恋愛ゲームの主人公、恋と花とイベント。8
最初は借りてきた猫のように警戒してたルルクさんだったのに、今では一日に一回キスをしないと心臓が止まるなんて言うとは‥。素直なのは良い事だが私の心臓が止まります。主に照れで。恋愛ゲームの主人公なのに、本当に主人公かと疑いたくなるぜ‥。
そんなこんなで今日もギルドで紋様を描きつつ、色々な人に隣町の話を聞けば、
「あ〜〜、隣町の領主の娘さんね!確かにスッゲェ美人だって話だよ」とか、
「すっごく美人なのに彼氏がいないから男性が次々と結婚を申し込んでる」とか、
「とにかく美人なんだけど男性と次々とお付き合いしてもすぐ別れちゃうらしいわ」など、
お祭りの話を聞きたかったのに、出てくる話は領主の娘さんばかりである。お客の騎士さんは、美人な領主の娘さんの話をしてから、
「ユキちゃんはさ、美人っていうより可愛いだよね!どう?今度お茶でも‥」
と、言い出した瞬間、後ろからただならぬ殺気を感じた。
後ろを振り返ればルルクさんが「俺がそいつの紋様を描いてやろうか?」って突然言い出すので目を見開いた。いや、貴方戦士やん。
「ルルクさん、突然の転職宣言ですか?」
「紋様はユキ専門だからやっぱり無理だな」
「ならなんでそんな事を突然言い出すんですか‥」
呆れつつそう尋ねる横で、騎士さんが「えーと、ありがとね〜〜」と素早く去っていってしまった‥。まぁ、もう描き終えたからいいけどさ。
「‥‥あの騎士、昨日も来てなかったか?」
「なんでも腕を負傷してしまったみたいで‥。結構皆さん怪我が多いんですね」
「‥‥ほぉ」
急に目つきが鋭くなって、カウンターの方にいる騎士さん達をジロッと睨んだが、なんだその怖い顔は。暗殺者の眼光をうっかり復活させないでくれ!と、カウンターの奥からウィリアさんとシヴォンさんがひょこっと顔を出した。
「あ、いたいた!ユキちゃんおはよ〜!」
「ウィリアさん、シヴォンさん、おはようございます!」
「今日も仕事忙しそう?」
「お前んとこの同僚が何度も怪我をしているそうだ」
「あはは〜。そりゃ大変だ。あとで気をつけるように言っておく」
なんだかヒンヤリした空気が流れたが、だ、大丈夫‥だよね?
シヴォンさんが呆れたようにウィリアさんを見てから私の方へ視線を向けた。
「ユキさんは体調は大丈夫か?温泉から戻ってまだ日が浅いだろう」
「もうすっかり復活しましたよ!昨日はちょっとお客さんが多くて大変でしたけど‥」
「ああ‥。ウィリアから聞いていた。タリクに話しておいたんですぐに収まると思う。こういうのはタリクが一番早く収められるからな」
‥なんとなく言わんとすることはわかる気がする。
ウィリアさんも横でうんうんと頷いてから、持っていた紙をルルクさんに手渡した。
「これ、隣町のお祭りの配置書。花馬車も小さいもんかと思ったら結構大きいらしくてさ‥。とりあえず目を通しておいてくれ。で、明後日一度ユキちゃんも交えてギルドで確認をしておきたいんだ」
「わかった」
お、おお、まだまだ先‥と、思ったけど準備は着々と進んでいるんだな。
シヴォンさんはちょっとため息を吐きながら、
「しかし、随分と領主も厳重に警備をさせるな‥。そこまで大きい祭りでもないんだろ?」
「娘さんがえらい美人だからねぇ。心配なんだろ」
「ウィリアさん、会ったことあるんですか?」
「うん、この間現地の視察に行った時にちょっとね」
ウィリアさんがえらい美人っていうから、相当美人なんだろうな‥。ちょっと会うの楽しみかも‥なんて思っていると、
「娘さん、結構な面食いらしくてねぇ。好みの男性に声掛けてたっけ‥」
と、いう言葉にハッとした。
待って?ここに格好いい人間いるぞ?ルルクさんをチラッと見上げるけども、肝心のルルクさんは全然興味がなさそうに生返事をすると、
「‥‥隣町は、港もあるのか」
「あ、そうそう。だから外国人も多いらしいね。隣の国からも時々来るらしいよ」
などと仕事の話だけ‥。
自分が格好いいって自覚ないのかな?もしかして声を掛けられちゃうかもとか‥。いや、でも私と一日一回キスしないと心臓が止まるって言っちゃう人だし、別にそんなねぇ?ちょっと胸の中がもやっとするけれど、大丈夫!お祭りすっごく楽しみ!!と、気持ちを切り替えると、
「あ、ユキちゃんは申し訳ないけどお祭り当日は、ギルドでずっと紋様を描くことになると思う」
「えええ!??」
そ、そんなのあり〜〜〜!?
まさかのお祭り参戦できないの!?肩を落とすとシヴォンさんが慌てて「お、お土産を沢山買ってくる!」と、慰めてくれたけど、完全にお子様扱いされている?!
今日も読んで頂きありがとうございます!!(五体投地)




