恋愛ゲームの主人公、お菓子なドタバタイベント。10
タリクさんが持ってきてくれた朝食を皆で食べながら、昨日持ってきた資料を検証した結果‥。
「ベラートへ行くのはかなり難しいという事実だけはよく分かりましたね」
と、アレスさんが遠くを見つめながら呟いた。
それにルルクさんが頷き、
「しょっちゅう内戦してるような国だからな‥。入るのは簡単だが出る時は大変だ」
「そ、そんなに‥」
よくそんな出てくるのに大変な国からルルクさんは来られたな‥。
ちょっと感心しているとアレスさんが腕を組み、
「そうなると黒の魔法石を入手するにはベラートと商売をしていた人物に繋がる必要がありますが‥」
「え、この国にいるんですか?」
「正確には「いた」んですが‥、その相手がハイデン伯爵なんです」
「ハイデン伯爵!?」
うちのボンクラおじ様を騙して私を後妻にしようとした男!?ついでにいえばセリアさんの父という真っ黒通り越して漆黒級のやばい人物じゃないか!驚く私にルルクさんが片眉を上げる。
「そもそもなんでこの国の伯爵がベラートと繋がってるんだ?」
「以前潜入捜査をした際に知ったんですが、遠縁の親戚が元々いたそうです。ただセリアさんの事件がきっかけで伯爵家は取り潰されたのでそのルートは消滅したはずなんですが‥」
「‥先日の港町でベラートの物が密輸入されてたな」
「はい。だから調査をしていたんですがここに来てしまって‥」
そうだったんだ。
だけど潜入捜査したってことは、アレスさん達の顔が割れてるってことだよね。それなら私がいけるか?
「私が変装か何かしてハイデン伯爵に近付いてみます?」
「「「ダメだ(です)」」」
間髪入れずに皆にダメ出しされた‥。
だ、だって、この中でハイデン伯爵に顔が割れてないのって私かルルクさんじゃないか〜!女好きだしちょっとこう色気で悩殺するとか‥?と、思ったがルルクさんが私を暗殺者のような鋭い瞳で睨み、
「絶対何もするな」
「まだ何も言ってないのに‥」
「言わずともわかる。危険なことは一つもするな。それなら俺が乗り込む」
「そっちのが絶対危険じゃないですか!!大反対です!!」
すっごい強ってわかってるけどハイデン伯爵は本当にやばいんだってば!セリアさんなんて転生者だし、ルルクさんを見つけたら絶対操ろうとするに決まってる。すぐにでも行きそうなルルクさんの腕を咄嗟に掴んで、
「ルルクさん、絶対私の側にいて下さいよ!」
乗り込むんじゃないぞ!と、いう意味で言ったら、ルルクさんもアレスさんもタリクさんも一瞬目を丸くして、ハッとした。
ちょ、ちょっと待って!!誤解だ!!「あ、あのっ、今のは危険なことはしないようにという意味で‥」と、慌てて言えばルルクさんがニヤニヤしながら腕を掴んでいた手を指差し、
「こんだけ掴まれてたら無理だな」
「だーーー!!ちょ、わかってて言わない!!」
じろっと睨むもルルクさんがそれはもう楽しそうで大変悔しい。
赤い顔で睨みつつお茶を飲めばタリクさんが可笑しそうに笑った。
「そうですね。お互い危険な行為はしないに越したことはないですね。なにせ過去に飛ばされていますし、皆で戻るにはなるべく一緒の方がいいでしょう」
「た、確かに!」
「魔石の情報に関しては町に詳しい者がいるのでそちらにちょっと聞いてきます。アレスはせっかくですしお菓子でも作ってはどうですか?こんな時じゃないとゆっくりお菓子も作れないじゃないですか」
「‥‥こんな時に作るのか?」
「ちょっと甘い物を食べたいんです。ねぇ、ユキさんも食べたいですよね」
「へ?あ、え、ええと、はい」
ついタリクさんに話を振られて頷くと、アレスさんはちょっと目をうろうろさせてから、
「‥材料、タリクが揃えてくれるなら」
ボソッと言うと、タリクさんが嬉しそうに笑って、テーブルに紙袋をドサっと置いた。
「そうですか!さっき持ってきておいて良かったです。この辺があれば十分ですよね!」
と、すでに準備万端だったのかお菓子の材料を取り出した。
計画済み!?あまりの準備の良さに驚いていると、タリクさんは「じゃあ、町に行ってきます!」と素早く部屋を出ていった。何もかも判断が早い‥。
アレスさんも同じように思っていたのか、「まったくタリクは‥」と文句を言ってから、ちらりと私を見た。
「‥‥あの、もし良ければお菓子、作りますか?」
「ぜひ!お手伝いさせて下さい。ね、ルルクさん?」
私だけのお手伝いでは失敗しちゃいそうなのでルルクさんに救援をお願いすれば、眉を下げて笑うと、「じゃあ、まずは皿を片付けてからだな」と言って私の頭を優しく撫でた。
お菓子を作るのにバター100グラムの表記を見ただけで、
カロリー!!!と怖さが勝って作れなくなる私です。
(食べるのは大好きです)




