越前攻略3
朝倉孝景と甲斐常治が手を結んだことなど夢にも思っていない斯波持種は越前守護になった高揚感と戦さの高揚感とで夜明け前に目を覚ましていた。
『朝倉孫右衛門尉は若狭からいつ越前に攻め入ってくるか?これは一度、常治と軍議をしなければならないな。』
陣中を周りながら持種は考えていた。
本陣に戻ると近習が駆け寄ってきた。
「お屋形様、甲斐美濃守様より火急の使いが。
なんでも朝倉方の動きが不穏とのこと。
美濃守様の陣で既に軍議を始めた由。
お屋形様にも至急起こしたいとのことでございます。」
「なに!常治め!吾を出し抜きおって!
急ぎ、主立ったものを集めよ。常治の陣へ参る。」
持種は、留守居の大将を残すと一族、侍大将を含めて50騎の兵で取り急ぎ常治の陣へ向かった。
常治と持種の陣は一里ほど離れていたが、その半ばの草むらに、常治と孝景は500の伏兵を配していた。
物見の兵が二人の前にかしずき、
「斯波勢50、こちらに向かっています。」
と知らせをもたらした。
「美濃守、やはり来たようだな。御主の読み通り、人に出し抜かれると頭に血がのぼるお方のようだな。」
「あゝ、手を結んだはいいが、あの性分には手を焼いていた。」
「母衣衆よ。各大将に伝えよ。敵兵が我が勢の中に入ったら一斉に矢を射るようにとな。
機を見て采を下す。総攻撃の合図だ。」
孝景の伝令を母衣武者が各侍大将に伝えに行く。
ひたすら、甲斐常治の陣を目指していた斯波勢に、矢の雨が降って来た。
斯波勢の進軍が止まった。
持種が叫ぶ。
「何事か?」
次の瞬間、斯波勢の周囲を兵が取り囲み、甲斐常治と朝倉孝景が姿を現した。




