関東御出陣2
義教は百騎を率いて近江に到着した。
尼子清定が、義教の到着を待っていた。
「御所様、お久しゅうございます。」
「清定、堅苦しい挨拶は抜きだ。しばしやすんだらすぐに軍議に移る。」
「かしこまって候。」
しばしの休息の後、軍議が開かれた。
「皆、大儀である。いよいよ関東と決着をつける時が参った。戦さについては余より皆の方が詳しい。余に遠慮なく忌憚の無いところを述べてくれ。」
清定がその言葉を受けて、発した。
「御所様もこう申されている。よいか、身分の上下を問わず良い案は取り上げる。」
「あのー」
後ろの方から声がした。
「どうした?遠慮なく申せ。」
「はい。今、この場にいるのは、戦さの前の場にいる朝倉様や織田様ではございません。
ここで、いくら策を講じても、朝倉様、織田様がおらねば、実情と食い違うのではないかと?
いかがでございましょう。軍を分けるか?
それとも一つにして進むかだけでも決めては?」
義教は膝を打った。
「おーそうであった。その方の言うとおりである。余が焦っておった。清定、今の言葉、その方はどう思う。」
「はい、全く、吾も恥じいるばかり。皆もどうか?」
一同は賛同のうなづきを返した。
「先ほどのもの、名は?」
「尼子家足軽にて、藤助と申します。」
「藤助やら、足軽にしてはなかなか戦さを心得ているとみた。そちならどうする。」
「はい、申し上げます。御所様は信濃を目指されると聞きました。ならば、織田様は東海道から、朝倉様は、越中から、御所様は中仙道から進軍されるがよろしいかと。ただ、皆で、飛騨で会われて日を決めて一斉に攻めかかるが良いかと。」
「なるほど。面白い。ならば、このまま、飛騨まで進軍するとしよう。」
清定が答える。
「楠木党に使いを出させます。織田殿、朝倉殿に飛騨で軍議と。後は我らの進軍の支度でございます。」
「清定、あの藤助なる男、しばし余の手元に置きたい。よいか?」
「お心のままに」




