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恋愛ゲームのシナリオはログアウトしました。  作者: 月嶋のん
恋愛ゲームの主人公と暗殺者の日常。

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303/313

恋愛ゲームの主人公、お菓子なドタバタイベント。4


アレスさんのお屋敷に着けば、お昼ご飯は「簡単な物で恐縮ですが‥」なんて言ってたが、素晴らしい食卓に私とルルクさんは思わず顔を見合わせた。


簡単、とは‥?


もんの凄いご馳走を頂き、お腹も胸もいっぱいになった頃にタリクさんがやってきた。


「こんにちは。丁度いいタイミングだったようですね。リストアップする押収品はどこですか?」

「気が早いですねぇ‥。ではユキさん、ルルクさんお手伝いをお願いしてもいいですか?」

「もちろんです!」


これだけご馳走を頂いたんだもん!そりゃ頑張らせて頂きますとも!

皆でアレスさんの後ろへ着いて行くと、大きな屋敷の横には我が家くらいの家がある‥。


「これって、」

「普段は倉庫にしているんですが、今回は押収品をここに全部しまってあるんです」

「え!??」


倉庫だったの?!てっきり家だと思ったのに‥。

ポカーンと口を開けつつ倉庫内へ入れば、両方の壁には天井につく棚が備え付けてあり、その中にこれでもかとばかりに荷物がぎっしり入っている。


「こ、これ、全部!??」

「右手の棚と奥のがそうですね。残りは私が王都から持ってきた私物が入ってます。もう少し整理したいのですがなにせ時間が足りなくて‥」

「はぁあああ‥」


こんなに押収品があるなんて驚きだ。

一体こんな物をどうしようとしてたんだろ‥。ルルクさんは右手の棚をまじまじと見て、


「一部に薬が染み込んでないか?」

「え?薬?」

「ああ、やはりわかりますか‥。こちらへ来てから水で煮出して、濾過して薬にする。よくある手口です。安全の為に手袋を渡しておきますね」


ひえぇええええ!?

薬?濾過して使う??!全くもって知らない世界に目を丸くするばかりだ。それにルルクさんよくわかったな?!驚いた顔のままルルクさんを見上げれば、少しだけ複雑そうな顔をした。


「‥‥普段から気をつけろよ」

「ええ‥っと、頑張ります?」


とりあえずそう返事をすると、ルルクさんがふっと可笑しそうに笑った。

あ、なんでそこで笑うの?ちゃんと素直に言ったのに〜!ちょっとむくれつつアレスさんから白い手袋を受け取って、手につける。


「では、説明させて頂きますね。こちらの棚の下の段をタリクとユキさんに品物の下に番号が貼ってあるので、その番号の欄に品物の名前や特徴を書いて欲しいんです」

「はい!」

「ルルクさんは大柄なので、上の段をお願いしたいのですが‥」

「わかった」


担当をそれぞれ割り振って私とタリクさん、アレスさんとルルクさんでそれぞれ品物を書き出していくけど‥こりゃあ大変だ。腕まくりをして番号と品物をタリクさんと確認していると、


「あ、すみません!」

「へ?」


アレスさんがこちらへ駆け寄ってきたと同時に、足元にコロコロと黒い砂時計が転がってきた。ああ、そういえば砂時計が入っていたなんて言ってたな。ゲームでもセーブ中に砂時計がクルクル回るモーションあったっけ。


「本当に砂時計があるんですね」


ふふっと笑って砂時計を拾えば、黒い砂がサラサラと流れ出した。


「うっかり手から落としてしまったんですが、割れてなくて良かったです」

「アレスさんもうっかりってあるんですねぇ」

「それはもう‥。学生の時からちょこちょこと」

「へぇ、意外ですね」


なんでもしっかりそつなくこなしてそうなのに。

そう思いつつ、持っていた砂時計をアレスさんに手渡した瞬間、足元がグニャリを歪んだ。



「え?」

「ユキ!!!」



ルルクさんがものすごい勢いで私の腕を掴んだかと思うと、周囲までグニャグニャとまるで絵の具を溶かしたように歪み始めた。


「な、何‥!?」


慌てる私をルルクさんがギュッと抱きしめたかと思うと、目の前が一瞬真っ暗になり、次の瞬間、どさっと地面に倒れた。



「痛くない、けど‥、ルルクさんは!?」



パッと飛び起きると、私の下でルルクさんが倒れていたがヒョイッと腹筋だけで起き上がった。


「俺も大丈夫だ。だが、ここはどこだ?」

「え?」


レンガの大きな建物の中の、どうやら中庭らしい。

綺麗な芝生が敷かれた庭の隅っこに私とルルクさん、横を見ればゆっくりと起き上がったアレスさんとタリクさんがいる。と、アレスさんが目を見開き、キョロキョロと辺りを見回した。



「ここ、マリーベル学園!?」

「「へ??」」



私とルルクさんが思わず声を揃えて驚いた。

マリーベル学園って、私が入学する予定だった場所?!そう言われてみればスチルで散々見た校舎だ!驚きに目を丸くしていると、タリクさんが「こちらへ!」と、小声で茂みを指差した。なんだろう?と思いつつ、茂みの方へ皆で身を隠すと、中庭にある長い廊下をパタパタと一人の女性が走っているのが見えた。


「あれって‥」


薄いピンクの髪をした女学生に目が釘付けになる。

もしやあれは白い魔法石の水を浴びて溶けてしまったセリアさん!?

え、なんでマリーベル学園にいるの?!もしかして生きてたの?



まじまじとその姿を見つめていると、廊下の向こうで今よりも幼い感じのアレスさんが立っているのが見えて、ぎょっとした。



ど、ど、どういう事〜〜〜!??




今日もお読み頂きありがとうございまっす!!!

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