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恋愛ゲームのシナリオはログアウトしました。  作者: 月嶋のん
恋愛ゲームの主人公と暗殺者の日常。

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308/310

恋愛ゲームの主人公、お菓子なドタバタイベント。9


私の制服のスカート丈が気に入らないルルクさん。

保健室から予備の着替えを拝借してきて上下一式手渡してきた‥。用意周到か!貴族のご子息達の為の学園だからかきっちり首が隠れるシャツに長いスカートを見て、そんなに嫌なのかと改めて驚く。前世の学生時代のスカート丈を見たら卒倒してしまうな。


壁の方を向いてもらって急いで着替えれば、しっかり防御された私の体を上から下まで見て、ようやく安心したのか小さく頷くと、あっという間に今度はベッドに寝かしつけられた。


「ちょ、ルルクさんかなり強引では!?」

「‥お前は気付いてないが、心が驚くと体も引きずられて疲れる」

「それならルルクさんだって同じでしょう」

「俺はお前がそばにいて無事なら問題ない」


サラッとなんかものすごく照れ臭いこと言ってない?

暗くなった部屋に差し込む薄明かりを頼りにルルクさんを見上げれば、コバルトブルーの瞳が可笑しそうに揺れ、大きな手が私の頭をそっと撫でた。



「‥‥頼むから、怪我だけはするな」

「そんなしょっちゅうしませんってば」

「そう言ってすぐするだろ」

「‥別にしたくないのに、そうなっちゃうっていうか」

「そうだな。だからせめて気をつけてくれ」

「心配性ですねぇ」



こんなになんでもできちゃう人なのに、スカート丈を気にするわ怪我を心配するわ、ルルクさんは本当に暗殺者に向いてないよ。優しく私の頭を何度も撫でる感触にホッとして目を瞑ると、ルルクさんの言う通り、体から力が抜けた。ああ、本当だ。私、結構疲れてたんだな‥と、思っている間に眠ってしまったようだ。



そうして、夢だろうか‥。暗い闇の中で、よく見かけた金色の蝶がヒラヒラと飛ぶのが見えた。



あの蝶を見るの久しぶりだな。

ぼんやりとその蝶に手を伸ばすと、



「起きたのか」

「あれ?」



ルルクさんの声がして、目を開けたら隣のベッドに腰掛けていた。

夢、だったのかな‥。まだ朝早いのか薄暗いけれどゆっくり体を起こすと、ルルクさんが「おはよう」と挨拶すると同時に流れるようにキスをした。


「ふやっ!?」

「なんだその声は‥」

「い、いきなりキスするからですよ」


私のベッドに腰かけて可笑しそうにこちらを見つめるルルクさんを睨むも、視線が甘い。うう‥、ルルクさんなんだかどんどん甘さが追加されてないか?


「タリクが食べ物を取りに行った」

「え!?もう?」

「他にも調べたいことがあるからって言ってた。とりあえず起きるか」

「は、はい!」


わ〜〜〜、私ばかりスヤスヤと寝てタリクさんやアレスさん、ルルクさんにお世話になりっぱなしとは恋愛ゲームの主人公と失格では!?などと思ったが、もうゲームのシナリオは破綻してるから関係ないか?急いで身支度してリビングのある部屋へ行けば、アレスさんが机の上の大量の紙をジッと見つめていた。


「ああ、ユキさんおはようございます」

「お、おはようございます。紙、すごいですね‥」

「いくつか資料を写してもらったので‥。そろそろ朝食ですし片付けますね」

「手伝います!」


せめて片付けくらいはね‥。

一緒に紙をまとめていると、色々と印を付けてある。何かいい情報あったのかな?アレスさんを見ると、眉を下げて微笑み、


「調べてみたんですけど、なかなか良い情報がなくて‥」

「そうだったんですね。まぁ、これからってことで!」


私も笑ってそう答えるとアレスさんは驚いたように私を見つめた。

ん?何か変なこと言った?ついルルクさんを見上げれば、じとっと睨み、


「‥まぁそうだな。なんでも簡単にできるもんじゃないな」

「ですよね?」

「ですが‥、それでは戻れない可能性もあります」

「うーーん、私もよく「こうなっちゃったらどうしよう!」って考えますけど、案外全然違うところから何かポーンとアイデアが飛んできたり、思ってもみない方法で上手くいくとかよくあります!‥‥自分の少ない経験からですけど」


なにせ3年間「どうにかなるもんなんだ」という経験だけで生き延びてきたからね‥。とはいえこんな答えじゃあ全く安心しないか?そう思っていると、アレスさんが小さく笑って、



「ユキさんが言うと、なんでも大丈夫そうに思えます」

「そ、そうですか?それなら良かったです」

「もう少し、頑張ってみます!」

「十分過ぎるくらい頑張ってますよ!できれば肩の力を抜くくらいで大丈夫だと思います。ねぇ、ルルクさん?」

「そうだな。昨日はすぐに爆睡してたしな」

「だだだだだって、なんかスコンと寝ちゃったんですよ!ベッドも丁度いいくらいのふかふか加減だったし‥」



我が家のベッドだって寝心地はいいけどさ。

なんかルルクさんがそばにいると思うと安心しちゃうのかな‥?

赤い顔で弁明する私に可笑しそうに笑うアレスさんとルルクさん。そこへ両手一杯に食料を持ってタリクさんが部屋へ戻ってくると、


「おや、なんだか楽しそうですね?なんの話ですか?」

「ユキがグースカ大口開けて寝てた話だ」

「ちょ、ちょっとーーー!!?言い方!!」


思わずルルクさんのお腹をつついたが、全くのノーダメージ!しれっとした顔で私の頭をワシワシと反対に撫でられたのであった‥。くっそ〜〜〜!暗殺者強すぎだ!!




最近は8時間しか寝られない‥と、こぼしたら

十分では!?と、言われた私です。

そ、そうだったのーー!??

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