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-10.4-27 時間27

 旅立っていったワルツたちの後ろ姿を、タラップの下で見送ってから……。


「さてさて〜、今日もタイムワープの方法を探すとしますかね〜」


 コルテックスは、元の時代に帰る方法を探すために、自室に引き籠もることにしたようである。

 ただ……。彼女はその際、1人で引き籠もるのはどうかと思ったらしく、道連れ——あるいは犠牲者と呼べるような(ともがら)を募ることにしたようだ。


「……ですが、1人で研究していても中々進みませんからね〜。誰かその辺に、助手をお願いできるような方はいないでしょうか〜?」


 と、一見すると独り言のようにも思える言葉を口にするコルテックス。しかしその言葉は、伝えたい相手に、しっかりと届いていたようである。

 その証拠に、彼女の後ろから2人分の返事が飛んでくる。


「仕方ないのう……。妾もワルツと一緒に行きたかったのじゃが、尻尾を掴まれてしまっては、どうしようもないからのう……」ちらっ


「ふーん、そう。残念だったね?私も行きたかったけど、誰かがこの船を守らなきゃならないから」ぎゅっ


 そう口にするのが誰と誰なのかは、もはや言わずとも明らかだろう。

 タラップを下ってやってきたそんな2人の方へと、コルテックスが振り返った。


「毎日、無理を言ってすみません。2人とも〜」


「ううん。全然そんなことないよ?だって何かがあって、私がエネちゃんのことを守らなきゃならないことになっても、その前にエネちゃんの方が攻撃しちゃうと思うし……。だから、暇なのとあまり変わらないから」


「妾は進んでコルの手伝いをさせて貰うのじゃ?……まぁ、どのみち、妾に拒否権は無いがのー」ちらっ


「うん?テレサちゃん、今なんか言った?」ぎゅっ


「何も……」げっそり


 今日もいつもと同じく、なぜか尻尾を掴んでくるルシアを前に、複雑そうな表情を浮かべていたテレサ。

 すると、そんな2人のやり取りを見て、コルテックスがこんなことを口にする。


「お2人とも、随分と仲が良いですね〜?」


「いや、それは無いかなぁ」

「いや、それは無いのじゃ」


「そうですか、そうですか〜。そうは見えないですけど〜……まぁ、そういうことにしておきますね〜」


 と言って、コルテックスは生暖かい表情を浮かべると、踵を返して船内へと戻ることにしたようである。その際、彼女が何を考えていたのかは定かでないが、触らぬ狐になんとやら、とでも思ったのかもしれない。まぁ、昼食のことを考えていた可能性も否定は出来ないが。

 その後ろを、どこか不満げな様子のテレサとルシアも、続いて……。3人は、コルテックス、テレサ、ルシアの順番で、エネルギアのタラップを上がっていった。

 

 そして、ここ数日と同じように、元の世界へと帰るための研究が始まる……。3人がそう考えた、まさにその瞬間である。


ブゥン……


 3人にとって、よく聞き慣れた特徴的な低音が、その場に響き渡ったのだ。それは転移魔法の音。どこからともなく誰かが——あるいは何かが移動してきたために生じた音だった。

 それが耳に入ると同時に、コルテックスが動く。


「……どちら様でしょうか〜?」


 彼女は、3人の先頭に立ってタラップを上がっていたというのに、どういうわけか次の瞬間には、最後尾で外を振り返っていた。具体的な方法は不明だが、転移魔法に類する魔法を行使したのかもしれない。

 そんな彼女に遅れて、ルシアとテレサも反応する。そして、彼女たちが振り向いた先にいたのは、見知らぬ女性だったようだ。


 長い白髪と青い瞳。白いワンピースと、そこから伸びる細長い手足……。荒涼とした大地にはそぐわない彼女のその容姿は、伝承に聞く"女神"に酷似していた。

 そんな彼女は、柔和な表情を湛えたまま、3人に向かってこう口にする。


「こんにちは、お嬢さんたち。女神が来た、って魔神さんに取り次いでもらえると助かるのだけれど?」


 それに対し、コルテックスが、女性と同じように柔らかい表情を浮かべながら返答した。


「……申し訳ございませんが、当艦には"魔神"と呼ばれる類いの人物は乗船しておりません。恐縮ではございますが、お引き取り願いますでしょうか〜?」


「そうですか。では改めてお尋ねします。この"船"に————ガーディアンは乗っていませんか?彼女に取り次いで欲しいのですが……」


 と口にしながら、瞳の奥に、鋭さを浮かべる女性。

 この世界では異端的なデザインとも言える空中戦艦エネルギアのことを"船"と表現し、そしてそれと共に"ガーディアン"という名前を口にする……。それがどのような意味を持つのか、3人共が理解した。……いや、こう表現すべきだろう。3人は女性の正体が何者なのかを理解した、と。


 彼女は、この時代における"女神"。エンデルス少年を"勇者"に変えて、彼の仲間たちを"神"にし、そして彼の母の命を奪った警戒すべき存在。そして何より、ワルツが警戒していた、自分たちとは異なるシリーズのガーディアンだった。


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