陸奥の向背定まる3
篠川公方跡地。
かつては、鎌倉公方の弟が陸奥を支配せんとした場所である。
8名の実力者は円になって座っていた。
最初に話を切り出したのは、奥州探題 大崎陸奥守教兼であった。
「皆が黙っていて仕方ない。都の御所様の動きは、必ずやこの奥州にも牙を向いてくる事と存じます。既に鎌倉公方様より、御所様に対すべくこの奥羽とも手を結びたいと我が元に書状が参りました。さて、皆々さまの存念をお聞かせ願いたい。」
伊達大膳大夫持宗が問う。
「陸奥守殿、御所様のことは確かに気になる。しかしながら鎌倉公方様も信ずるに値出来る方かな?確かまだお若いお方。大方、周りの者に操られているのでは?」
「大膳大夫(伊達持宗)殿のご懸念も確かでございます。鎌倉殿は、九州勢とも手を結びたいと手を打つと申されているようですが、我が(安東)水軍の調べでは、九州は独自の動きをしているとのこと。あまり、その書状の通りになるかは、なんとも言えませんな。」
羽州探題 最上右京太夫義春が問う。
「ならば、奥羽は如何に動く?」
大崎陸奥守。
「まずは、北畠の残党、浪岡を打ちましょう。
我らが今まで対峙してたのを良いことに、今までは、のさばらせていたが、この際、皆で結束して打てば、あっという間に打てましょうぞ。」
伊達大膳大夫持宗。
「遠江守(南部義政)殿、確か南部家は浪岡家についている一族もいるとか?」
南部遠江守義政。
「ご心配なく、そのものは、既に我が一族にあらず、遠慮なく打ちましょう。」
大崎陸奥守。
「では、遠江守殿を先陣とし、一気に浪岡家を打ち、後顧の憂いを断ちましょう。」
蘆名修理大夫盛久が初めて発言した。
「浪岡家を打った後は、九州勢の如く、奥羽は独自の動きをして、鎌倉、都の様子を伺うことにしてはいかがでしょう?」
大崎陸奥守。
「であるな。では、ここに血判状を準備した。ここにいるものは、奥羽の為に、皆が結束して動くというものである。
ご納得いただけるなら署名、血判を…」
他の7名は無言でうなづいた。
伊達持宗は、内心では、
『いずれ奥羽を伊達家が全て抑えてやる』
という野望を隠していたが、黙って同意した。
ここに、奥羽の有力者同盟が結ばれ、陸奥は統一された。
それからひと月後、旧南朝の生き残り、浪岡家は奥羽有力者同盟勢に攻められ、あっという間に滅亡した。
時代は、畿内、九州、関東、奥羽、その他の戦乱地域に色分けされた。




