東北攻め1
新しき政の課題は山積していたが、義教の目下のところは天下の一統であった。
足利将軍家による一統ということではなく、新しき政の為の一統であった。
鎌倉での地固めは二年の歳月を費やして終わった。
ついに義教は東北の地を攻めるべく配下の兵に号令を下した。
東北の地は、大和の地で朝廷が出来た頃から蝦夷と言われたもの達が支配していた独立心の強い地であった。
鎌倉、足利将軍家が支配をしても、蝦夷の血は残り、東北のもの達は絆を強めていた。
陸奥国 奥州探題 大崎陸奥守教兼
出羽国 羽州探題 最上右京太夫義春
伊達郡 伊達大膳大夫持宗
会津 蘆名修理大夫盛久
十三湊 安東陸奥守盛季
三戸 南部遠江守義政
磐城 相馬治部少輔高胤
石巻・登米郡 葛西左京大夫朝信
義教にとっては最後の難敵であった。
義教は、評定において誰を味方につけるかを最優先に考えているように発現した。
「この8名の中で吾に味方するは誰ぞ。」
皆、首をひねっていた。
朝倉孝景が発現した。
「利で釣るなら、伊達大膳大夫ですな。
かの者は早くから奥州探題の地位を狙っておりましたから。」
義教は、その案を却下した。
「今後、探題なるものは置かん。奥州探題も羽州探題も廃する。従って、奥州探題で伊達大膳大夫を味方につけても意味はない。」
「さすれば、いかになさるおつもりですか?」
「余の腹づもりを言おう。
東北のものどもは独立心が強い。
例えば、会津を攻めたとして、近くのものが本気で助けを出すか否かだ。」
「では、力攻めでしょうか?」
「いかにも、まずは会津から攻める。
ただ闇雲に攻めるにあらず、既に楠木党が入り込んで、各地の情勢はつぶさに調べた。
会津もどこから攻めれば、効果的かもな。」
「かしこまりました。」
「各地からこの鎌倉に兵を集められるだけ集めよ。東北攻めには10万の兵が欲しい。」
「しかしながら、兵の大半は百姓でございます。そんなに集まりますか?」
「その為に、今日まで、僧兵やまつろわぬ者や家督を継げなかった者達を集めていたではないか。それらのものを動員するのだ。
さすれば、10万は集められるのでは?」
「かしこまりました。ではひと月くだされますようお願いします。」
「良かろう。」
いよいよ義教の東北攻めが始まろうとしていた。




