機内出撃2
いよいよ畿内から各方面に出撃という日の朝。
義教はいつもより早く起き、青蓮院門跡 義圓と名乗った時代を思い出しながら斎戒沐浴を行い、法華経を念じた。
既に各方面大将は、花の御所に集まり義教の出座を待っていた。
義教は梶井義承、経覚、楠木正秀を従えて出座した。
「皆のもの大儀である。既に都を中心とした我らの領内では、実力があるものは誰でも政に関わる仕組みが出来てきた。しかし、日の本全部にこの仕組みを広めなければ、皆が安心して暮らせる世はこない。
鎌倉、九州、陸奥はそれでも、偽りの泰平が保たれているようだが、いずれ破れるであろう。
我らは、まず、今、家督争いで戦さ続きの地を治めるのを急務とする。
そこでだ。大将になったものには、この三カ条を守ってもらいたい。」
義教が書いた紙には
掠奪するを禁ず。
無抵抗のものを殺すを禁ず。
罪を犯した兵は例え一銭盗んだものでも厳しく処罰し、死罪とする。
と書かれていた。
「良いな。それぞれの兵には吾の手のものが潜んでいる。隠しても吾の耳に入れば、大将といえど、厳しく処罰する。
働きが良ければ、土地か銭を公平に褒美を与える。皆、励めよ。
後は畿内に残るものも後から必ず機会はある。
今は我慢してくれ。」
義教は頭を下げた。
誰ともなく叫んだ。
「御所様、お気になさらず。御所様のことは良く分かっております。」
「ありがとう。では、いざ出陣!」




