第6話、配達と新装備
クエストを受注したミミに、店主が話しかけてくる。
「じゃあまずはギルド会館の3階の……」
「分かりました!」
ミミは荷物を受け取り、店を出る。
「あれ?この荷物、インベントリに入らない。そういうアイテムもあるのか〜」
入らないものはしょうがないと、荷物を抱えてギルド会館へと向かった。
「配達ありがとう。これはお礼の割引券だ」
「どういたしまして」
配達を終え、商店に戻ったミミは割引券を受け取る。
「まだ荷物があるんだが、配達していかないか?
もちろん礼はする。荷物1つごとに追加で割引券をあげよう」
「うーん、どうしよう……。確か、クエスト報酬に『その他』ってあったよね。
どうせなら報酬を全部もらえるまでやってみようかな。
ついでに道も覚えられるし一石二鳥かも」
ミミは店主に依頼を受けることを伝えた。
「ありがとう、助かるよ。次の配達先は……」
その後は何度も配達依頼を繰り返し、そのたびに割引券をもらった。
ミミが街の大通りを大体覚えた頃、最後の配達が終わった。
「今日はたくさん配達してくれてありがとう。
おかげで溜まっていた注文は全部片付いたよ」
「これくらいお安い御用です」
「それで、お礼なんだが……ちょうど割引券が切れてしまってな。
代わりと言っては何だが、装備をプレゼントしよう。
少し待っていてくれ」
店主はそう言って奥の倉庫に進む。
戻ってきた店主の手には1つの箱。
「これは昔仕入れたものなんだが、この辺りでは買い手がつかなくてな。
性能は確かだから、今回の報酬としては悪くないはずだ」
そう言いながら箱を開けた。
体防具「妖精の軽鎧」
物理防御力+10
魔法防御力+20
【思考操作可能】空中でMPを消費して推進力を得ることができる。
連続して使うたび消費MPが増加する。地面に着地すると増加分はリセット
受け取りますか?はい:いいえ
腰防具「妖精の軽鎧」
物理防御力+10
魔法防御力+20
受け取りますか?はい:いいえ
「いいね!空中で動けるなんてムーンジャンプにぴったりの装備だ!
でも、思考操作ってなんだろう……店主さん、分かりますか?」
「うーん、すまないが装備の使い方に関してはわからないんだ」
「分かりました。明日マキナに聞いてみようかな」
ミミは装備を受け取り、その場で装備する。新緑色を基調とした布の防具だ。
木の幹のような色の胸当てとベルト、背中には二股に分かれた白いマントが付いている。
動くたびにひらひらと揺れるマントがまるで妖精の羽のように見えた。
「おお~、妖精のイメージ通り、全部植物っぽい色で出来てるね。
それよりも本当に軽い!何も着てないみたいだよ!」
「喜んでもらえたようでよかったよ。次来るときは割引券も忘れずにね」
「はい!素敵な装備、ありがとうございました!」
そう言って店を出た。
「まずは装備の性能を試してみたいな。草原に行こう」
草原に着くと、早速効果を試してみる。
「ムーンジャンプ!……そして、ええと、前進!」
空中で「前進」と叫ぶと、視界の端のMPが少しだけ減り、全身が前へと押し出される。
「進んだ!次は上昇!」
その後は何度も方向を叫びながら、空中を自由に動き回った。
初めて空を飛ぶという体験に、ミミはMP消費のことも忘れて没頭してしまう。
そして楽しい時間に終わりが訪れる。
「上昇!あれ?右!左!」
叫んでも妖精の軽鎧が反応しなくなったのだ。
視界の端のMPバーはほとんど空。つまりMP切れだ。
そのまま背中から地面に落下した。背中を中心に全身にしびれが走る。
「痛~……くはないけど、ダメージを受けるのはいい気分じゃないな~
HPがほんのちょっとしか残ってないし、回復を待つのもな……」
ミミは倒れた姿勢のまま草原に寝転がる。目の前にウィンドウが現れた。
パッシブスキル「九死に一生」
一度に受けるダメージが最大HPの9割を超えなくなる
取得条件:一度に最大HPの9割以上のダメージを受け、生き残る
空きスロットにセットしますか?はい:いいえ
「新しい装備もスキルもゲットできたし、もういい時間だから今日はもうログアウトしよう」
ミミは横になったまま「九死に一生」をセットし、ログアウトした。




