表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/32

「これ、何個あるの?」


床に散らばった資料は数知れず、床に使われた素材を確認することさえ難しい。魔王は堂々と資料を踏み、窓際に設置されている机へと向かった。


「ふむ…」


机の上は、最近使用したからなのか、資料が綺麗に整理整頓されていた。その中から1つの紙を手に取った。これも先程の資料と同じく、写真と詳細が書かれている。


「これは…536番なのか。この数字は被害者数ということでいいのかな??」


こちらも同様に頭部が破壊されている写真。この部屋に敷かれた資料は、全て同じ人物が起こした犯行なのだろうか。他の資料を手に取り、他のを、他のを、やはり全て頭部が破壊されている。魔王の推測通り、これらの犯行は一人の人物によるものなのだろう。


「一人で500人か、模倣犯もいるだろうしこの情報が正確かは分かんないけど、凄い数だなぁ」


それと同時に疑問もある。警察は何をしているのか、と。一人の人物がこれほどまでの犯罪を起こしておいて、警察は犯人の逮捕に至っていない。資料を見る限りでは顔も性別も、何も分かっておらず、潜伏している範囲も県だけしか書かれていない。犯行時間帯は予測不能、唯一分かっていることは殺害方法だけ、警察もお手上げのようで、巡回を増やす程度しか対策がないらしい。監視カメラも年々増えてはいるが、犯人はその度に行動を変え、毎度死角を通っている。監視カメラなど、その犯人には意味をなさないのだ。範囲が県ということもあり、自由なカメラ設置も難しい。金、人手、時間、何もかもが足りない。被害者多数とはいえ、資金は無限では無いのだ。地道に行くしかないと、警察も半ば諦め状態らしい。


その後、ほぼ全ての資料を読み漁った。


「あー、もう疲れた。いっぱいありすぎだよ…」


リビングに移動してソファに腰掛けた。小綺麗にされた部屋、というよりかは、必要最低限の物しか置いていないだけのようだ。亜美と同じタイプみたいだが、こちらの方が断然生活感がある。


今座っているソファにも、長年使われた痕跡が残っており、若干男の匂いのようなものも感じた。


「ふぅ…あ、そういや、戸村いつ来るんだろうなー」


あの部屋に置いてあった資料は、一人の殺人犯に関するものだけだった。戸村の話というのも、それの事だろう。無難に捜査協力を取り付けようって魂胆だろうな、断る理由も特に無いが、面倒事に首を突っ込むのはあまりしたくない。まずは詳細を聞いてからかな。


何となくソファで横になる。魔法布を作って被り、魔法目隠しも付けた。平日の昼、外は自然と静かになっている。少し辺鄙なボロアパートには風の音だけしか届かない、魔王の意識は段々と薄れていった。


──────────────────


午後4時半頃、戸村帰宅。扉の前で鍵が開いていることに気付いた。少し目を細め、警戒態勢に入る。無理にこじ開けたわけではない、ピッキングの痕跡も無さそうだ。合鍵を持たせている人もいないし、誰かを呼んだ覚えも…


「チッ…勝手に開けたのかよ」


扉を遠慮なく開け、玄関に足を踏み入れる。いつも通りに靴を脱ぎ、ズカズカと廊下を進んでいった。リビングの扉を開くと、ソファの上で眠っている魔王を発見した。毛布にアイマスク、人の家だと言うのに寝転がっており、小さな体がソファに埋まっている。寝息を立てて穏やかな顔で眠りに落ちていた。


「はぁ…」


起こすべきではないと判断し、戸村はキッチンに立つ。スーパー帰りの戸村の手には、食材が詰め込まれたカゴがあった。カゴを冷蔵庫の前に下ろし、次々と中へと放り込んでいく。


全て入れ終えると、必要な材料だけ取り出し、夕飯の準備を始めた。調理開始から1時間30分ほどが経った時、火を止めた。鍋の中には赤黒いソースがなみなみと入っており、到底1人分とは思えない。簡単に盛り付けを終えると、肉の目立つボロネーゼが二人分完成した。


「そろそろ起こさないとな」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ