飛騨・信濃攻略7
村上頼清が海野幸数の所領に入ると、歓迎ムードであった。
頼清はすっかり気をよくして、幸数の元を訪れた。
「これは村上殿、お待ち申し上げておりました。さっそく客間へ…」
「いや、まずは生け捕りにした朝倉孫右衛門尉に会いたい。すぐに案内して頂けまするか?」
「善は急げと申しますからな。では、こちらへ…」
案内されたのは地下牢であった。
一人の武将が悠然と構えていた。
「朝倉孫右衛門尉殿か?村上頼清でござる。
そなたに恨みはないが、関東への馳走へとさせて頂く。」
「はっはっはー、馳走になるのは、どちらかのー?」
「何?」
頼清は次の瞬間、海野の手のものに絡め取られていた。
「おのれ!一緒に戦った吾を裏切るか?」
「村上殿、もはや関東殿の時代ではございませぬ。しばし、この地下牢で頭をお冷やし下さい。」
地下牢に入れられた頼清であるが、不思議な面持ちにとらわれた。
「朝倉殿、そなた何故ここにいる。吾を捕らえたらなら出ても宜しかろう。」
「村上殿、そなたとじっくり話しがしたくてな。場所はこんなところだが、酒肴も用意させます故、吾の話しをお聞きくだされ。」
恐るべし朝倉教景。わざわざ村上頼清と話すため地下牢を選んでいた。
「わかった、もはやどうすることも出来ん。話しを聞こう。その前に吾の配下の者はどうなった?」
「あー、海野殿の手厚いもてなしを受けているであろう。安心せい。」
それから約一晩、二人は語り合った。
海野幸数が現れたのは、夜が明けた頃であった。
「海野殿、村上殿も我らの意図をご理解いただき、御所様のお味方についていただくことになった。」
「それは重畳。ではおふたりともお疲れでしょう。少し休まれませ。」
信濃攻略は兵を損なうことなく着々と進んでいた。




