祈りの神楽
カレー鍋からスバイスの匂いがした。たかおにも食べて貰いたかったのでたくさんカレーを作った。勿論ビーフカレー。
牛肉は特売で買った。値の張る牛肉ではないがたかおにも食べて貰いたい。
私は大きなタッパーに一人分のカレーを入れた。蓋はせずタッパーのカレーを冷ます為に台にカレーの入ったタッパーを置いた。カレーを入れたタッパーから湯気が抜けて行く。
私はリビングに行ってお決まりのソファに腰を下ろす。朝はミルクとトーストとサラダだった。
私はタッパーのカレーが冷めるのを待った。持って行けばたかおが助かると思う。たかおは私の作った料理を気に入ってた。
結婚の話はまだして無い。
ベランダの方を見ると人影がいた。私は黙って人影を見つめた。
死者となり封じ込められた人影と生きている私とは対象的だ。私は生きて好きな人と付きああい如月の巫女の人影は生きている時は人を好きにならす呪い殺されて苦しんでいる。
私は人影に片手を伸ばすでも人影は近づこうとせず揺れていた。私は手をおろした。
貴方を呪っているのは誰。私は心の中で聞いてみた。
すると人影はろうそくの火を消したように消えた。呪う者が言わせないように邪魔をしたのかと私は思った。消え方が突然だった。まるで何かに奪い去られたようだ。
呪う者は正体を知られたくないのだと思った。私はさくらさんにラインを送った。
さっき如月の巫女の人影が現れましたが心の中で
呪う者が誰かと聞いたら奪い去られたように消え
てしました。
呪う者は正体を知られたく無いのです。
私はさくらさんにラインを送ってしばらく待った。さくらさんから返事が来て
わかっています。私も力の限り探ります。
ありがとうございます。
と送ってきた。どうやってさくらさんは呪う者の正体を探っているのだろう。如月一族は生まれた女の子を清らかなまま神様に死ぬまで仕えさせるというからチカラはある。祈りで力を得るのだ。さくらさんはイメージが頭に浮かぶと行っていた。
呪われた如月の巫女は力を振り絞って人影になったのだろう。死者のストーカーとは恐ろしいと私は思う。
私は頃合いを見計らってキッチンへ行きタッパーの中のカレーが冷めたか確かめた。
タッパーのカレーが冷めたのでふたを締めて冷蔵庫で保管した。たかおが喜んてくれるので私は嬉しい。私の料理を何時も美味しいと言ってくれる。
しかし私は呪われた如月の巫女が心配だ。呪われた如月の巫女は藁人形に封じ込められどんな世界を見ているのだろう。
私は冷蔵庫から麦茶を出すとコップに注ぐ。麦茶の入ったコップを持ってリビングに行きソファに腰を降ろす。
私は落ち着いて麦茶を飲んだ。呪う者は正体が知られるとまずいんだと思った。私とたかおには呪いを解くチカラはない。
下手をすれば殺される。でもさくらさんは。
さくらさんは現役の如月の巫女だ。簡単に殺されはしないだろう。その為に修行を積んている。
葉隠神社の如月の巫女は若すぎて余り修行が出来なかったのだ。20歳というから完全では無く簡単に呪われてしまったのだ。私は麦茶を飲んだ。さくらさんは懸命に神様に祈りを捧げて頭の中で呪う者をイメージで知ろうとしている。
チカラのない私には呪われた如月の巫女は救えないと思った。
私は眠った。
神楽を舞うさくらさんの姿があった。神主の装束と巫女の装束をしたまさきさんとさくらさんが岩月神社の神楽の舞台にいた。まさきさんは笙の笛を吹きさくらさんは神楽を舞う。
穏やかな祈りの舞で私はうっとりと見ていた。穏やかだが呪う者と対するようだ。優美な舞を私は初めて見た。
これが如月の巫女のチカラなのだと思った。
清らかな如月の巫女が神楽をまい神様のチカラを借りる。
祈りの舞のチカラによって。
それは神々しがった。如月の巫女は神様と交流している。
神楽が終わるとさくらさんが舞台の中央に座り神主であるまさきさんが祝詞をあげた。
神の御霊如月の巫女に宿り給え。祝詞のあとにまさきさんは言った。さくらさんは前を見ていた。
私は目を開ける。
さくらさんとまさきさんは懸命に祈りの神楽を演じていた。
これは夢に出てきた現実だと私は確信した。
その時、さくらさんからラインが来た。
さっき祈っていたら人影が2つ見えました。
呪う者は誰かわかりません。
1人は大叔母です。
さくらさんは人影がわかったようだ。呪う者の人影が呪われた如月の巫女についている。私は座り直した。
夢は鮮やかだった。さくらさんの祈りの神楽が効いたのだろう。呪う者の人影がさくらさんには見えた。呪う者が姿を現したのだ。さくらさんはどうするのかまだわからなかった。
私はベランダを見た。カーテンが揺れる。人影が必死で合図しているようだ。
明るい日差しの中でカーテンが揺れていた。私はベランダに行きガラスを開ける。ベランダを覗くと人影は誰か無く洗濯物が揺れていた。




