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-10.4-26 時間26

 そして明くる朝。


「……おやおや〜?世界樹のある場所は、こんなにも荒涼とした場所だったでしょうか〜?」


 ワルツたちは、勇者たちをサウスフォートレス(仮)に残して、エネルギアを使い、予定通りの場所へと移動してきていた。より具体的に言うなら、数日前に、狩人の先祖(?)であるアレクサンドラを下ろしたその場所である。

 しかし、コルテックスにとっては、それが納得できなかったようだ。まぁ、無理もないと言えるだろう。当初の予定では大陸の北部にある世界樹へと行くはずだったのが、気付くとなぜか大陸の南側のエンデルシア王国(予定地)に戻ってきていたのだから……。


 結果、タラップの向こう側に広がる赤茶けた大地に気付いて、コルテックスは不満げな声を上げたわけだが……。それに対して返答したのは、アレクサンドラと繋がりが深い狩人だった。


「すまない、コルテックス。少し付き合って欲しい。サウスフォートレスの成り立ちに関係することなんだ」


「そうでしたか〜。それなら仕方ありませんね〜」


 と、直前の様子とは異なり、二つ返事で納得するコルテックス。

 

 そんな彼女に対して申し訳なさそうな表情を向けていた狩人は、まるで荒野や砂漠を歩き回る旅人が着るような露出の少ない白色の外套を身につけていたようである。……いや、実際、彼女は、自ら荒野を行くつもりなのだろう。おそらくは、自分の先祖のことをワルツたちに任せきりになることに対し、申し訳なさでも感じていたのではないだろうか。

 しかしコルテックスは、彼女のその服装を見て、また異なる解釈をしていたようである。


「その様子〜……サンドワーム狩りですか〜?」


「……あっ!その手があったな!すっかり忘れてた!」


 そう言って、自身の道具袋の中を確認し始める狩人。どうやら彼女はアレクサンドラを探すついでに、サンドワームを狩りに行くことを思いついたようである。


 その様子を見て、彼女の後ろにいたワルツが、呆れ気味に口を開く。


「あの……狩人さん?すごく言いにくいことなんですけど……移動に時間が掛かるので、歩いては行きませんよ?飛んでいきます。なので、サンドワームには多分……遭わないかな、と……」


「なんっ……?!」


「えっと、ほら……サウスフォートレスに勇者たちのこと残してきちゃってますし……ちょっと急ぎ気味で」


 というワルツの煮え切らない言葉を聞いて——


「そ、そうだったな……。分かった……。今回は諦めるよ……」しゅん


——と、明らかに諦め切れていない様子で頷く狩人。その際、彼女の手が小さく震えていたのは、なにか禁断症状のようなものでも発症したからか、あるいは悲しみに打ち震えていたからか……。


 そんな狩人の様子を見ながら、ワルツはコルテックスへと話しかけた。


「……ってなわけで、コルテックス?ちょっとアレクサンドラのことを探してくるわー」


「そうですか、そうですか〜」


 と言いながら、ニッコリと微笑むコルテックス。

 彼女のその返答は、他の者たちから見る限り、特におかしな点は見受けられなかった。しかしワルツにとっては、少々不可解な反応に感じられていたようである。あまりに素直すぎる反応だったのだ。


「……それだけ?他に何か言うことないの?」


「はい〜?それだけとは〜?他に何か言って欲しい言葉があるのでしょうか〜?」


「いや……自分も行きたいとか言わないのかな、って思って……」


「一緒に行って欲しいのですか〜?嫌ですよ〜?」


「えっ……嫌なの?」


「それはそうです。この地方には、"女神"という方がいるのですよね〜?私はお姉様のように機動装甲を持っていないので、もしも"女神"がお姉様と同じ"ガーディアン"だとすれば、顔を合わせた瞬間、私は一方的にやられておしまいですから〜。……あ、狩人さんは大丈夫だと思いますよ〜?その女神が狙っているのは、お姉様のお話を聞く限り、お姉様のようなガーディアンだけで、おそらくは狩人様のような人間相手になら、それほど積極的には手を出してこないと思いますから〜。ですけど、私は、人間ともガーディアンともつかない、半端な存在。()の者と遭ったとき、何か起こるか予想が付きません」


「なるほど……」


 と、コルテックスが行きたがらない理由を理解した様子のワルツ。

 それから彼女は、妹の言葉を額面通りに受け取ると……。狩人と共にアレクサンドラのことを探すため、タラップを降りて出発しようした。

 

 するとそんな時。


「あ、そうでした〜。お姉様〜?……というより狩人様〜?」


 コルテックスが狩人を呼び止めた。


「ん?なんだ?」


「念のため、お守りを渡しておこうと思います。はい、どうぞ〜?」


 コルテックスはそう口にすると、ポケットの中から何かを取り出した。そして彼女はその物体を、狩人の手の上にそっと置く。


「これは……小さなスライム?いや、小さなマクロファージか」


「えぇ、そうです。第1世代目のマクロファージちゃんではなく、第2世代目のエンハンスドマクロファージちゃんです。機能はそのままに、大きさを小さくしてみました〜。ちなみに名前は、"セカンドジェネレーションエンハンスドマクロファージタイプ2"ですが、そのままでは名前が長いので、"マクロファージちゃん2号"と呼んであげて下さい」


「…………」ぷるん


「そうか……。じゃぁ、遠慮無く借りさせて貰うよ。だけど、まだ名前が長い気がするから……"ファージ2号"じゃダメか?」


「…………!」びくぅ!


「……ダメみたいですね〜」


「そっかー……ダメかー……」


 手の上に載せていたマクロファージの反応を見て、少しだけ肩を落とす狩人。それからというもの、彼女は事あるごとに、その小さなマクロファージのことを"マクロファージちゃん2号"と口にすることになる。


「まーた変なもの作って……」


「まぁまぁ、お姉様だって、似たようなものを作っているではないですか〜?エネちゃんやポテちゃんのための特殊なマイクロマシンだったり、カタリナ様に持たせているナノマシンだったり〜……。それ以外にも影で何か色々と作っていそうです。怪しげな香りがプンプンと漂ってきますよ〜?」


「……さてと。じゃぁ、出発しましょうか?狩人さん」


 何か答えにくいことでもあったのか、妹の言葉には返答せずに、そのまま歩き始めるワルツ。その後を狩人も続いて……。

 ワルツと狩人は、アレクサンドラを探しに、荒野へと旅立っていったのである。


……どうも、コルのしゃべり方が書きやすくて仕方が無いのじゃ〜。

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