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恋愛ゲームのシナリオはログアウトしました。  作者: 月嶋のん
恋愛ゲームの主人公と暗殺者の日常。

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恋愛ゲームの主人公、恋と花とイベント。7


王族御用達というのはネームバリューになるんだなと、今更ながら体感する小市民。


昔は貴族で、そういうのもっと理解してたはずなんだけど、貧乏とか貧乏とか貧乏ですっかり忘れてたわぁ。最後の一人を描いて、顔を上がればもう夕方だ。ほおっと息を吐くと、ルルクさんが私の肩にポンと手を置いた。


「お疲れ。大丈夫か?」

「は、はい‥」

「顔、疲れてるな。歩いて帰れそうか?」

「いや、流石にそこまで疲れてませんよ」


と、言いつつ魔力をかなり使ったのでヘロヘロだ‥。

道具を仕舞おうと手を伸ばすと、


「あ、ユキちゃーん!紋様ってまだやってる?」


向こうから騎士さんが声を掛けてきた。疲れてるけどあと一人なら頑張るか‥、返事をしようとすると、



「今日は店じまいだ」

「「え」」



ぴしゃりと宣言したルルクさんが手早く私の道具を片付けると、サッと私を縦に抱き上げた。


「る、ルルクさん!??」

「さっさと帰るぞ」

「いや!?その前に歩けますって!」

「明日もあるのにそんな体で歩けるか」

「歩きますよ?!」


慌てふためく私を抱き上げていても全く体幹がブレないんだからすごい‥。ちょっと羨ましいなと、思うけど、その前に職員さんにも、周囲にいた騎士さん達にも注目されて、かなり恥ずかしい。結局私はルルクさんに抱えられ、買い物までしてから家まで抱っこされたままっていうね‥。ううっ、明日も出勤なのに〜〜!


「もうっ!ちゃんと歩けるって言ったのに!」

「そうかそうか。今日は鶏肉のソテーだぞ」

「くっ!誤魔化されませんよ?!」

「‥元気が有り余ってるなら早速料理上達の為に横でサラダを作るか?」

「作ります!」


パッと挙手をすると、ルルクさんが小さく微笑んだ。

うん、顔がいいな‥。まさか顔を半分以上隠していた暗殺者がこんなに格好いいなんて、ゲームのスチルもいけずなやっちゃ。


手を洗って一緒にサラダを作る為に腕まくりすると、ルルクさんにレタスを手渡された。よしよし、これを洗って千切るくらいならね、私だってできちゃいますよ!パリパリと音を立てて葉っぱを一枚ずつ剥いて水が入ったボウルに浸すと、


「‥体調、大丈夫か?」

「え?」

「さっき顔が青かった」

「そうだったんですか?」

「紋様の描き方、少し変えたろ。体が慣れないうちは無理するな」

「うっ‥」


紋様士の先輩達に教えてもらった技法を取り入れて描いてたの、よくわかったな‥。感心したように見上げれば、ルルクさんはちょっと得意げに笑って、


「誰かさんはすぐ無茶をするからなぁ」

「‥すみませんねぇ。でも恥ずかしいから抱っこは勘弁して下さい」

「あんな倒れそうな顔をしてたら無理だな」

「ええ〜〜!?じゃ、じゃあ、ギルドを‥せめて街を出てからで!」

「それじゃ意味がない」

「なんで?!」

「なんでだろうなぁ」


意味ありげに笑って、私が千切ったレタスを受け取ると、ザルでぱっぱと水を切ってくれたルルクさん。私の頭をポンと優しく叩くと、



「ま、それがわからない内はまだまだだな。じゃレタスを皿に盛り付けてくれ」

「‥また誤魔化してません?」



じとっとルルクさんを睨み上げると、チュッとわざと音を立ててキスをするルルクさんに、目を丸くした。


「は、なっ、なん」

「可愛いな」

「な、な、なな、」


ぎゃあああぁああああ〜〜!!!!!ルルクさんに心臓止められる!!天国のお父さん、お母さん、こんな事態何も予測してなかったからびっくりだよ!!!ボウルに入れられたレタスを持って私は思わずテーブルの方へ逃げ、



「る、ルルクさん、キス禁止です!!!」

「は?」

「心臓止まっちゃうから禁止!!!」

「無理だな」

「なんで!?」

「俺の心臓が止まる」

「止まる!??」



キスしないと生きられないの?!いつの間にそんな設定になってたの?

ぽかんと口を開けると、ルルクさんは可笑しそうに吹き出すと、「これでよく無事だったな‥」と、しみじみ呟いてから、


「俺はユキからのキスがないと生きられない体になったんで、最低一日一回はよろしく頼む」

「え、ええ?!ほ、本当に‥‥?」

「本当だ」


至極真面目な顔をして頷いたルルクさん。

ゲームに、そんな設定あったっけ?私は小さく頷くと、ルルクさんはそれは嬉しそうに笑って、熱したフライパンに首が落とされた鶏肉を焼き始めた。



‥恋愛ゲーム、設定どんなだったかもう一回書き出しておこうかな?

真剣に考えつつ、私はルルクさんのお皿に山盛りのレタスを乗っけておいた。





設定集って何度も読んでいるはずなのに、もう一回読むと「え!?そうだったの?」と、いう発見がある私は作品を何度でも楽しめる天才です!!٩( ᐛ )و

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