恋愛ゲームの主人公、恋と花とイベント。4
急にやって来てルルクさんの体を採寸しようとしたウィリアさん。メジャーを持った手がふと止まる。
「‥‥そういえば肩幅はわかるけど、着丈ってどこ?」
「わかってないんかい!」
メジャー片手に首を傾げるウィリアさんに思わず突っ込むと、シヴォンさんも「僕に聞くな」と呆れたように返された。‥そうだった、この二人貴族だったもんね。服はテーラーが作ってくれるからそういうのわからないよね。
「もう!ともかく知りたい箇所を教えて下さい。ちゃちゃっと計ります」
「え、ユキちゃんわかるの?」
「そりゃこれでも一人で生きてきましたからね‥」
なーんて言ったが、おじ様がうちの家督を継いでから転がり落ちるように貧乏になっていったから、仕方なく仕事の合間に服を繕う内職をしていたからなんだけどね。あの時は執事長が泣いて悲しんだっけなぁ。
ウィリアさんからメジャーを受け取って、私はルルクさんに早速立ってもらった。
「ええっと、着丈ですね。これくらいかな‥」
「あ、じゃ俺が数字書いておくよ」
「よろしくお願いします。あとは裄丈はこれくらいですね」
「ふんふん、やっぱり腕が長いと攻撃しやすくていいねぇ」
「どんなコメントですか。ええとあとは胸回りと、胴回りと腰回りか‥。ルルクさん、ちょっとだけ両腕を浮かせて下さいね」
「‥ハイハイ」
どこかもうどうにでもなれ‥みたいな顔をしているルルクさんの体にメジャーを回そうと思って、ハタっと気が付く。ちょっと手が届かないな‥。
「んしょっ」
「ちょ、おい!?」
抱きつくような形でメジャーを体に這わせて顔を上げると、困ったように私を見つめるルルクさんと目が合った。
「ん?何かありました?」
「‥お前なぁ」
「いいなぁ〜、俺もユキちゃんに採寸してもらおうかな」
「え、いいですけ‥」
「「ダメだ!!!」」
シヴォンさんとルルクさんに同時に言われて驚いた。
え、え?なんで??驚く私にルルクさんは眉間にシワを寄せ、
「‥‥体の採寸は、今後誰にもするなよ」
「ええ??」
なんでそうなるの?目を丸くする私にからかうようにウィリアさんが「職権乱用じゃーん」と、言えば、シヴォンさんが赤い顔で「お前はちょっと黙ってろ!」と、窘めた。もしかしてべたっとくっ付いて計測されたのが恥ずかしかったのかな?なんだ〜、それならそうと言ってくれればいいのに。
できるだけ今度は気をつけて採寸すれば、ウィリアさんはサイズを書いたメモ用紙をポケットに入れ、
「うん、これでレトさんも枕を高くして今日は眠れそうだ。ありがとね!よーし、じゃシヴォンも少し気が済んだろ!じゃあルルクもユキちゃんもまたね!」
「夜分遅くにすまなかった‥。その、今度また改めて来るから」
「は、はい!帰り道、気をつけて下さいね」
ルルクさんと私で玄関まで見送れば、二人は馬に乗ってあっという間に帰ってしまった。‥慌ただしいことこの上ない。でも、あれでレトさんが落ち着いて過ごせるならなによりだ。私はぐっと背伸びして、
「とりあえずこれで当日まで大丈夫、ですかね」
「‥そうだな」
「あ、それとさっきベタベタ触っちゃってすみません」
「は?」
「え‥、だってさっき採寸してた時、嫌そうだったから」
私の言葉にルルクさんが心底驚いたような顔をすると、はぁ〜〜〜っと重い溜息を吐いて、ちらりと私を見つめた。コバルトブルーの綺麗な瞳に思わずどきっとすると、ルルクさんの大きな手が私の背中をそっと撫で、自分の方へ引き寄せた。
「え、え?」
「‥‥あのな、好きなやつが急にくっ付いてきたら驚くのは俺も同じだからな」
「ルルクさんが?!」
「俺をなんだろ思ってるんだ」
「だってキスする時、余裕な顔してますよ?!」
「そうか?」
「そうですよ!今だって全然余裕の顔してますけど‥」
いつの間にかルルクさんの胸の中にすっぽり納まっている私、なんとか顔を上げてそう訴えると、ルルクさんは私のおでこにチュッと音を立ててキスをした。驚いて体がちょっと跳ねる私を見て、満足そうに笑うルルクさん。‥ほらぁ〜、やっぱり余裕じゃないか。
ちょっと悔しくてじとっと睨むと、
「‥だから可愛いだけだ」
なんて言うけど、睨む顔が可愛いってどういうこと???
暗殺者って怖い顔の方が好きなの???
首を傾げる私の頭をルルクさんが大きな手でワシワシと撫でると、
「‥‥まだまだ時間が掛かりそうだ」
と、言うや否や今度は唇になんとも情熱的なキスをするので私は目を回した。だ、だからぁ!いきなりキスするのなし〜〜〜!!!
今日も読んで下さりありがとうございまーす!!




