激戦 大和国1
延暦寺への攻撃と僧兵への対処は思わぬ副産物を生んだ。
南都の寺社が、自ら武装を解き、恭順の意を示して来たのだった。
「後は、大和か…」
義教は、義承に呟いた。
「大和は興福寺が治める地。前の別当、経覚は御所様の意のままにならず、尋尊を別当となされたのでは?」
「大和は興福寺の別当が吾の意のままになっても、国人同士が対立していてな、あそこを抑えるは中々上手くいかん。
朝倉を呼べ。」
侍大将の一人、朝倉教景が義教の前に呼ばれた。
「御所様、如何なる用向きにて?」
「教景、そなたが守護代である越前には、興福寺領があったな。そなたと興福寺とは縁がある。そこでだ、こたび吾は大和国を本腰を入れて手にすることにした。そなたには、興福寺別当 尋尊を助け、大和国から興福寺領の確保と国人たちを吾に従うように力を尽くせ。
良いか、あくまで興福寺領は、その土地を確保するだけだぞ。武で抵抗するものは追い払うのだ。国人も興福寺に従うのではない、吾に従うのだ。間違えるでないぞ。大和は山多き国だ。
決して楽な戦いではない。それとな、前の別当、経覚を我が前に連れてこい。
兵はいかほどいるかな?」
「御所様、吾一人では、中々難儀でございます。出来れば二人ほど大将を連れて行きたいのですが…」
「それは、構わん。誰を連れて行くか、そなたに任せる。」
「ならば、同じ斯波家守護代織田殿、それと京極家被官、尼子殿を。大和に近いものを連れて参ります。兵は1万5千。都の固めは、1万が残ります。」
「よし、ここに尋尊への書状がある。持って参れ。」
「かしこまりました。兵を整え出陣まで3日下さりませ。」
「任せた。吾も後から2千率いて参る。」
「御所様の出陣の時は、こちらから追って知らせを致します。」
守護無き国、大和国での激戦の火蓋が切られようとしていた。




