恋愛ゲームの主人公、お世話イベント!7
猫に誘拐されかけたタリクさん。
今度は絶対に離すまい!と、しっかり抱きしめ家まで歩いていると、正面から馬に乗ったウィリアさんがこちらへ駆けてきた。
「いたーーー!良かった!!」
「ウィリアさん、どうかしたんですか?」
「いや、仕事早めに切り上げて家に行ったら誰もいないからどうしたのかと思って‥!」
「‥‥うっ、す、すみません。まさに今さっきトラブルがあって」
「え!?大丈夫?誰か怪我した?」
ウィリアさんが馬から急いで降りて私の方へ駆け寄ると、肩に乗っていたルルクさんが、
「さっきここいらに住んでいる猫がタリクを咥えていったんだ。もう見つかったし、さっき体は確認したが大丈夫そうだ」
「猫!?魚じゃなくてタリクを咥えるの??」
驚いたようにくったりしているタリクさんを見て、
「‥‥タリク、美味しいのか?」
「そんな訳ないでしょう。匂いに釣られて私を連れていったんですよ」
「タリク〜、ごめんね。あたしがサンドイッチを食べさせたから‥」
「いえいえ、あれはあれで楽しかったですよ」
「まぁ、無事なら良かったよ。で、俺もう仕事終わりにさせてもらったから、今日のところは二人とも一緒に帰ろうぜ。うちは騎士団の寮だからむさ苦しいだろうけど警備の面では安心だからな」
それはそうだ。
騎士団の寮なら一番安心かも‥?
ウィリアさんは私の方を心配そうに見て、
「ルルクが人形だし、ユキちゃんも町にくる?」
「あ、いえ、私は大丈夫ですよ。いざとなったら紋様がありますしね!」
「それもそうか‥?んじゃ、夕方とか夜にこっちに見回りに行くように話しておくから。何かあったらすぐ連絡してくれ」
「はい!ありがとうございます」
見回りしてくれるなら安心だ。
とりあえず家まで歩いて送ってくれたウィリアさんに、ちょっとまだくったりしているタリクさんと、リィちゃんを籠に入れて手渡した。
「お姉ちゃん、また明日ね〜〜!!」
「うん、また明日ね〜〜」
ウィリアさんの脇から顔を出して、小さな手を一生懸命振るリィちゃん。
お人形さんって可愛いなぁ。ルルクさんと一緒に家の中へ戻ると、ルルクさんはピョンとソファーに座り、
「小さいのは本当に元気だな」
「‥ルルクさんも小さいですが」
「俺はどう見ても大人だろう」
「今はどう見ても可愛い人形ですよ」
憮然とした表情をするけど、人形のなのに迫力が全然なくて大変面白い。小さく笑ってルルクさんの頭を撫でると、されるがままなので撫でられるの結構気に入っているのかもしれない。なんだか子供みたいで可愛いな‥。
「明日はどんな遊びを用意してあげようかなぁ」
「またままごとに付き合うのか?」
「子供は沢山遊ぶのが仕事ですからね」
「‥‥仕事ねぇ」
どこか遠くを見つめながら呟くルルクさん。
小さい頃から戦場にいたって言ってたし、遊びどころじゃなかったんだろうな。そう考えると、私はお金の問題はあったけど割と楽しい幼少期だったのかもな。
「じゃあ遊びますか‥?」
「は?」
驚いたように私を見上げるルルクさんの頭をそっと撫で、
「私も両親が亡くなって以来、家を立て直す為にオモチャを全部売って働いていたんで‥。でも今なら沢山遊ベるなって!」
結構名案じゃない?
そう思ったのに、何故かルルクさんが不満そうに私を見上げた。
「‥遊んでなかったのか?」
「はぁ、ぼんくらおじ様のせいで‥。内職とかしてました」
「何だそれは。ぼんくら通り越してダメ人間じゃねぇか」
「なんでそんなルルクさんが怒るんですか」
「‥‥どんな時でも幸せでいてもらいたいだろ」
ボソッと呟いたルルクさんに、思わず目を丸くした。
もしかしなくても過去の私のことを想ってくれてる感じ?ルルクさんの過去の方がずっとハードだったのに??驚きと同時に小さい頃の私のことを心配してくれている優しさに、なんだか泣きそうになってしまう。
「おい、何で泣きそうな顔してんだ‥」
「‥ちょっと小さい頃の私が慰められたんです」
「まだ遊んでないのに?」
「‥まだ遊んでないのに」
嗚呼〜〜!今まさに大きなルルクさんに嬉しくてぎゅって抱きつきたい!けど人形だしな‥。いや、人形だからいいのかも?私はルルクさん人形を持ち上げて、そっと抱きしめた。
「えへへ、ルルクさんありがとうございます」
大人になってからだっていっぱい遊ベるもんね!
これからは出来なかったことを沢山して、小さいかった頃の自分と今の自分を両方楽しい!って思えるようにするんだ!そうまさにルルクさんと一緒に。
そんなことを考えつつ、胸の中のルルクさんを撫でていると、
「‥‥‥何で今俺は人形なんだ」
と、悔しそうに呟いた。
まぁ、リィちゃんのせいですねぇ‥。
でも私は今このルルクさんで良かったけどなぁ。
買い物に行ってお財布を忘れたのは私‥。
しかし、若い方はこのネタを知っているのかしら‥。




