恋愛ゲームの主人公、お菓子なドタバタイベント。3
すぐに人を茶化すんだから!と、思ったけど、あれはルルクさんなりの照れ隠しだと思うことにした。ちなみに夕飯のハンバーグは私が焼いたせいで一部大幅に焦げた。フラグじゃなかったはずなんだが‥?
それでもようやくルルクさんが我が家へ来た経緯も、そしてベラート出身だということも知った。暗殺者、まさかの外国人だったんだなぁ〜。まだまだ私が知らない設定多そうだ。蝶についても疑問は残るが恋愛ゲームの主人公、最早何もわからない‥。
夕飯のお皿を洗い終え、明日はアレスさんの家か〜と、考えていてふと手が止まる。
「あ、そういえばお土産私も用意しようかな」
「は?」
「ほら、明日お昼もお菓子も用意してくれるって言ってたじゃないですか。頂いてばっかりじゃあ申し訳ないから‥」
「何か渡せばまた山のように返されるぞ」
「‥それはそうかもしれないですけど、感謝はしておいて損はないですからね」
とはいえ何がいいかなぁ‥。
お金持ちだしなんでも持っている人にいつもの紋様じゃあ、それも芸がないような‥、なんて考えつつタリクさんから貰った本を手に取ってハッとした。
「そうだ!栞にしよう!」
「栞?」
「アレスさんなら本を読んだりする機会も多そうなんで‥。ええと、結構いい紙があったよな‥。あ、これこれ!」
以前もらったお土産の中にあった上質な紙を綺麗に切って、紋様を描くように紙にアレスさんが好きな小鳥の絵を描いた。ついでに商売繁盛と小さく書けば完成である!
「これにリボンを付けたら完成です!‥って、安上がり過ぎかな」
「‥‥そうは思わないだろ。あと俺も欲しい」
「え、ルルクさんも?」
「蝶がいい」
「ふふっ、いいですよ。黄色の‥あ、前にダンさんから貰った薬草で描きましょう!金色で綺麗なんですよ」
にこーっと笑ってそう言えば、ルルクさんが嬉しそうに小さく微笑んだ。
そんな様子に私まで嬉しくなる。どこの誰だろうとルルクさんは、ルルクさんだ。この優しい人とずっとこの先もいられますように‥なんてちょっと願いつつ、金色の蝶を栞に描いて手渡した。
そうして翌朝、紋様の道具を持ってギルドへ行けば今日はほどほどのお客様。
まぁこんな日もあるよね〜と、思いつつ紋様をお爺ちゃんやお婆ちゃんに描けば、そろそろお昼だ。
「あっという間にお昼ですね〜」
「そうだな‥。ほら、そこの紋様の道具を貸せ。こっちにしまっておく」
「はーい」
手際の良いルルクさんが、私の籠に綺麗に紋様液の入った瓶や筆をしまった丁度その時、ギルドの扉が開いてアレスさんが入って来た。
「こんにちは。お仕事はもう大丈夫そうですか?」
「はい!わざわざお迎えありがとうございます!あ、そうだ。忘れちゃう前にこれを‥」
昨日描いておいた小鳥の栞が入った紙袋を手渡すとアレスさんはちょっと驚いた顔をした。
「これは‥?」
「本に挟む栞です。小鳥を描いたんですけど‥」
「え!?絵を描いてくださったんですか?」
パアッと顔を輝かせたアレスさんは、すぐに紙袋を開けると私の描いた小鳥をまじまじと見て、嬉しそうに頬を緩ませた。
「とても‥嬉しいです」
「そ、そんなに喜んで頂けて、その、良かったです」
ひゃあ〜〜、まさかそんなに喜んで頂けるなんて思ってなかった!
なんだか照れ臭くて、どんな表情をすればいいんだ?なんて思っていると、ルルクさんが私の頭をワシワシと撫でた。
「る、ルルクさん?」
「‥‥なんでもない」
「なんでもないって、なんですかそれ‥」
何か用があったんじゃないの?
首を傾げる私にアレスさんは大事そうに自分のスーツの胸ポケットに栞をしまうと、
「お仕事、もう大丈夫であれば早速我が家へどうぞ。ギルドの前にすでに馬車を用意させてあります」
「は、はい!」
うわーー、上げ膳据え膳だな。
ちょっと恐縮しつつも馬車に乗せてもらい、カタカタと揺られながら久しぶりのアレスさんの家に向かう。
「そういえば押収品、色々あるって言ってましたが‥」
「ええ本当に色々あります。ポストカードや本、絵や砂時計まで入ってました」
「砂時計?!」
「壊れやすい物まであるのでリストアップするのがなかなか大変で‥」
「それは、そうですね‥」
前世で警察が押収品を相当数あったのをズラーッと並べて飾ってたのをふと思い出した。あれってきっと骨の折れる仕事だったろうなぁ‥。しかも壊れやすい物まで入っているとなると緊張するな。と、ルルクさんが私をチラッと見て、
「壊すなよ」
「言うと思った‥。気をつけますよーだ!」
「あと怪我もするな」
「‥それは流石にないでしょう」
と、突っ込んだがアレスさんまで静かに頷き、「本当に気をつけて下さいね」と、諭された‥。れ、恋愛ゲームの主人公なのに子供のように扱われないか?!
今日も読んで頂きありがとうございましたぁああああ!!!!




