恋愛ゲームの主人公、お世話イベント!5
結局お昼まで外でごっこ遊びをすると、疲れたのかリィちゃんがくったりと横になった。
「だ、大丈夫、かな?」
「疲れて寝ている‥のでしょうか?」
私とタリクさんで慌てていると、ルルクさんがリィちゃんの顔をじっと見て、
「‥呼吸が安定してる。どうやら寝てるらしい」
「人形って寝るんですね‥」
「そうだな‥」
まさかゲームの世界で人形が眠るとか想像しなかったわ。
いや、そもそもタリクさんとルルクさんが人形になってることがまず信じられないけど‥。
「とりあえずうちの中へ戻って寝かせてあげましょう」
そっと持ち上げると、人形って軽いと思ったけど割とずっしり感が‥。これは命の重さ的な?ともかく静かに我が家の中へ戻って、籠に布を敷いて寝かせてあげると確かに小さく寝息を立てている。
「命って、不思議だ‥‥」
「命っていうのか、これ?」
「ルルクさんだって、現状人形で生きているじゃないですか」
「‥‥まぁ、元は人間だからな」
お互い顔を見合わせ、小さく息を吐いた。
ちょっと朝から色々起こりすぎて脳みそが疲れた‥。タリクさんは小さく笑って、
「色々ありましたから、少し疲れましたよね。私は人形だからか食欲が全然湧かなくて‥。そもそも食べられない状態ですが、ユキさんはどうぞお昼を召し上がってください。リィさんに付き合ってお昼がまだでしょう?」
「は、はい。えっと、ではお昼頂きますね」
すっかりリィちゃんの一件でお昼が頭から飛んでいた。
呆れるような目線で私を見上げるルルクさんから逃れるべく、作ってくれたサンドイッチを広げて食べると、タリクさんが考え込むように小さな腕を組んだ。
「それにしても、どうやって元から人形だったものがああやって動けるようになったのか‥。レオルドも私もルルクさんも人間だから一時的に人形になったとしても動けるのはまだわかるのですが‥」
「タリクさんでもわからないことってあるんですねぇ」
「私の専門は魔石や魔鉱石ですからねぇ‥。魔道具も少しかじっていますが、どちらかというとシヴォンの方がずっと詳しいですし」
「そうでした‥」
本当なら白い魔石を使って照明の魔道具を一緒に開発することになってたらちょっと違ってたのかな?でも、そうなってたらそもそもこんな問題は起きなかっただろう。結局、一緒に開発する照明もタリクさんは自力で開発してしまったし。
「色々知っているようで、知らないことって沢山ありますね。紋様については個人的に勉強しているんですが、先日会った紋様士の先輩のお話を聞いて、まだまだ知らないことが多いなぁと思い知りました」
「ふふっ、人はずっと学んでいくものかもしれませんね」
タリクさんとそんな会話をしていると、ルルクさんが窓の外をじっと見ているのに気がついた。
「ルルクさん、どうかしました?」
「‥‥何か視線を感じただけだ」
「視線?」
私も窓の外を見るけれど、誰もいない‥よね。
「念の為聞きますけど、お化けではないですよね‥」
「それはないな。それにそういうのはいてもどうにもできないだろ」
「待って!?それって視えてる口ぶりなんですけど?」
「‥そりゃ戦場にいればそういうのの一つや二ついるだろ」
「わぁああああ!ちょっと怖いんで!一旦止めてください」
小声で訴えると、ルルクさんは私を見てニヤリと笑った。
あ、なんですか、人形なのにその悪い顔は。
「‥意外だな。そういうのがダメなのか」
「くっ‥!人形なのに悪い顔してる」
「他にも聞きたいならいくらでも話してやるぞ」
「結構です!」
タリク先生〜〜!ルルクさんがいじめてきます〜!と、ばかりにそちらを向けば、なんとタリクさんまでいつの間にか船を漕いでいる‥。タリクさんもやっぱり疲れてたのかな。そっとタオルを敷いてその上に寝かせてあげればくうくうと寝息を立てて寝ていて‥、思わず胸がキュンとしてしまう。
「か、可愛い‥!」
「はぁ?」
「だって人形が動いているんですよ?!可愛いんでしょう!」
「‥‥‥俺も動いてるが?」
ん?
それはもしかして「俺だって可愛いだろ」ってことかな?
つい吹き出してしまうと、ルルクさんがバツが悪そうな顔をするので、ますます可愛い。そっとルルクさんの頭を撫で、
「まぁ、でもルルクさんが一番可愛いですよ」
タリクさん達を起こさないように小声で伝えると、人形のルルクさんのほっぺがほんわりと赤く色付いた。え!!すごい!照れるとこんな風になるんだ!驚きつつルルクさんをまじまじと見てしまうと、
「‥‥ジロジロ見るな」
と、言いつつ頭を撫でろと催促するように私の手をじっと見るので、それはもう可愛いルルクさんを心ゆくまで堪能させて頂いた。‥人形、最高かもしれない!
ぬい活、絶対一度手に入れてしまったら手放せない存在になるとわかっているので、あえて避けている私です。(だって可愛いんだもん)




