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死者の声  作者: 岡本ゆきえ


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12/13

呪術

私は痛みに耐えた。地獄の死者の様な声がする。

「私たちに構うな。」頭の中に声は響く。それは呪う者だった。私とたかおが関わっていてはいけないのか。「たかお」と私は激しい痛みに耐えかねて言った。

「加奈。」たかおが耳元で言った。「加奈。加奈。大丈夫だ。」

たかおは自分のハンカチで私のおでこの汗を優しく拭いていた。「構うなか。」たかおは私のおでこを優しく拭きながらつぶやく。まだ両手首が傷んだがましになる。

たかおは私を落ち着かせようと優しく背中をなぜた。

「さくらさんが祈ってくれた。」痛みはだんだんとひいていく。「さくらさん。」つぶやく様にたかおが言った。

「そうか。さくらさんが守ってくれているんだ。」

周りを気にせず静かにたかおは席に着いた。心配そうに私を眺める。私は疲れた目でたかおを見た。たかおは何か考え込んでいる。狂った様に葉隠神社の如月の巫女を愛する呪う者はたかおの前で私を苦しめた。たかおは苦しそうな顔をしている。

呪う者は葉隠神社の如月の巫女を愛するが故に呪い殺してしまった。

呪う者は死んでも葉隠神社に如月の巫女の魂を封じ込めでいる。それが本当の愛なのか。

たかおはアイスコーヒーを飲んだ。呪う者は私を痛めつける事によってたかおの心も苦しめていた。

たかおは心配しながら私の前髪に優しく触れた。

「たかお。」私はたかおの悲しげな顔を見た。私はアイスコーヒーを飲んだ。たかおは何も言わなかった。ただ悲しげに私を見つめる。

「もう大丈夫だよ。」私はたかおを見つめる。たかおはアイスコーヒーを飲む。

「僕はどうすればいい。」たかおは頭を抱える。死者相手ではたかおもどうしようもない。私はたかおを信じている。

私はたかおの手をほどいた。たかおは悔しげに私を見る。

「呪う者から加奈を守れない。」たかおは言った。

暫く経った。

葉隠神社の如月の巫女は悲しそうな人影だった。

「ごめんなさい。」私の部屋で弱々しく人影は言った。人影を見ながら私は首を横にする。貴方が悪いわけじゃない。私は心の中で言った。貴方は捕らわれているのよ。永遠に葉隠神社の藁人形の中に。

リビングのテーブルのスマホが鳴った。さくらさんからだ。

落ち着いた様子でさくらさんは言った。

「加奈さん。」さくらさんは言った。「両手首大丈夫。」

私は霊障の事をさくらさんには話していない。

「呪う者があなた達についてるわ。たかおさんなんともない。」さくらさんは心配そうに言った。私は驚いた。

「たかお。」私はつぶやいた。

「呪う者の思いが強いのよ。私も何とかチカラで邪魔はしてるるけど。」私はぞっとした。

「呪う者の正体はわかったんですか。」

「葉隠村にいた背の高い青年がね。大叔母に恋をしたの。その人は病弱で事務をしてた。でも大叔母は如月の巫女として受け入れ無かった。思いは募るけどどうしても諦められなかった。自分の者に仕様として青年は呪術を密かに行ったの。銀のくさびで藁人形を打ちつけ赤い糸が藁人形に編まれていたわ。

」さくらさんは息をついた。

「青年は泣きながら藁人形を打ちつけていたわ。私には見えた。」さくらさんは吐息を漏らした。諦められない心が恨みとなり呪術を行わせた。それは恐ろしいことだった。

「大叔母は呪われて心臓が止まって死んだわ。それからその青年も体が弱って死んだ。」

「さくらさん。葉隠神社の如月の巫女は苦しんでるわ。」

「わかっています。思いが強くて呪う者を説得出来ないの。」

悲しそうにさくらさんは言った。私はどうしたらいいかわからない。呪う者を説得しようというさくらさんの心も解らなくはないが思いが強いのだ。

「どうすればいいですか。」私はたずねた。さくらさんは深いため息を漏らした。

「説得するしかないわね。呪う者も大叔母もこの世に魂が留まっているわ。下手をすると加奈さんやたかおさんまで酷い目にあうわ。」

「酷い目にあってもいいんです。」はっきりと私は言った。

電話の向こう側でさくらさんは沈黙する。

「苦しんでいる魂をほっとけないんです。例え体のない死者であったとしても。」

「いいのね。本当に。」念を押すようにさくらさんは言った。

「たかおと言ってたんです。」私はたかおを信じた。

「ありがとうございます。私もあなた達を守れるようにするわ。それじゃあね。」さくらさんはスマホを切った。私もスマホを切る。いったい私とたかおに出来る事はあるのだろうか。

何もできないと思う。私たちにさくらさんの様なチカラは無かった。それでも私とたかおは苦しんでいる葉隠神社の如月の巫女を助けたいと思う。再びスマホが鳴った。

「加奈。大丈夫か。」たかおが心配そうな声をあげた。

私はさくらさんの電話の事を話す。

「ストーカーの呪いか。」怒りに満ちてたかおは言った。

「さくらさんが説得しても駄目だって。」

「救いようがないな。それより藁人形の呪い方。」とたかおは一息ついた。

「銀のくさびには不思議なチカラがあって藁人形に赤い糸が編み込まれているのは運命の赤い糸だろうな。」

「運命の赤い糸。」私はくり返す。

「運命の赤い糸で結ばれた2人だって言うだろう。」

「ああそれで呪う者は藁人形に赤い糸を編み込んだ。」

「銀には不思議なチカラがあって藁人形に葉隠神社の如月の巫女の魂が封じ込められたわけだ。」まるで西洋の呪術と東洋の呪術が混ざり合っているみたいだった。あの藁人形がある限り葉隠神社の如月の巫女の呪いは解けないに違いない。

「葉隠神社の藁人形の銀のくさびを引き抜けばいいけど呪う者がさせないだろうな。」

「絶対に呪う者がさせないと思う。」

「どうする。葉隠村に行くか。」たかおは尋ねた。

「さくらさんに合ったほうがいい。」

私は言った。

「さくらさんに相談した方がいいわ。私たちにはチカラが無いしさくらさんにはチカラがある。」

「今度、岩月神社に行こう。」決心してたかおは言う。

「そうだね。」私は言った。



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