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死者の声  作者: 岡本ゆきえ


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11/13

災いの視線

私はカレーの入ったタッパーをレジ袋に入れた。

たかおにカレーを作っからあげると電話をしたら喜んでいた。

私は時々たかおにおかずを作ってあげる。1人で食べるよりたかおにも食べてもらうほうが楽しい。

たかおは私のマンションにほど近いコーヒーショップに来てくれている。私はバッグとタッパーのカレーの入ったレジ袋を持って部屋を出た。

マンションを出て駅前のコーヒーショップに着いた。私は人影を気にしていた。人影は出てこない。私はさくらさんが言ったもう1人の人影が葉隠神社の如月の巫女を呪う者だ。

私は賑わうコーヒーショップに入りたかおを探す。

たかおは道路が見えるガラス側の席にいた。私は微笑み

「おはよ。」と言った。

「おはよう。何か買ってくるよ。」たかおはコーヒーを頼んでいた。

「私もコーヒー。」

「わかった。」たかおは立ち上がり革の財布を持ってレジへ行った。私はタッパーの入ったレジ袋をテーブルに置いた。

たかおはコーヒーを受け取ろうと列んでいる。私はたかおを眺めていた。

不意に誰かのするどい視線を感じた。私は怖くなり辺りを見ると誰も私を見ていない。気のせいだろう。

「どうかしたのか。」たかおがアイスコーヒーの紙カップとストローを私の前に置いて座る。顔が明らかに心配していた。

「なんでも無いよ。」私はカレーのタッパーが入ったレジ袋をたかおの前に置いた。

「ありがとう。加奈のおかけで助かるよ。」そう言ってたかおは照れ笑いする。

「昨日作ったの。」

「ほんと助かるよ。料理や後片付けは面倒臭いし。」

たかおはタッパーの袋を喜んで見た。たかおの嬉しそうな顔を見るのが私は好きだた。たかおが落ち込んでいれば悲しい。

私はコーヒーの紙カップにストローを差し込んだ。

「カレーだよ。」私はコーヒーを飲んだ。

「カレーが。久しぶりだな。」たかおはアイスコーヒーを飲む。

私はたかおを眺めた。たかおも微笑んで私を見る。

「たかおを見てると安心する。」

「加奈の料理美味しいし温かいな。」とたかおは言った。

「ありがとう。たかお。」私は照れた。

その時また誰かに見られているような気がした。するどい視線が刺さるのを感じる。誰も見ていない。けれど底知れない恐怖を感じた。たかおは私の様子を見ていた。

「視線を感じるんだな。」とたかおは真剣な目で言った。

「私、おかしいのかな。」私はたかおを見つめる。たかおはゆっくりと首を横に振った。

「加奈がおかしいんじゃない。呪う者がここにいる。」

葉隠神社の如月の巫女を呪う者がいるとたかおは言った。

「わかるの。たかお。」私は怖くなった。たかおは私の手を取った。たかおは落ち着いていた。

「安心しろ。僕たちにはさくらさんがいる。」

私の脳裏にさくらさんの祈りの神楽が浮かんだ。たかおは私の手を取り目を閉じた。

「加奈。さくらさんを信じよう。如月の巫女の祈りのチカラを。」たかおの言葉に私は落ち着いた。

「そうだね。」私は辺りを見回した。もう鋭い視線は感じなかった。私はほっとする。たかおもほっとしたのか目を開け手を離した。辺りは平和だ。

「たかおがいると安心する。」私はたかおを見た。たかおは恥しそうな顔をする。私はたかおが可愛いと思った。しかしあの視線は何だったのか。

「呪う者の怨念かも知れない。」たかおは言った。

「呪う者の怨念。」私は聞き返す。たかおは頷く。そしてアイスコーヒーを飲んだ。

呪う者の怨念は災いをもたらす。葉隠神社の如月の巫女を呪い殺し魂を藁人形に封じ込めそれを解こうとする者に災いをもたらす。

「どうすればいいんだろう。」私はガラス越しに外を見た。

「さくらさんに任せるしかないな。」とたかおは言った。

私はアイスコーヒーを飲む。葉隠神社の如月の巫女が可哀想だ。

「ねえ。たかお、葉隠神社の如月の巫女は永遠に苦しんでいるのよね。」私が言うとたかおはしんみりした。

「呪いが解けるまで諦めずに頑張ろう。」力強くたかおが言う。

「そうだね。」私はアイスコーヒーを飲む

「なぜかほっとけないんだよな。僕たち。」たかおは微笑む。

「そうだね。私たちにできることはないかな。」

「わからない。ほんとにわからないな。」とたかおは悩んだ。

私たちは藁人形に魂を封じ込められた葉隠神社の如月の巫女の事を思わずにはいられない。

「ねえ。たかお。」アイスコーヒーを飲むたかおに私は思いついた。たかおは驚く。

「呪う者の視線を感じたって事は私たち監視されるような事をしたんじゃないの。」私は微笑んだ。たかおは私を見た。

「加奈の笑いが怖いよ。」たかおがビビる

「私たちは人影に言われて葉隠山を調べた。」

「呪う者が知られたくないことを如月家に知らせた。」

たかおは加奈を見た。

「まだ知られてはいけないことがあるのかな。」

私はアイスコーヒーを飲んだ。たかおは考え込んだ。

「正体だろう。」たかおがつぶやいた。私は不安になる。葉隠神社の如月の巫女を誰が封じ込めているのだろう。

突然、両手首に激痛が走った。私は身を縮める。たかおが驚いて身を乗り出す。周りの人たちが驚く。私は痛みに耐える。

私の両手首のあざは消えていなかった。たかおが立ち上がり私の両手首をそっと握った。

気を失いかけながら私は祈るさくらさんを見た。さくらさんはトレーナーにスラックス姿だっが正座をし目を固く閉じ手を合わせている。呪う者の災いから私を守る様に。





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