96/104
チベット国1
義教達が向かったチベット国はこの頃は、パクモドゥパ政権のリンプン家が治めていた。
この頃の長は7代目のタクパ・ジュンネであった。
パクモドゥパ政権は明との交渉を統制しようとはせず、明も、明に使者を派遣してくる諸侯や諸教団と冊封・朝貢関係を取り結ぶだけで満足している状況であった。
義教は考えていた。
『チベット国は仏教国とはいえ、いろいろな派に分かれており、長はいれども緩やかな繋がりな国だ。
かつての我が日の本にそっくりだ。
今から統一した国づくりをするのも時間がかかる。さてどうするか?』
義教は、日の本にいた頃の初心に戻っていた。
「楠木党を呼べ。」
楠木正秀以下、楠木党が義教の前にひざまづいた。
「よいか。これから向かうチベット国は、有力な領主がたくさんおる。
これらの動静を事前に探れ。
場合によっては、我が国の味方になるように調略せよ。
ただし、国が違う。
その国にとけこみ、その国の民となり、その国の考えがわかってから動くのだ。
言葉は、通詞から学んでから参るのだ。
また、チベット国の仏教も事前に頭に叩きこんで参るのだぞ。」
正秀は答えた。
「大御所様、ならばせめてひと月は準備をさせて下さりませ。」
「良かろう。頼むぞ。」
ひと月後、楠木党はチベット国に潜入すべく出発した。




