恋愛ゲームの主人公、恋と花とイベント。9
せっかくお祭りに参加できると思ってたのに、私はお祭り当日はずっと紋様を描くそうな‥。そりゃ紋様を描くってレトさんに約束したけど、ずっととは思ってなかった。確認は大事だな。
しょげる私にウィリアさんは、
「まぁ、タリクが収拾付かせるまでは少し時間も必要だからね」
「収拾?」
「ユキちゃんに王族御用達なんて旗が立ってるから‥。いくら騎士に警護させるとはいえ、知らない町を歩かせるのはちょっと危険なんだ」
「そういえばそんな話してましたね‥」
「そう。警護も付けてはおくけどやっぱり用心に越したことはないからね」
「なるほど‥」
そっか。私の身の安全の為なら仕方ない、のか。
うう、こうなると王子から早急に王族御用達の旗を撤去して頂きたい‥。シヴォンさんは眉を下げ、
「タリクもすぐに対処すると言ってくれたから安心してくれ。とりあえず今回は色々迷惑をかけるがよろしく頼む」
「いえ、それはこっちですよ‥。よし、じゃあギルドで頑張って紋様描きまくります!!」
「お前はほどほどにしておけ。昨日もぶっ倒そうになってただろ」
すかさずルルクさんに止められた。ええ〜〜、でも新しいやり方も試したい!と、シヴォンさんが私をまじまじと見て、
「ユキさんは、少し、魔力が増えたのか?」
「え?魔力って増えるんですか?」
「今までやったことがない魔術を使うとか、限界まで使うと魔力の流れが良くなったり、量が増えることがある。どうやら急に増えて、体が追いついてないのかもしれない」
「あ、そうかも‥」
昨日、やったことのない魔力の込め方をして紋様を描いたから‥。
そっか〜、魔力はこれだけって思ってたけど、使い方や工夫で増えることもあるんだ。それなら私、まだまだ伸び代があるってことか。ちょっと嬉しいな。
ルルクさんは私をチラッと見て、
「喜ぶのはいいが、体調に気を付けろよ。特に祭りの当日!」
「うっ、わ、わかってますよ」
「ユキさん、魔力は増える前後に体調を崩しやすいから気をつけたほうがいい」
「は〜〜い」
シヴォンさんにまで言われたらもう素直に頷くしかない。でも、増えていくならもっと色々な手法を試せるかもしれない!家に帰ったら色々試そう!と、ルルクさんがウィリアさん達を見て、
「話はもう大丈夫か?ユキの客が来た」
いつもの仕事をしている方を見れば、腰痛の酷いお婆ちゃんがよろよろと歩きながらこちらへやって来るのが見えた。ウィリアさんとシヴォンさんは頷いて、
「じゃ、祭りの前日は朝の8時に家まで迎えに行くんでよろしく。ユキちゃんまたね!」
「では、失礼する」
「はい!よろしくお願いします!」
小さく会釈して、急いでお婆ちゃんに椅子を勧めた。
さーて、お昼までいっちょ頑張りますかね!張り切ってお婆ちゃんの手の甲に早速紋様を描こうとしたら、薄っすらと何か描いてある。
「あれ‥?お婆ちゃん、誰かに紋様を描いてもらったの?」
「ああ、丁度ユキちゃんが出かけた午後に腰を悪くしてね‥。隣町に紋様士がいるっていうから孫に連れていってもらって、描いてもらったんだ。描いてもらった時はすごく調子が良くなったんだけど、なんだか痛みがぶり返してきちゃって‥」
「そうでしたか‥。じゃあ痛みが軽くなるように描きますね」
そう言ってお婆ちゃんが好きなお花の紋様を描けば、痛みが軽くなったのか感謝して帰っていったけれど、さっき見た薄い紋様‥何か気になるんだよなぁ。
「うーーん‥」
「どうかしたか?」
「ああ、ええと、あんまり見ない紋様だったので‥。どこの紋様かなって」
「見ない紋様?」
「ちょっと独特なタッチだったんで‥」
なんだっけな〜〜。
どこかで見たような、見てないような‥。家に帰って調べたらわかるかも。とりあえず今日はお婆ちゃんでお仕事は終わりっぽい。ほっと息を吐いて紋様の道具を片付けようとすると、ルルクさんが手伝ってくれた。
「ありがとうございます」
「さっさと昼飯を食べたいだけだ。今日は昨日の鶏をスモークにしておいたサンドイッチだぞ」
「早く食べましょう!!」
そう言うと可笑しそうに笑って、いきなり私をまた縦に抱っこした。
「な、なんで?!まだ疲れてませんよ?」
「疲れてから回復しようとしても遅いだろ。温存だ、温存」
「いや、そんなもっともらしいこと言ってますけど、それならせめてギルドに出てからにして下さいよ」
「それじゃあ意味がない」
「意味とは???!」
ホワーイ?!って叫びたかったけれど、すでにギルドにいる騎士さん達や大工さんに見られて恥ずかしい‥。ううっ、社会的に私を抹殺してないかルルクさんや。
成人男性が主人公をひょいひょい抱っこするものか?と、思ったけど
アイススケートのりくりゅうペアを見て、全然ありだな!!と思い至りました。
ありがとう!りくりゅうペア!!!(毎回見ては号泣してました)




