。


「ボク…いっぱい倒したよ……報酬あげても…いいんじゃないかな……」


部屋の隅で体を丸めている男。何かに怯えているのか、チラチラと男達の様子を伺い、体を震わせている。


「えー?誰お前?知らんやつに報酬出すわけねぇだろぅがよ??クソガキがまともな飯食えると思うなよぉなぁ??」


金髪チャラ男がズカズカとガキに近付いていき、威圧的な態度でガキを震わせる。


「ひぅ…!」


「やめんか…ワシらが争う意味は無い、鈴木、計画はどうなっている」


椅子に礼儀正しく座っている、営業マンみたいな人に話しかけた。


「計画は普通ですよ?まぁなんて言うのかな、ちょっと何人かにバレて迷惑かけちゃったけど、それ以外はオケオケって感じですね」


「はぁ…微量でも敬意というのは無いのかお前は」


「?」


「ふん、別にいいんじゃないのか。仕事面で言えばこいつの右に出る者はいない。つまり、それが最適解だったということだ」


「おいよぉ?今ガキ共はどぉなってんだァ??ガキの教育なんてよぉ、時間掛かるやつ押し通してぇよぉ?結果出なかったら首吊りだろぅがよぉ?ぶっぅによぉぉ??」


「ふん、その件も確かに気になるな。鈴木、その件のこと、聞いてもいいか?」


「オケオケですね、まぁ特別言うほどでもないんすけど、160人程の子供を拉致、そして教育、開始1ヶ月で半分くらい死んじゃいましたけど、今は2人くらい生きてますよ」


「…二人?」


「おいおいまじぁか??2人ってのはよぉ?現時点で合格ラインを超えている数だよなぁ??いや、それであって欲しいぜまじぃでよぉ??」


「いや生き残ってるのが2人です。そんでその2人は合格ラインに達していないどころか、衰弱寸前でほぼミイラですね。もう捨てるしかないっすね」


「…子供達が…何のために……無意味だったってことでしょ…それ…」


「無意味では無い…今回の結果が次へと繋がるのだ。再び計画を進めれば…次こそ…成功するはずだ」


「はず、だろぉ??ガキ攫うのも楽じゃねぇんだよぉこっちはよぉ??権力持ってるジジイとかなんとかだっけかぁおまぇぇ??…戦闘能力ならコッチが100倍上だ」


「ふん、やめておけ。その方が死のうものなら、次の日、お前は惨殺死体で発見されるだろう」


「…チッ…クソがよぉ」


「んじゃまあ、計画はいい感じって事で?僕帰らせてもらいますね?」


「……ばいばい……おじさん…」


「ふん、また明日、今日と同じ時間だ。忘れるな」


「りょーかいですよ、僕にはスマホがありますから、予定を忘れることなんてないっす」


鈴木が扉を開けた瞬間、階下から悲鳴のような声が複数響いた。そして銃声が数回。


「侵入者かぁ??馬鹿なことぉするやつもいんたなぁぁ??」


「…見に行った…方がいいのかな……」


「ふん、俺だけで十分だ」


「ん?じゃあ少しここで待機してますー。早くしてねー」


「緊張感の無いやつだな…」


屈強な体をプリプリと揺らし、男は廊下へと消えていく。そこから会話は無かった。各々が自分のやりたい事を無言でやっている。その間も銃声と悲鳴が止まることはなかった。


「…見に行こうかな……」


「あ!こういう時のカメラっすよ。なんかありましたよねカメラ?」


「静かにしろょぉ?こっちはノッてんだからよぉ??」


「鈴木…監視カメラの映像を出せ…」


「うい」


部屋の中心に置かれたモニター、音もなく映像が映し出される。暗視機能が付いているため、暗闇であるはずのこのビル内でも、仲間や敵の姿を捉えることが出来た。


画面に映っている廊下には、部下の死体が複数転がっている。床を埋め尽くすほどの死体の山の上を、レッドカーペットかのように歩いている女が2人。顔までは識別出来ないが、長身の女と小柄な女、長身の手には血濡れの金槌があり、小柄の女は拳銃を2丁持っていた。


「これは…どうなっている…」


「あ、中森さん突っ込んでいきました」


己の身一つで突っ込んでいく中森、屈強な体の持ち主であり、最強のボクサーでもある中森が、拳銃持ち相手に正面から突っ込んだのだ。何か勝機を見出したのだろう。


「あー死んだ。何してんすかねー」


小柄な女が中森に照準を合わせると、避けることすら出来ずに中森の額に銃弾が貫通した。屈強な体が力なく前のめりに倒れる。個性のある人物が、モブ死体山の1人になってしまった。


「……やばいよ…みんな行かないの…?」


「チッ、あぁめんどァくせぇなぁ??おい行くぞガキィ、二人がかりなら行けんだろぉがよぉぁ??」


「ぇ…ぁぁ……わかったよ…」

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