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『第九話 ソフィアVSクスロウ』じゃ


「抵抗するなクスロウ。キサマを拘束する」


 騎士の金髪美女……ソフィアは剣を突きつけて言った。


「いや、ちょっとタンマタンマ。落ち着いてソフィアちゃん? まず話を聞い――」


 両手を上げたオレに、間髪入れず剣を振り下ろす。


「うォあっぶねェ!!」


 咄嗟に身を捻ってなんとか避ける。

 マジでギリギリだ。

 当たったらたぶん真っ二つになるとこだった。

 これ、脅しとかじゃなく本気で殺る気じゃね??


「捕まえるんじゃないの!?」

「抵抗した場合は手足は削いでよいと許可を得ている!」

「誰に??」


 ソフィアは答えず間合いを詰めてくる。

 素早い踏み込み。

 来る。

 突きを繰り出してきた。


「待てって!!」


 オレはテーブルを盾にして距離を取った。


「説明したいことがあるんだ、話を聞いてくれ!」

「言い訳は御前で言えッ!」


 ダメだ。

 構わず突っ込んでくる。


「王都での数々の違法賭博、暴行! 王女殿下との婚約直前の浮気! そして逃走!! お前は疑いの余地なき大罪人だ!」

「ぐぅ!」


 ソフィアの一閃を、オレは咄嗟に封印剣で受け止めた。腕に鈍い衝撃が伝わり、吹っ飛ばされる。


「ぐへっ……がはっ……!!」


 ゴロンゴロンと床に転がる。


「軽すぎる……なんだこの手応えのなさは……」


 見上げると、ソフィアは怪訝な顔で立っていた。

 ただ剣先は既にオレの首筋に当てられている。


「終わりだ。大人しくしろ」

「……そういうわけにもいかないんだよな」


 オレはソフィアを睨み返しつつ、右手で封印剣の刀身を、彼女の鎧のすね当てに触れさせるよう動かした。

 勘づかれないように。さりげなく。


「そうか。ならこの場で手足を削ぎ……」


「《帯電》!!」


 触れると同時にスキルを最大発動。

 バリバリという音を立て紫電が起こり、足からソフィアの全身を包んだ。


「なに!? ぐ……あ……!!」


 ソフィアが悲鳴を上げよろめく。

 このまま意識を()る……!

 オレはすかさず剣を彼女に当て続けた。


「ぐぅあ……あ!! ……あ! ……あ……?」


 ところが数秒後、異変が起きた。ソフィアがなにかに気づいたように悲鳴をあげるのをやめた。


「あれ?」


 直後、オレは蹴り飛ばされていた。


「ぐへェッ!」


 《帯電》が効いてない??

 なんでだ?

 威力が足りなかったのか??


「職業柄、私のスキルは防御系のものが多くてな」


 ソフィアは少し焦げた鎧を叩いて言った。


「《電撃耐性》もそのひとつだ」

「マジか……メタスキルかよ」


 ずり~……。


「ふん。ならばなぜ他のスキルを使わない。どれだけ私を舐めているんだ?」

「いや、使えないんだよ」


 こうなってはもうソフィアを倒すのは無理だ。

 オレは正直に告白した。


「なんだと……?」

「話せば長くなるんだけど……オレも王国を追放されてから色々あったんだ。チートみたいな力はもう無い。で、いまは王国に帰ろうとしてる」


 ソフィアは眉をひそめる。


「……いや、わからんな。いまの王国にお前の居場所など無いぞ。戻れば即、牢屋にぶち込まれる」

「まあ……そうかもな。でも、帰る」


 オレは即答した。


「女神に誓って必ずな。直接会って謝らなきゃならない人がいるもんでね。だからあんたが拘束して連れ帰る必要は無い」



「そういうことじゃ。娘っ子や」


 いつの間にかコン様がギルドに入ってきていた。

 ソフィアがまた怪訝な顔をする。


「おうおう、こんなに散らかしてしまいおって。迷惑を考えぬか」

「なんだ? キミは……クスロウの知り合いか?」

「こやつのご主人様じゃ」


 コン様は無い胸を張って言った。


「はぁ?」

「わしの名は女神コンという。コン様と呼んでくれ♪」

「? ……めがみ?」


 なんかこの光景、見覚えあるな。

 オレはこのときまだ、ふたりを見ながら呑気にそう思っていた。

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