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君は悪魔の成り損ない  作者: ヨダカ
プロローグ
15/53

闇夜のメリー 3

昔々、一人の職人が東の国に住んでいました。

その職人は自らの死期が近いことを悟り、今までの集大成と呼べるものを作ろうと思い立ちました。

その日から、朝も、昼も、夜も作品作りに没頭し、周りから心配されるほどその作品に集中しました。

職人は、作品に命を込めようとしたのです。

一年後、遂に基本的な形が出来ました。

後は思いと、少しの魔法を込めるだけ。

しかし結局完成は叶わず、職人は息を引き取ってしまいました。

職人は息を引き取る前に、この作品に名前をつけました。

光のメリー、と。


それから十年後。

東の国に、娘を連れた魔術師がやって来ました。

彼女はメリーの噂を聞き、是非見てみたいとこの地を訪れたのです。

彼女はメリーを見ると、それに純粋な職人の思いを感じ取りました。

これは完成させなければならない。

彼女はそう思いました。

彼女は娘と共に、メリーに少しの魔法を込めました。

光のメリーは更に完成に近づきました。

後は思いを込めるだけ。

その時でした。

東の国に、盗賊団が押し寄せて来たのです。

彼らは闇の心を持った、悪人でした。

これはいけない。奴らにメリーを渡しては、このメリーは大変な兵器となってしまう。

魔術師は娘とメリーと共に逃げ出しました。

しかし、メリーは繊細です。

慎重に運ばなければなりませんでした。

やがて、盗賊に見つかってしまいました。

彼女はどうか娘だけでも、と盗賊に命乞いをしました。

盗賊はそれを聞き入れず、魔術師…いや、一人の母親を殺してしまいました。

娘は、その光景を目の前で見せられました。

母親を失った彼女は、殺意と憎悪に溺れました。

そして、絶対にしてはいけないことをしてしまいました。

光のメリーに、憎悪を込めたのです。


彼女は、今も何処かを彷徨っています。

何を探しているのでしょうか。

幸運か。

愛情か。

それとも死に場所か。


…彼女は、メリーに憎悪を込めました。

しかし、職人の純粋な気持ち。

そして私の愛情。

これらは微かでもメリーに残っているのです。

私は、僅かな希望を信じたい。

いつかその日が来るまで、

闇夜のメリーは、あの子の為に回るのです。


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