恋愛ゲームの主人公、お世話イベント!6
タリクさんとリィちゃんがスウスウ寝ているので、私はその合間に家事をしたい‥。なにせいつも家事を手伝ってくれる頼みの綱のルルクさんまで人形だからね。
「ルルクさん、私ちょっと洗濯物を取り込んできてもいいですか?」
「‥‥気をつけろよ」
「徒歩30歩でどんなアクシンデントに遭うんですか」
嫌だよ、そんな恋愛ゲーム‥。
しかしルルクさんからすると、私は徒歩30歩で落とし穴にハマりかねないと思われているらしい。私はこれでも大人だぞ?ともかく寝ている籠のそばにいてもらって、私は足音を立てないようにそっと外へ出た。
「うん、しっかり乾いてる!」
洗濯物を籠の中へぽんぽんと放り込み、家の中へ戻ろうとすると、リビングの窓がちょっとだけ空いている。
「‥あれ?窓、開けてたっけ?」
換気で開けてたような、そうでないような?
ともかく家の中へ早く戻ろうと、踵を返すと、
「ユキ!!!」
ルルクさんの叫ぶ声が聞こえて、何事かと家の中へ駆け込めば、籠が置いてあるテーブルの上には白ぶちの猫が乗っていて、なんとタリクさんを咥えているではないか!!
「た、タリクさん!!!!」
私が叫ぶと、猫は驚いたように飛び跳ねて窓の外へ飛び出した!
「う、うわぁあああ!!」
「待ってーーー!ちょっと待って!!」
待って!連れてかないでーーー!!!慌てて追いかけようとすると、
「ユキ!俺とリィも一緒に連れていけ!」
「そ、そうだった!!」
まだ寝ているリィちゃんを抱えると、ルルクさんがぴょんと私の肩に飛び乗った。
「確かあの猫はいつも湖の方で休んでる!」
「よく知ってますね?」
「まぁ狩りをする時に、時々会うからな」
いつの間にか顔見知りだったのね?
急いで3人で外へ出て、湖の方の道へ駆け出したけど、なんだって今日に限って、タリクさんを連れて行ったんだ?あ、もしかしてサンドイッチか!?色は消せても匂いは残ってたのかも‥。
あまり整備されてない小道を全速力で走るけど、タリクさんを見失ってしまったら‥?そう考えただけでゾッとする。
「タリクさん!タリクさーーーん!!!」
どこかで声がしないかと目一杯叫んでから耳を澄ませるけど、何も聞こえない。
「る、ルルクさん、どうしましょう!!」
「落ち着け。とりあえず湖の方へ向かってみて‥」
「んん、どうしたのぉ‥?」
「あ、リィちゃん。起こしちゃってごめんね。タリクさんが猫に連れて行かれちゃって‥」
「猫???」
あ、そっか。人形だし、そもそも棚の中にずっと仕舞われていたから猫の存在を知らないのか。ともかく不安にさせないように、「大丈夫だけど、ちょっと一緒にいてね」と、話すとこくりと頷いた。
うん、私も落ち着かないと!
片手で自分の頬をペチンと叩いて走って行くと、湖が見え始めた。
「あれ?」
道の端っこに何か落ちてる‥?
木の下からタリクさんがヨロヨロとこちらへ歩く姿が見えて、目を見開いた。
「タリクさん!!良かった!!大丈夫ですか?」
「は、はい。猫にシェイクされて、ちょっと気持ち悪い、ですけど‥。でも吐くに吐けないようで、目が回ります‥」
そう言って、私の手の中でくったりとひっくり返ったタリクさん。
「た、タリクさーーん!!」
「タリク良かった〜〜、見つかったね〜〜」
「ユキ、とりあえずそっと持って帰ろう。傷はなさそうか?」
「そうだ!確認!!」
そっと体をひっくり返して確認したけれど少し汚れているだけだったので、ホッと胸を撫で下ろした。
「良かった‥本当に良かった!!」
「タリク大丈夫?」
「今はちょっと目を回しちゃってるから、とりあえず静かにしてあげましょうね」
「そっか。早く元気になってねぇ」
タリクさんの頭をそっと撫でてあげるリィちゃん。
優しいなぁ‥、そして可愛い。タリクさんも小さく笑って「ありがとうございます‥」って、お礼を言ったけど、タリクさん‥そこはゆっくり休んでいいのよ。意外と子供相手だと無理しちゃう人なんだな。
子供の頃、遊ぶより勉強をしてたって言うし、もう少し力を抜いてもいいと思う‥。そんなことを思いつつ、さっきルルクさんにしたように頭をそっと撫でると、タリクさんが驚いたように私を見て、
「だ、大丈夫ですよ?お、大人なので‥」
と、顔を赤らめた。
そうだった!!中身は成人男性なのについ子供のように撫でてしまった!
急いで謝ると、私の肩に乗っていたルルクさんがジロッとこちらを睨み、「そういうのは俺だけにしろ」なんて言うので、咄嗟に「はい!」って返事しちゃったけど‥。ん?今のってヤキモチ、ですかね??
ヤキモチ最高に好きな私です!!!!!
(あ、現実では少しくらいが丁度いいですけどね)




