ここでは無い何処かの話
ここは魔王城。
人では認知できない空間にあるという
魔物達の総本山である。
いわゆる本部。
各地域に支部があり、魔物の量産、管理、人間狩猟の適正化を管理している。
「魔王様はご不在か。しばらくお会いしておらぬが、何処へお出かけか?」
魔王直属の配下の一人が、王座の横に学校の机のようなテーブルでひたすら書き物をしているメガネをかけた老人に話しかけた。
だが、老人は気に留めず、書き物を続けている。
「やめておけ、ジャニア。ウヅキ様は難聴ぎみで
補聴器も最近修理に出しておられる。
鼓膜を破る勢いで話しかけねば無理だ。
魔王様は・・オクトバが行方を捜しておる。」
「フェブラ、そんな事でいいのか?伝説の勇者が復活したと聞くぞ?我らが根絶やしにされる危機だ。」
天久手達が転移してきた世界、
トリップ課での惑星名はゴズ
いま彼女達のいる大陸は王都ファイサーを首都とする国家、ファイヅァーである。
隣国にはロ・シュ、ノメルディスがありいずれも強大な力を持っている。
別の大陸にはまた多種多様な国家があるが、それはまた今度。
しかし魔王城だけは世界地図に載ることなく、別の特殊な地図に掲載されている。
現在幹部の一人が食べ歩きマップを作りに行ったまま帰ってこない。
有給休暇の取得は済んでいる
100年くらい
全員で魔王幹部は12人おり、それぞれ役職が異なり
非常に忙しい。
ウヅキだけは名誉会長として一戦を退いており、息子が後を引き継いでいる。
食べ歩き幹部は別として、みな多忙でここに集まる事は困難である。
今回はジャニアが時間を作ってやってきたが、彼もまた魔王騎士隊の指揮官として日々兵達の鍛錬、人間達との戦で忙しい。
戦続きで婚活ができず独身である。
名前が女っぽい者もいるが、魔王幹部は全て男であり、女は家で子供と家を守るのが仕事とされている
フェブラは情報統括管理者として、数多の書類と日々格闘しており、先月から家に帰れておらず、夫婦関係がかなり危機に瀕している。
「伝説の、勇者か。前に来たのはいつだったかのう」
ウヅキが顔を上げ、長いモフモフの髭を整えながら
喋り出した。
「それよりも、タナトスバードが全滅させられた案件を調べねばならぬ」
魔王幹部の一人、セプテンが部屋に入ってきた
彼は魔王都立中央病院の院長である。
テーブルに書類を広げる
「田舎町を全滅させるべく派遣したタナトスたちが1匹残らず駆逐された。あそこの魔法師だけでは対応できず、そのまま周辺の村も近日全て焼き払う予定であったのに、だ。」
「そんな実力者はあそこにはもうおらぬ。みな中央の王都に行っておるはずだ。何の娯楽もないあんな田舎に誰がいる」
フェブラは、自身のもつ情報と照らし合わせて確認している。
水晶で部下と通信し、真実であることを知ると、目を見開きセプテンを見た。
「まさか。勇者なのか?!」
「いや、あの外道ではない。あいつなら全滅させるわけはないからな」
セプテンは勇者を口に出すのも嫌らしく、吐き捨てるように喋る
「調査は続行する必要がある。フェブラ、後は頼めるか。私はアイツにやられたトロール達の治療に戻らねばならん。」
「ああ、情報が入り次第全員に一斉送信する。
かみさんによろしくな」
「また飲みに行こう」




