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死者の声  作者: 岡本ゆきえ


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決意

さくらさんは堅く頷いた。可哀想な葉隠神社の如月の巫女を呪う者から解放してあげたい。それはたかおも同じだ。

私とたかおは如月家でお昼ご飯を御馳走になった。まさきさん夫婦、さくらさん、私とたかおと小学生の男の子と女の子だ。

子どもたち2人はまさきさんの子供だ。行儀良く正座している。出された食事は野菜サラダと牛丼だ。

サラダの皿は人数分有って綺麗に盛り付けられ牛丼はどんぶりだ。安い食器ではなく立杭焼きだ。

私は高価そうな食器を使ってるなと思った。たかおはどんぶりを掲げて見ている。さくらさんは微笑んだ。

「お気になさらずに。」まさきさんは神妙になっている私とたかおに言った。箸は黒檀に立杭焼きの箸置きが添えてある。

私がマンションで使ってる食器は大量生産の安物ばかりだ。

立杭焼きのどんぶりに牛丼が品良く盛り付けられている。

まさきさんの子供たちが笑った。まさきさんは2人の子どもたちを睨みつけた。

私とたかおは意識して品良くいただいた。私とたかおは緊張する。まさきさんは黙ってたべた。まさきさんは何か考え込んでいる。さくらさんは言った。

「お兄さん。私は人を愛したことがないので呪う者を説得出来ません。」まさきさんの子供たちがさくらさんを見つめた。

「そうか。」まさきさんは静かに言った。

「私たちがなんとかします」私はたかおを見た。子供たちが大人しく食べながらきょとんとしている。たかおははっきりと言い私も深く頷く。

「感謝します。貴方がたには関係のない事なのに。」まさきさんは私とたかおを見た。

「葉隠神社の如月の巫女に頼られました。」私はのろわるた微笑んだ。

私とたかおは顔を見合わす。

「必ず上手く行きますよ。葉隠神社の如月の巫女の魂を解放します。」たかおは笑った。「僕たちは呪う者に負けません。」

「私も貴方がたを守ります。呪う者に負けないように。兄も毎日祝詞を上げて祈祷しているんですよ。」とさくらさんは悲しい目をする。

実際に如月一族の1人が死んでも呪われてこの世界に封じ込められているなんで悲しいに違いない。人の為に生きてきた如月一族が呪う者に逆恨みされるなんて割に合わない。だからさくらさんは悲しいのだ。

みんなは落ちついて牛丼と野菜サラダを口にする。みんな黙って口に運ぶ。私はまさきさんが思い詰めた顔をしさくらさんが悲しそうな顔をしているのを見た。奥さんは虚ろだ。

子供たちは黙って食べた。

みんなが食べ終わると子供たちは食器を集めた。奥さんは子供たちと片付けをしようと和室を出た。

「どぅやって呪う者を説得するかだ。」まさきさんは言った。

「葉隠神社の藁人形のところへ僕たちが行けばいいのではないですが。」たかおは言った。

「危険だけどそれしか方法はないようね。」さくらさんは言った。私は覚悟した。

「たかおと私で何とかなると思います。」私ははっきり言う。

まさきさんとさくらさんは心配そうな顔をする

「出来れば行かせたくないが。」まさきさんは言葉を濁す。

「私たち2人で呪う者を説得します。そして葉隠神社の如月の巫女の魂を解放します。」私はたかおの顔を見る。

「そうです。愛を知らない者ができないのなら僕たちがやります。愛ってお互いを信頼して思いやるものです。」たかおの言葉に私は顔がほころんだ。

「そうだね。愛情は一方的なものじゃない。」まさきさんはそう言うとさくらさんを見つめる。

「さくらは生まれた時から如月の巫女として人を愛する事が許されなかった。私の娘もそうだ。夫を持つことも子供を持つことも許されない。多分それが岩月神社の如月一族としての宿命だ。」まさきさんはさくらさんを憐れんだ。

「いいえ。お兄さん私は宿命には抗おうとは思いません。結婚だけが女の幸せだとは思いませんの。神様に仕えチカラを持つ事は誰にもできませんもの。」さくらは微笑んだ。

「さくらさん、男の人だけが愛情の対象じゃないわ。」私は言った。さくらさんは微笑んで言った。

「そうね。兄妹とか、いとこたちとか。困った人たちとか。」

さくらさんは真面目になった。

「さくら、危険だが加奈さんとたかおさんを信じよう。」まさきさんは言った。

「はい。兄さん。」さくらさんは険しい顔をした。

私とたかおが呪う者に対処できるかわからない。さくらさんは7説得と言っている。

呪う者を納得させて葉隠神社の如月の巫女の魂を解放させ呪う者の魂も浄化させることだ。汚れた魂は悪霊となりこの世に縛られている。決していいものではない。むしろ災いをもたらすのだ。

私とたかおはさくらさんのチカラを借りて呪う者を説得する。私とたかおはお互い愛している。きっと呪う者を説得して葉隠神社の如月の巫女の魂を解放させるな。

「きっと上手く行くよ。加奈、君さえ良ければ僕は加奈が好きだ。」私は頷いた。

「私もたかおが好きよ。私たちでさくらさんのチカラを借りて葉隠神社の如月の巫女の魂を救いましょう。」

「そうだな。きっと救えるさ。」まさきさんとさくらさんは微笑んだ。

「今からたかおさんと加奈さんの無事を祈祷するよ。」まさきさんは言った。

私とたかおは神楽舞台へ言った。神楽舞台の中へ通された。

神楽舞台の中で私とたかおが正座をして待っていると神主の装束と巫女の装束を付けたまさきさんとさくらさんが現れた。

さくらさんは私とたかおの前に背を向けて正座する。

まさきさんは3人の方へ向き祝詞を唱えた。そして祈祷する。

「この者たちにチカラを与え給え賢み賢みもう申す。」そして笙の笛を構えさくらさんが立ち上がる。

祈りの神楽が笙の笛の音色で始まった。さくらさんは神々しく神楽を舞っている。さくらさんの神楽神様のチカラを得るために舞う。呪う者を説得し葉隠神社の如月の巫女の魂を解放してくれるように。

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