22話『 動き出す悪魔教の“八魔神” 』
「ねえなんかヤバそうだよ?こいつら」
目の前の魔物達にナズナはそう言うがセリは「大丈夫だって!所詮はさっき戦った魔物!」と勢いよく魔法を放った。だが相手の魔物は先ほどまでとは違い俊敏な動きで撹乱しながら勢いよく体当たりを仕掛けてくる。
「ぐっ!」
「このぉっ!
ナズナも前に出るが、魔物達は明らかに先ほどまでとは違いセリ達の攻撃を簡単に避けて反撃をしかけてくる。
「そこのあんたたちも手伝って!」
「指図するな!」
「アーレットさんここは従った方が...」
「そうよ!このままじゃ私たち魔物の餌よ?」
アーレットは達渋々参戦し、前線に出る。だがやはりと言うべきか先ほどの魔物たちとは明らかに強さがワンランク上がっていて倒せなくはないが倒すのだけでも一苦労だ。さらに数も多いのでこのままではジリ貧になってしまう。
「グオオオオオオオオ!!」
「ホワイトウルフ!!」
そこに再びホワイトウルフが3匹現れる。もちろん同じように強化をもらっている個体のようだ。
「クソ!まじかよ!」
「やるしかないね!」
「行くわよ!」
アーレット、レレナ、ナズナが立ち向かうがまずはナズナがホワイトウルフの足での攻撃を受けて近くの木に叩きつける。その隙にアーレットとレレナが一撃を加えるが驚くほど効いていないようで振り払われ尻尾で地面に激しく叩きつけられた。
「おいおい、あんなのどうするんだよ...!」
そう言いながらもどうしようもなく立ち尽くしているセリにセツナがよろよろと立ち上がる。ラグナとの戦闘でぼろぼろでこれ以上戦える状態ではない。
「おいセツナ無理だって!」
「こんな時でも役立たずは役立たずのままですか」
「おいお前!こんな時になんてことを!」
「事実を言ったまでですよ」
ケーリッヒとセリがそんなことを言いあってる間にもホワイトウルフはジリジリと近寄ってきて襲える間合いを測っている。
「私だって...」
「セツナ!!」
セツナは剣を抜いて立ち向かおうとするがフラフラとした動きでまともに動けそうな感じすらない。
「無理するなって!!」
「で...でもっ...!
「くるぞ!」
「っ!」
ホワイトウルフが襲い掛かろうとした時。何かが勢いよく1匹を殴った。そして簡単に2匹、3匹と制して行く。
「困ったことになっとるなあ」
「ニースさん!」
「流石にこれは予想外やわ」
「どうしてここに??」
「えっと...まあ、少し様子がおかしいって報告がきとったんやけど」
「はあ..」
そんなは話をしていると先ほどあしらったホワイトウルフ達はまた寄ってくる。一斉に飛びかかっていたのを全て拳で受け止めて腹に一撃かます。残りのホワイトウルフも同じように簡単に処理してしまった。
「さて、別のところは隊長が全部処理してくれるから大丈夫やろ。Aランクの奴らもおるし...」
「はー!雑魚ばかりだな!」
そう言いながらガウスはどんどんと魔物を倒して行った。近くには倒した魔物は山積みになっている。
「暇だから一応受けたが、明らかに俺たちの出番じゃないよなこれ」
「ああ、雑魚ばかりだぜ」
リビアはそれを聞くとため息をつく。AランクともなればCランク辺りの魔物が多少強化されてたとしても誤差程度でしかないのだ。
「て言うかお前何やってんだよ」
「え?だってめんどくせーじゃん」
リビアは大きな岩に寝転がって何もしようともせずあくびをしていた。
「お前も少しはやれ」
「だってお前1人で倒せちゃうしい〜」
「チッ、雑魚ばかりでつまらねえ。もっと骨のあるやつは来て欲しいものだぜ」
その時、突然何かが奇声を上げてガウスに襲いかかってきた。それは悪魔教のゲゲルだった。
「食ウ!食ウ!腹減ッタ!」
「なんだ?こいつ?」
「ギシャァー!」
その一撃はかなりのもので剣で受け流して反撃しようとするが宙返りをして後ろに下がる。その時リビアは「あー!」と言う声を出した。
「なんだ」
「こいつ!悪魔教の“八魔神” じゃないか?」
「なんだそれ」
「悪魔教には八魔神っていう悪魔の力を宿したやばい連中がいるんだ!そいつらは桁違いの強さって聞くぞ!」
「へえ...面白いじゃねえか!っていうかなんでそんなこと知ってるんだ?」
「え?いやあの...えーっとなんかで聞いたんだよ!」
「コイツ、ナンデソノコト知ッテル」
「まあいい、雑魚相手ばっかで退屈してたんだ。してしてもらうぞ!」
そう言って駆け出すガウスゲゲルは「キシャー!」という声を出して拳を前に突き出す。
「ぐっ!なんだこいつ!」
人間業とは思えない動きも翻弄され何度も拳を腹や顔に喰らってしまう。反撃しようにもこれまあ人間とは思えない身のこなしによって全然当たる気配すらない。ゲゲルが「グァアアアアアアアア!!!」と奇声を上げながらゲゲルは何度もガウスに馬乗りになり、殴りつける。血まみれになりながらもなんとか反撃しようとするがなかなか反撃の隙ができない。
「ぐっ..」
「早ク食ベル!」
そう言って抵抗できなくなったゲゲルは首を掴んで食べようとする。リビアに助けを求めようとそっちの方を向くはそこにはリビアの姿はもうなかった。
「っ!あいつ逃げやがっ...!」
「イタダキマス」
そう言って口を開いた時そこに炎や氷の魔法が飛んできた。その魔法が飛んできた方にはリーゼエと何人もの杖を持った部下の姿があった。
「Aランクともあろうものが苦戦か?」
「ちっ...お前らか」
「舌打ちとはなんだ?助けてやったんだから感謝の気持ちぐらいあるだろう?」
「んなもん...なんとかできたから必要ねえ!」
そう言って魔法で気を逸らしたゲゲルに何度も剣で攻撃をする。そして腹に一突き剣を刺した。
「アガガガ」
「どうだ?」
その時、唐突にグゥーと腹の音が鳴り、全く効いていないのか刺されたとは思えないケロッとした顔で「腹ヘッテチカラ出ナイ...」とだけ言った。
「なんだこいつ?」
「ッ...イイノガソコニイル」
ゲゲルはそう言うとリーゼエの部下に飛びつき次々と惨殺して行く。
「くっ...こいつ!」
「オ前ハスグ食ベレナイ。アト」
リーゼエが止めようとするが簡単に攻撃を弾かれてしまう。
「食事ノ邪魔ダ」
「食事だと?」
するとゲゲルはとんでもない行動に出た。部下の死体をムシャムシャと食べ始めた。頭から何も余すことなく1人ずつ食していったのだから...。




