激戦 大和国2
さて、興福寺では、前の別当 経覚が、未だに影響力を持っていた。
経覚は、尋尊の元に出向いていた。
「尋尊、御所様の言いなりになると聞いたが?」
「経覚殿、そなたは、この興福寺を戦火に巻き込む気か?都からの知らせでは、朝倉殿率いる兵、1万5千がこの大和に乗り込んでくるとの事。もはや、無駄にあがらう事は無益でございます。拙僧は、別当として、この興福寺を守る所存でございます。」
「御所様も無茶な事をなさる。確かに都を抑えて以来、兵の数は増えたようだが、大和は山多く、国人衆も山に籠もれば、たとえ兵の数が多くともそう簡単に戦さに負けることはあるまい。」
「しかし、国人衆の中にも、この興福寺に従う者、従わぬ者がおります。経覚殿、それで苦労されましたでしょうに。」
「御所様が大和を攻めるとならば、国人衆も手を結ぶであろう。尋尊、そんな弱気でどうする。」
「経覚殿、御所様は興福寺の持つ土地は保証して下さると言うて下さった。いたずらに事を荒だてる必要はないでしょう。」
尋尊は、現実的な対応を考えているが、経覚はかつての興福寺の隆盛を取り戻したいと考え、二人は相入れない議論を繰り返していた。
「尋尊、興福寺内も大乗寺と一乗寺に分かれている。果たして皆がそなたの言う事を聞くかな?」
「経覚殿、まさか。」
「皆、尋尊は御所様の手先となり、興福寺を危うくしている。拙僧ならば、興福寺をまとめ、国人衆を率いて御所様と渡り合うことが出来るが、どうだ。」
合図と共に、僧兵達が乱入し尋尊を捉えた。
「経覚殿、これは?」
「尋尊、大和存亡の折だ。拙僧が、別当となり大和を守る。国人衆も皆、拙僧の元に集まってくれることになった。」
「経覚殿、正気か?あの御所様とまともにやるおつもりか?」
「尋尊、そなたはこの寺の一室に押し込める。黙って、成り行きを見守っておれ。」
五摂家 九条家の出でありながら、激しき闘志を持つ経覚の前に大和は一つとなり、朝倉率いる義教の軍を迎え打つ体制を整えた。




