君は悪魔の成り損ない
イミカに灯葉を殺せと命令した。
本当は、ケデロの抹消も含めての命令なのだが。
まあ、もし何かあったら私直々に行けば良いだけか…
何故こんなにも愛おしいのだろうか?
君が嬉しがる姿も、悲しむ姿も、痛がる姿も何もかもが私をくすぐる。こんなにも残酷になれるのは君のせいだイミカ。決して私のせいではない。
何故こうも嗜虐心を昂ぶらせるのだイミカ。ぐちゃぐちゃにしたくなる。
幸いにも、君の体は悪魔と化している。
どれだけ傷つけようが直るし、コアを壊さなければ死ぬことは無い。どれだけ爪を剥がそうが、肩を噛もうが、耳を削ごうが目を潰そうが髪を抜こうが歯を割ろうが鼻を折ろうが腕を壊そうが足を折ろうが針を刺そうが肌を焼こうが窒息させようが地面に叩きつけようが水に溺れさせようが感電させようが内蔵を掻き回そうが。
君は死なない。
受け入れてくれる。
余りにも愛おしいぞイミカ。
君を殺したい。でも殺したくない。
今にも私は潰れそうだイミカ。
私はこんなにも一途に思っているのに。
君は他の生き物に興味を向けてしまった。
私は生まれて始めて、怒った。汗も流したし、吐き気もした。
でも、そのおかげで君の拷問をより楽しめるようになった気がする。君は拷問を受けているとき、よく汗を流すね。それに共感することができた。君と一つになれた気がした。
それがとても楽しかった。
愉悦に浸ることができた。
だというのに。邪魔な塵が入ってしまった。
灯葉。
許せない。
イミカと共に寝る?
イミカに心配される?
断じて許されないことだ。
吐き気がする。
君も君だ。イミカ。
私は、今まで流石に遠慮していた拷問を行った。
体と頭を切り離し、頭を水に浸したフラスコに沈めた。君はずーっと溺死し続ける。私はそのまま一日中放置した。引き上げたとき、君は皮膚が溶けてしまっていたね。いや、わざとではないんだよ?たまたま君を沈めた液体が、君にとっての毒物だったというだけで。
私はてっきり水だと勘違いしていたんだ。
それから君は二日間程、正気を失っていたね。
意味のわからない戯言ばかり呟いて。
なのに、私は君を愛することができた。
これは素晴らしい発見だった。
私は君の存在自体を愛しているのだと気がつけた。
ね。
これこそが本当の愛だとは思わないか。
イミカ。
イミカ!
「…はっ」
私は壮大な独り言を叫んでいた。
何をしているのだ私は。
まあいい。イミカは灯葉を殺しに行った。
これで良いのだ。
灯葉の死体は持ち帰ってきてくれるだろうか。
ああ。生け捕りをお願いすれば良かった。
彼を拷問にかけなければ気がすまない。
まだやれていない拷問があるのだ。
彼にならば、遠慮なく実行することができる。
ああ、そうだイミカ。
君に拒否権などない。
だって。
君は人間でもない。
「人間の成り損ない」だ。
そして悪魔でも無い。
ああそうだ。
君は悪魔の成り損ないなのだから。
君は何者でも無いのだから!!




