第3話、チュートリアルと初クエスト
ミミはマキナに手を引かれてチュートリアルを受けられる建物までやってきた。
「ログイン地点の正面なの?」
「そうだよ。しかも入り口にデカデカと書いてあるのに気づかないなんてね」
マキナの言う通り、大きな入り口の真横に「チュートリアルはこちら」「ギルド会館」と書かれている。
ミミは恥ずかしさを隠すように言い訳をする。
「初めてのRPGだからいろいろ見回してたし、人も多かったし……」
「わかったって。別に責めようってわけじゃないよ。さっさと入ろう」
2人はギルド会館に入っていく。
マキナは慣れた様子で受付のNPCにチュートリアルを受けたい旨を伝えた。
2人は小部屋へと案内される。
案内された小部屋には1人のNPC。
「私は教官。君たちの初心者講習を受け持つことになった。よろしく頼む」
ミミの前にチュートリアルを始めるか尋ねるウィンドウが現れる。
迷いなく「はい」を選択した。
「よし、いい返事だ。最重要項目であるスキルから説明しよう」
そこから教官の話が始まった。要約するとこうだ。
スキルにはアクティブとパッシブの2種類があり、それぞれ5つずつ装備できる。
アクティブは自分で発動するスキルで、パッシブは常に効果が発揮されるスキルである。
スキルの数が多くなったらスキルトレーナーに相談すると合成することができる。
「説明は以上だ。分からなくなったらまた聞いてくれ」
「ミミ、分かった?」
「大丈夫。問題ないよ」
「理解できたようだな。次は実戦だ。
ハンマーの初期スキル「スタンプ」を自分でセットしてみるんだ」
そこからはスキルの着脱、使用、装備の着脱などゲームを進めるうえでの最低限の知識を学ぶことができた。
「これにて講習は終わりだ。優秀な冒険者になってくれよ」
「冒険者って何?」
「このゲームでのプレイヤーの呼び方だよ」
「冒険かあ……これからどんなことが起こるんだろう……」
チュートリアルが終わったことで、2人の目の前にウィンドウが表示される。
パッシブスキル「初級冒険者」
ギルドNPCから受けるクエストの報酬額が増加する
クエスト中は着脱できない
取得条件:チュートリアルを完了する
空きスロットにセットしますか?はい:いいえ
「報酬が増えるスキルは序盤だとありがたいね。スロットも余ってることだし、装備していこうよ」
「うん、そうだね」
2人は「はい」を選択し、部屋をあとにした。
ギルド会館のエントランスまで戻ると、受付NPCから声が掛かる。
「お2人とも、初心者講習を終えたのならクエストを受けていきませんか?」
「おお、初クエストだよ。ミミ、クエストは分かる?」
「さすがにそれくらいは知ってるよ。せっかくだから受けていこう」
「分かった。受付さん、クエストの詳細を教えてください」
受付による説明が始まった。
「最近、近くの草原にスライムが増えてきたんです。
旅商人たちの邪魔になるので駆除をお願いします」
クエスト:はじまりのスライム退治
目標:スライムを10匹倒す
報酬:500ゴールド
マキナが代表してクエストを受諾する。
「クエスト、頑張ってくださいね」
ミミたちはギルド会館を出て草原へと向かった。
「杖の初期スキルはどんなスキルなの?」
「ファイアボールだよ。後で見せてあげる」
マキナは草原でスライムと対峙した。
杖を掲げてスキル名を口にする。
「ファイアボール!」
杖の先端に炎でできた球が現れ、スライムに飛んでいく。
「本当に炎が出てくるんだね!」
スライムに当たったファイアボールが弾け、周囲に炎を撒き散らす。
至近距離で炎を浴びたスライムはまたたく間にポリゴンへと分解された。
「おおー!爆発が迫力ある!かっこいい!」
「そうでしょ。きっとゲームを進めたらもっと派手な魔法が出るはずだよ」
「じゃあ頑張って進めよう!」
「その前に、ムーンジャンプも見てみたいな。
次のスライムはお願いしてもいい?」
「もちろん!任せて!」
その言葉とともにミミはムーンジャンプを使い、跳ぶ。
マキナはジャンプの高さに驚き、思わず声を掛けてしまう。
「ジャンプ高すぎ!ちゃんと当てられるの!?」
「大丈夫〜!」
その言葉通り、ミミの攻撃は正確にスライムを捉えた。
スライムが爆散する様子を見たマキナはVRゲーマーとしての思考を巡らせた。
大ジャンプで狙った場所に着地する精密動作性。
長時間の滞空で姿勢を崩さずにいるバランス感覚。
空中でハンマーを振るうことのできる体幹。
それらをゲーム開始当日に発揮できる適応力。
そのどれもがVRゲームをプレイする上でアドバンテージになる資質だ。
ミミが才能に満ち溢れていることを確信したマキナは思わず呟く。
「思ってたより楽しくなりそう……」
ミミたちは協力して残りのスライムを倒していった。




