恋愛ゲームの主人公、恋と花とイベント。10
結局、仕事を終えて家に戻ってから紋様について色々調べたけれど、これというものは見つからず‥。でもどっかで見たんだよな〜と思っているも、美味しい夕飯の登場ですっかり頭から抜けてしまった。ええ、単純な恋愛ゲームの主人公です。
そうこうしていると、あっという間にお祭りの前日。
つまりはお出かけである。昨晩服や道具を詰めた鞄を玄関に置いておいたので準備万端である。
「ユキ、朝食食べるぞ」
「はーい」
キラキラとお日様の光が今日も眩しい。
朝日を浴びた美しいオムレツも眩しく、いや、美味しく見える。早速食前の挨拶をしてから、ふわふわのオムレツを食べれば、今日も乗り越えられそうだ。食事って大切だなぁ〜〜。
「美味しい!今日も美味しい!」
「‥毎回よく言うな」
「そりゃ美味しいんですもん。毎回言いますよ」
もぐもぐと卵の優しい味を堪能し、窓の外を見れば木々が大分赤く色付いている。すぐに秋が深まって、あっという間に冬になっちゃうんだろうなぁ。今日も綺麗な青空だし、祭り当日も良い天気になりそうだ。
「あーあ、あんなにいい天気なのに、当日はギルドでずっと紋様の仕事かぁ‥」
「気持ちはわからんでもないが、絶対にうっかり外へ出るなよ」
「警護の人がいるんだから大丈夫ですよ」
「‥だといいんだが」
そんな人を歩くトラブル製造機のような視線で見ないで頂きたいんだが?
むうっと唇を尖らせてから、ハッとして口元を手で隠すと、ルルクさんが一瞬目を丸くして、すぐに吹き出した。
「なんだ?キスして欲しかったのか?」
「違います!!る、ルルクさんじゃないから、私は心臓止まりません」
「そうか。俺は心臓が止まるからあとでな」
「あ、あとって‥」
だからぁああ!!そういうのやめて!!意識しちゃうから!!
赤くなっているであろう頬を誤魔化すようにパンをもそもそ食べる私を、面白そうに見つめるルルクさんに腹が立つ。くそ〜〜〜!暗殺者ってなんでそんなにキスだのなんだのを平気でやってのけちゃうんだ。恋愛ゲームの暗殺者だから?!それなら私は主人公だってのに〜!
「ご馳走様でした!美味しかったです」
「はいよ。どれ皿を洗うか」
「あ、私も一緒に洗います」
「その前にもう一度荷物の確認だけしておけ。紋様の道具を忘れるとまずいだろ」
「はーい」
なんだかんだと心配してくれるところは、本当に有り難いんだけどねぇ。お母さんみたいだなぁなんて思いつつ、部屋に戻って作業机の上をもう一度見直しておく。と、以前タリクさんがくれた本が目に入った。これは確か「呪い」について書いてあった本だったな。
何の気なしに、パラパラとページをめくったその時、
「ん‥?」
人の行動を「制御」するページの注釈に目がいく。
そこには「惑わす」ことも呪いの一つ‥と、あり、「魅了」「従属」「心酔」を起こさせることもあるとあった。
「魅了、ねぇ‥」
あったなぁ〜。「魅了」ってないんですか?って聞かれたこと。
確か紋様でもあるにはあったけど、禁忌中の禁忌!って言われて、それは封印された紋様って説明された記憶がある。ううむ、帰ったらその辺ももう一度勉強し直した方がいいかもな。
「ユキ、大丈夫そうか?」
「あ、はい」
ドアの向こうからルルクさんの声が聞こえて、慌ててドアを開けると、ルルクさんが目の前に立っていた。
「わ、びっくりした。ルルクさん入ってくればいいのに」
「‥‥今は、入れない」
「なんで?」
「なんでだろうなぁ」
私の部屋のドアにはそりゃ『悪意ある者、侵入不可』って紋様を書いてあるけど大丈夫でしょ?ルルクさんだし‥。首を傾げると、ルルクさんにすかさずチュッと音を立ててキスされた。
「ひゃ!?」
「っふ、本当慣れないな」
「な、慣れませんよ?」
「はいはい、ほら目を瞑れ」
「え、ええ、もう一回?」
「忙しくなるしな」
ええ〜〜!?と、声を上げるより先に、ルルクさんの唇が今度はおでこに触れて、驚いてギュッと目を瞑ると小さく笑う気配と一緒に瞼にキスをされた。ひ〜〜〜〜〜〜〜!!朝からすっごい空気甘くない?!つい、ルルクさんの服をギュッと掴んでしまうと、その手を大きな手がゆっくり撫でるからまたびっくりしてしまう。
「ユキ」
「は、はい?」
ルルクさんに呼ばれて目を開けると、コバルトブルーの瞳が朝の光を受けてキラキラと輝いていて、思わず見惚れてしまう。綺麗だなぁ‥、と、ルルクさんの頬をそっと撫でると、驚いたように私を見つめるので、ちょっと嬉しくなる。
ふふん、私だってたまにはやり返せるんだぞ?
ルルクさんの両頬を両手で優しく撫でて、
「大好きですよ」
と、言ったら、そのまま噛みつかれるようにキスされた。
な、なんでやーーー!!そこは赤面するところじゃないんかーーい!!!
ルルクさんはいつだって糖度高めです( ✌︎'ω')✌︎




