悪魔とは?
灯葉。おい灯葉。
「…ん」
目を開けろ。
「…?何処だここは。それに、お前は?」
そんなことは今は重要ではない。大事なのはお前自身のことだ。
「俺?俺がどうかしたのか」
灯葉、お前は条件というものを知っているか。
「条件」
そうだ。化け物になるための条件さ。
「化け物?」
炎の魔女だとか、とにかく馬鹿に強いやつだ。
「なんだそりゃ…イミカのことか」
そうだ。彼女は何故あんな力を持っているか、分かるか?
「悪魔と契約した、と聞いたことがあるが」
その通りだ。悪魔と契約すると、どうなるか知っているか?
「それは聞いたことが無いな」
教えてやろう。魂を半分悪魔にやる代わりに、絶大な力が契約者に宿る。悪魔共はそう言っている。
「そう言っている?言っているだけなのか?そんなことは無いだろう」
あぁ、その通りだ。実際に、契約者は絶大な力を得ることに成功している。
「だったら」
罠だ。
「…何?」
実際は、悪魔共は力なんて渡していないのさ。
「はぁ?どういうことだ。魂が半分無くなると強くなるのか?」
少し違う。確かに魂も、原因の一つだ。
「…」
大事なのは、人間性だ。
「あ」
どうした。
「聞いたことがある。人間性を奪われた…そうだ、病室でイミカから聞いたんだ」
ほう。
「…まて、自分の魂を渡すことが、悪魔との契約の内容だったな」
そうだ。
「しかしイミカは、外見を奪われたと言っていたぞ」
外見。
「口を裂かれたとか、身体中に傷があるだとか」
ありえないな。
「じゃぁ何故?」
自分で考えろ。
「…そりゃないよ…」
情けないことを言うな。思考を放棄するということは、この世で最も愚かなことだ。
「手厳しいな」
当たり前だ…さて、ここからが本題だ。
「ここからが?」
あぁ。お前自身のことだ。
「そういえば、最初に言っていたな」
そうだ。結局、悪魔になる条件は何だと思う?
「えー、人間性の喪失?」
お、分かるじゃないか。
「お前の会話で、なんとなくな」
うん。さて、じゃあ具体的に、人間性の喪失とは何だと思う?
「まず、魂が元持ってた分より少なくなることだろ?それと…身体的にけ…っ…?」
…。
「…?」
…。
「…そういうことか?」
どうした。
「俺は…俺は?」
そうだ。
「悪魔になりかけている?」
あぁ。正確に言えば、見た目だけならもう悪魔になれる。そのレベルだ。
「はぁ…?」
冷静に考えてみろ。足と、目を失っているんだぞ。
「で、でもそれだけで」
まぁそうだ。一番重要なのは、魂の欠損だろう。だが安心は出来ない。
「う、…待て、なんだ?」
あ、光だ。一旦お別れだな。
「ま、まて」
待てない。
「お前は誰なんだ!最後に頼む!」
多分、また会えるぞ?
「その時まで待てないだろ!」
…そうだな。
「…?」
「お前の、相棒だ」
「そこの人!!」
「…あ」
目を開けた。周りの人全員が俺を見ていた。
「立ったまま寝るなんて…よほど疲れてるんですか?」
女性だった。後ろで髪を束ねていた。
「…まぁ、そうだな」
「ならうちで泊まって行きませんか?今なら安くしますよ」
「それはありがたいな」
こっちです、と手を引かれるがままに俺はついていった。
何だったのだろう、さっきの会話は。
夢ではない。それだけは明らかだった。




