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-10.4-22 時間22

「はぁ……これで一件落着かしら?」


「これで、シルビアお姉ちゃんやリサお姉ちゃんたち、助かるかなぁ?」


「多分ね。だけど……ここまですごく迷惑を掛けた気がするわ……(しかも、私たち自身はまだ行けてないから、現在進行形で……)」


「うん……。そだね……」


 アイテムボックスの受け渡し至るまでに、紆余曲折ありすぎたためか、お互いに苦笑を浮かべ合うワルツとルシア。2人とも、もう少しスマートな方法で物資を送り届けることが出来たのではないかと考えたようだが……。もしも最初からエンデルシア国王に頼んだ場合、サウスフォートレスの未来がどうなっていたかは定かでなかったりする。


 しかし、一難去ってまた一難(?)。彼女たちを取り巻いていた課題は、未だその天辺が望めないほどに山積されたままだった。……今いるサウスフォートレスをどうするのか、そこにいる人々をどうするのか、未来に帰る方法どどうやって見つけるのか、カタリナ(小)のことをどうするのかなどなど……。まぁ、2人だけで頭を悩ませても仕方がなかったので、とりあえず手の付けようのない問題からは目を背けておくことにしたようだが。


 その後、彼女たちが、クマの人形を持って、廃墟となっていた城の中から広場の方に戻ってくると、そこでは捕まっていた人々を対象に、炊き出しが行われていた。彼らは食料を持っていなかったので、エネルギアの乗員(狩人たち)が、持ち合わせの材料で夕食を振る舞っていたのだ。


「うめぇ……うめぇよこれ……」

「なんだこの雪のように白いパンは……」

「肉が柔らかい……あぁ……とろけるようだ……」


 そんな感想を口にしながら、夕食に舌鼓を打つ人々。どうやらその料理には、1300年分の"食文化"という名のダシが効いていたようである。


 その食事には、捕らわれていた人々の他に、賢者とリアも参加していた。ということは、2人と同行していたエンデルス少年や勇者レオナルドたちも参加していて然るべきなのだが——


「あれ?エンデルスたちは?」


——どういうわけか彼らの姿はそこに無かったようだ。

 そんなワルツの問いかけに対し、賢者とリアが答える。


「陛下なら、昼間からずっとあの馬小屋にいると思う。レオと一緒にな」

「卵の様子を……見ていると……思います……」


「そう……。じゃぁ、ちょっと様子見てくるわ。ルシアは皆と一緒に食事を食べてても良いわよ?」


「えっ?ううん、私も一緒に行く!」


 そしてワルツの横に並ぶルシア。それから2人は、少し離れた場所にある馬小屋へと足を向けた。



 炊き出しをしていた場所から、50mほど離れた場所。そこにあった馬小屋の中にエンデルス少年の姿はあったのだが、彼からとんできた言葉に、ワルツは思わずたじろいだ。


「……あっ!お姉ちゃん!」


「えっ……」


 どうしてエンデルス少年が自分のことを"姉"と呼ぶのか……。彼女にはそれが理解できなかった。

 ゆえに、ワルツは、その理由を問いかけようとするのだが、それを口にする前に、エンデルス少年が、嬉しそうな表情を浮かべながら、こう口にする。


「これ見て!」


「「ん?」」


 エンデルス少年がそこをどけると、彼の足下にあった藁の上に、卵から生まれたばかりの——


「キュゥ……」


「……トカゲ?」

「かわいい……のかなぁ?」


——トカゲのような生き物が蹲っていた。大きさは、尻尾を含めて50cmほど。元の卵のサイズを考えれば、妥当とも言える大きさだったが、生まれたばかりの"トカゲ"にしては、随分と大きかったようである。

 その姿を見て、ワルツもルシアも、とある生き物を連想する。大人になると体長20mを優に越す巨大な生物……。それについては、馬小屋でエンデルス少年と共に、トカゲ(?)の誕生の瞬間を見ていたメイド勇者も、同じ考えだったようだ。


「この子……ほぼ間違いなく、ドラゴンだと思います。羽がないので地竜なのでしょう」


「地竜……地竜ねぇ……。あー、この子が誰なのか、大体分かったわ……」


 と、納得げな反応を見せるワルツ。それはルシアも同じだったらしく、彼女も姉の言葉に頷いていたようだ。

 そんなワルツたちの会話を聞いて、エンデルス少年が問いかける。


「ドラゴン?地竜?こんなに可愛いのに?」


「キュゥ……」


「可愛いかどうかは……まぁ、人それぞれだから何とも言えないと思うけど、かなりの高確率でドラゴンでしょうね」


「ふーん。ドラゴンか……。そっか……ドラゴンか!」きらきら


 と、まるで宝物を見つけたかのように、生まれたばかりの子ドラゴンのことを、嬉しそうに見つめるエンデルス少年。

 すると子ドラゴンの方も、エンデルス少年を見上げて、少しばかり甲高い声を上げる。


「キュィィィ……」


「……?お腹減ってるのかな?でも何食べるんだろ……。ミルクってことは無いよな……。ドラゴンにおっぱいが付いてるの見たこと無いし……」


「どんな想像してるのか分からないけど……そうね。それだけは無いと思うわ。ちょっと本人に聞いてみるから、すこし待っててもらえるかしら?」


「えっ?本人?」


 というエンデルス少年の問いかけを背に受けながらも、それには返答せずに、馬小屋の外へと出るワルツ。そんな彼女の後ろには、クマの人形を抱きしめていたルシアの姿もあって……。未来の世界にいるだろう"本人"に、地竜の子どもは何を食べるのかを直接聞くことにしたようである。


主食は狐である……と答えられたとき、ワルツとルシア嬢がどう反応するのかを書いてみるのも悪くないかも知れぬのじゃ。

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