恋愛ゲームの主人公、恋と花とイベント。3
色々あって(?)レトさんからお祭りの花馬車の運転手を頼まれたルルクさん。ウィリアさんや、シヴォンさんも参加するらしいけど、どんな感じになるのかなぁ。ちょっとワクワクしながら一緒にルルクさんと家までの道を歩く。
「お祭り、楽しみですねぇ!」
「‥花馬車の運転だけで済めばいいんだがな」
「他に何かするんですかね‥。私、全然出かけてないから何もわからないなぁ」
「そういやそうだったな。こっちの町の方は参加してたのか?」
「はい。でもできるだけ目立たないようにささっと出て、すぐ帰っちゃってたんで‥。だから結構楽しみです!」
できれば静かに暮らしていたい感じのルルクさんには申し訳ないけど、一応私もまだうら若い乙女なんでお祭りと聞くとワクワクしちゃうんだよねぇ。ニッコニコで笑うと、ルルクさんは私の方に手を差し出すので、照れ臭い気持ちをなんとか押し込めて大きな手を握り返した。
「まぁ、さっさと仕事を終わらせてあちこち回ってみてもいいか」
「そうですね!それいいですね。うわ〜〜何か美味しい物とかあるかな」
「食欲旺盛だな‥」
「い、いえ、ちょっと可愛い物もあるかなぁとは思ってましたよ?」
慌てて訂正すると、ルルクさんが可笑しそうに笑って、
「確かに美味い物もあるといいな。家でも作れたらいいしな」
「作るおつもりで?!」
「大概のものは作れるだろ」
それが作れずに3年間焦げた物を食べ続けた私がここにおりますが?
つくづく私は恋愛ゲームの主人公なのか?と、自分が不思議だわ‥。大体恋愛ゲームの女の子が手作りしたお菓子とかがきっかけで仲良くなれるというのに、とてつもなく下手っていうね。そもそも私の人生がゲームのストーリーをガン無視してるからなのかもしれないけど。
「おい、また思考の海に潜ってるぞ」
「はっ!す、すみません!う、うん、とにかく美味しい物は絶対に見つけましょう!」
「‥‥食い気ばかりが育ってるな」
「え、ダメですか?!」
「いや、健やかに育て」
「‥なんか薄っすらと子供扱いしてません?」
むうっと唇を尖らせると、サッとまたルルクさんにキスされた。
「ぴあっ!??」
「‥なんだその声は」
「お、驚いた声です!なんだっていきなりキスを‥」
「そりゃ可愛いと思ったからだろ」
「か、かわっ!??」
どの辺が?驚くと同時に可愛いと思ったなんて言われて、頬が一気に熱くなる。と、ルルクさんが私の頬を右手でするっと撫でると目を細めた。
「帰ったら蝶を描いてもらうかな」
「蝶、好きですねぇ‥」
「お守りみたいなものだからな」
「お守り‥」
初めて出会った時、大怪我していたルルクさんに早く元気になーれ!って願いを込めて描いたのが蝶やお花だったから‥余計にそう思ってくれているのかな。少し薄くなってしまった黄色の蝶が描かれたルルクさんの大きな手の甲を見て、
「とっておきの描きますよ!」
そう宣言すると、ルルクさんが優しく微笑んでくれた。
何度だって喜んでくれるなら描くよ。私にとっても大事な人だしね。
二人で微笑みあって帰ったその晩。
お風呂に入って、ルルクさんに「次、どうぞ〜」と、言いかけたその時、
「やっほー、ユキちゃんいるー?」
「んえ?」
こんな晩にウィリアさんの声?
玄関の方へ行こうとすると、素早くルルクさんが私に自分の着ていた大きなカーディガンを羽織らせた。
「ちょ、ルルクさん?」
「髪を乾かして、ついでに着込んでから来い。あっちは俺が担当しておく」
「へ、は、はい」
着込んでってなんでやねん。
不思議に思いつつもお言葉に甘えて、部屋で髪を乾かし、一応パジャマでなく洋服を着てからリビングへ顔を出すと、ウィリアさんとシヴォンさんがテーブルの方に座っていた。
「シヴォンさん!お久しぶりです!」
「あ、ああ。久しぶりだな。その、夜半に急にすまない」
「いえいえ、お元気そうでなによりです」
少し伸びたのか紺色の長い髪がサラッと流れて綺麗だ。
うむ、確かにウィリアさんも言ってたけどイケメンだな。隣で座っているウィリアさんも、正面に座っているルルクさんも系統は違えどイケメンだ。こんな時、流石恋愛ゲーム‥って思ってしまう。
ウィリアさんはニコニコ笑いながら、
「さっきシヴォンとギルドで会ったんで、昼間話してたお祭りに参加してってお願いしたんだ。シヴォンもそれならって了承してくれたんだ。それでレトさんに衣装のこともあるから聞いて欲しいって言われてさぁ〜」
「衣装?」
「花馬車を運転する人にそれぞれ衣装があるからサイズ確認して欲しいんだって!で、早速ルルクのサイズ確認に来たんだ」
「ああ、なるほど‥。って、衣装あるんですね?」
「ねー、びっくりだよな」
ルルクさん、どんな格好するのかな。
お祭りもだけど、そっちも気になるな〜。‥まぁ、そのルルクさんは心底面倒臭いって顔をしてるけど。
お祭り大好き!わっしょいわっしょい!な人間ですが、
踊りはべらぼうに下手くそです。リズム感が仕事をしません。




