身内の敵2
日野重子は御台所という立場ではあった。
しかしながら、兄 義資は義教の不興を買い、謹慎の上、何者かに殺害され、実家は落ち目になっていくのに何も出来ない事に無力感を感じていた。
義教が将軍独裁という政を行うことにより、縁戚であっても実力が無ければ政には参加出来なくなっていたからだ。
「重政、お前も御所様からは遠ざけられ出家させるとはな。御台である私にはどうすることも出来ず申し訳ないです。」
「御台様、吾に政を行う力が無いからでございます。」
「しかし、力が多少無くても、私の顔を立ててなんらかのお役に付けて頂きたいものですが…」
「御台様、御所様は、力あるものしか政に関わらせないおつもりです。公家も同じでございます。現に五摂家も力あるものが、摂政・関白となっております。」
「しかしながら、それでは、これまで和でなった朝議ですら成り立たなくなりますまい。」
「はい、混乱しておりまする。」
「お上はなんと?」
「お上は、御所様に任せております。これが厄介なところ。」
「では、御所様がいなくなれば、良いのだな?」
「御台様、怖れ多い事を。御所様が居なくなれば、次は何となさいます。」
「千也茶丸がおる。私や重政、それに勝光が後見すれば良い。
政は、御所様が連れてきた優秀なものがおる。
そのものが合議すれば良いのだ。」
「どうやって、御所様を…」
「私は御台です。御所様の側に近寄る機会はいくらでもあります。
それに私も小太刀の使い手でですよ。」
「分かりました。では、事が起こされるのを待ちましょう。」
この時に床下に人が潜んでいる事に誰も気づいてはいなかった。




