第32話、訓練場の争い
「争い……もう起こってるみたいだね」
訓練場の中では険悪な雰囲気が漂っていた。
人々が2つの集団に分かれ、その中間では刺々しい言葉が行き交っている。
幸いと言えるかは分からないが、武力衝突には発展していないようだ。
その時、ミミたちの前にウィンドウが現れた。
クエスト:訓練場の争い
目標:争いを解決する
報酬:スキルの巻物
クエストを受諾し、3人は解決方法について話し始める。
「こういう時は両方に話を聞くのが鉄板だが、2つの集団の距離が近いな。
3人で片方に近づくだけでもう片方に敵認定されかねない」
「ここには3人もいるんだし、手分けしよう。
私は左の集団に話しかけてみる」
「そうしよう。ある程度情報を集めたら入り口前に集合だ。
では右の集団に話を聞いてくる」
「私は真ん中で議論している人たちに話しかけてくるよ」
3人はそれぞれの役割を決め、その場で分かれた。
ミミの担当は中央の議論をしている場所だ。
近づいてみると、1人のNPCがミミのほうへ歩み寄ってきた。
「格好を見るに冒険者のようだな」
「はい。今回はここでの争いを止めるためにやってきました」
「争いを止めるだと?我々はただ議論しているだけだ。
論争もある意味争いと言えるかもしれないが……。
それはさておき冒険者さん、1つだけ質問がある」
議論をしていた男は、覚悟を決めるように少し間を置いてから問いかけた。
「あんたは物理攻撃と魔法攻撃、どちらが優れていると思う?」
「……えっと、バランスよく使い分けるのが一番だと思います……」
男はミミの言葉に落胆したような口調で返した。
「玉虫色の答えだな。
まあいい、スキル構成を見ればおのずと分かること。
少し確認させてもらうぞ。覚悟はいいか?」
「まあ、この人たちは悪人じゃなさそうだから見られても問題ないよね。
大丈夫です」
その言葉を聞いた男は懐から金属の板を取り出し、ミミにかざした。
「パッシブスキルは状況で発動するものばかりだな。
実戦を積んだ良い戦士じゃないか。
アクティブスキルは……移動系と初期スキル、それにゼンマイの野郎のスキル!?」
突然声を荒げた男に、ミミは驚く。
「ゼンマイさんとお知り合いなんですか?」
「ああ、あいつがまだ自分のスキルを教えていたとはな……。
さて、君の攻撃スキルは物理にも魔法にも偏っていない。
だから、君の意見を新しい陣営として認めようじゃないか」
「じゃあ、あなたたちを言い負かせば論争を終わらせてくれるんですか?」
「いや、もう口論はしない。
これからは実力で優劣を決めるべきだと意見が一致したんだ。
つまり決闘をすることになった」
「ますます状況が悪くなってる!」
驚いているミミを意に介さず、男は話を続けた。
「決闘は今から10分後に行う。
君を含めてそれぞれの陣営から3人ずつ、計9人で三つ巴の戦いになるだろう。
開始までに仲間を見つけておくんだな」
男はそう言って、自分の陣営に戻っていった。
「マキナ、アンバー、集合!」
1人取り残されたミミは仲間を呼んで事情を説明した。
「状況を見るに、どちらかへの肩入れルートではない、第3のルートに突入したようだ。
面白い報酬を手に入れられそうだな」
「とにかく勝てばいいんでしょ?
クエスト目標には『争いを解決する』としか書いてないし、論破するよりよっぽど簡単に解決できそうだね。
物理か魔法かじゃなくてどう使うのかが問題だってこと、教えてあげよう」
「2人とも乗り気だね。私も覚悟を決めて戦うよ。
時間は少ないけど、まずは作戦会議をしようか」
そうして3人は決闘の時間になるまで、どう戦うか意見を出し合った。




